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―アリスインゲート2―

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アリスインゲート2
――Case:Stilett Fall――


 軍事的状況からすればその世界は現在安定状態にあると言っていい。
 【グリーク】と【ノース】の両国に渡る数キロの緩衝地帯が名の通りの緩衝材の役割として横たわっているからなのか、その材料の成分が消失した他国の流民――数百万の難民という不安定物質だとしてもだ。
 つまりはひどく不安定要素を孕む状態での均衡状態というのが現状だ。
 太い国境線は南北に大陸を割り、小さい西側【グリーク】と大きい東側【ノース】に分断している。その大きな分断線が無くなった時、対立的国家の国土が接触した時、壊滅的な化学反応をすることになる。
 そんな折、炸薬となるであろう漏洩分泌物が一滴、西から東へと垂れていく。
 空軍技術開発局開発軍事的特殊戦略兵器カテゴリーF―code020712―
 それが持ち去られた兵器の呼称(ラベル)。



 撹拌した世界の膜が破かれ、辺獄(リンボ)から使者が現れる。
 フィンクス・ロンバートは異世界から彼らが現れる光景をそう例える。転移装置も使用することなく、物質としてそれまでこの世界に存在しなかったそれらの者達がいっぺんに質量を得て体現する様は、超高度技術世界の住人である彼にも不可解に感じることだった。まさにそれは彼らの持つ魔法と言う非科学的現象が繰り出す光景だ。
 関心も好奇心も今はしまい込み、フィンクスは異世界からのおかしな客人たちを敬礼で歓迎する。本日は軍人的な正装で数名の部下が控えている。
「遠いところご足労感謝する」
 異世界間移動の距離数値は未知数だが観測的距離感覚はたったの一歩でしかない。ご足労と言われてもピンと来ない。
 ゲート能力を有するアリサ・アレンスキー(ありさ・あれんすきー)と十数人の異世界人が来訪する。彼らが現れた後に膜は波紋を収束させ消える。
「前もですが、よく私の現れる場所がわかりますね」
「技術的に予測が可能だから。というのもあるが、君がよくこの場所を使って移動しているのがわかっているからだよ」
 国境の街、かつてアリサが初めて降り立った【第三世界】のレンガ敷きの広場を彼女は出現場所として頻繁に使う。行った覚えのある場所ならば彼女はこの世界の何処にでも出現できるのだが、最も印象深い場所となるとここに成るため、無意識化におけるゲート能力の発動では優先的にここへと出てしまう。頻繁に能力を使用する理由としては、彼女が寮の個室に帰る確実な方法がこれしかないからだ。
「さて、件の話をするため移動する。ここでは話をすることは出来ないし、軍人の我々がここに長くいるのも政治的観点からよくない。ついてくる者は車に乗ってくれ」
 恐らくはこの世界の高級車だろう数台の黒塗りのそれが元大将の背後に佇んでいた。
 アリサを含めた数人がそれらの車に乗り込み出発する。残った者達はそれぞれの目的のために散り散りにその場を離れた。