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架空大戦最終回 最後は勇気で!

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架空大戦最終回 最後は勇気で!

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05 デウス・エクス・マキナ01 

 そして、夢の世界においてはヘルガイアの雑魚のほとんどが取り除かれ、最終決戦が本格的に始まろうとしていた。
 そんななか、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)はとあるフェイズに突入していた。
「何をやっているの?」
 何やら作業をしているダリルに、少佐に昇進したルカルカが訊ねる。
「デウス・エクス・マキナは機械の神と同時に、強制的な幕切れとしても使われる。むしろそれが語源だ」
「幕切れ……?」
 ダリルの言っていることがわからずルカルカは首を傾げる。
「リリーに生命の危機を知覚させ、防衛本能を起こし覚醒に導く。精神が打撃を喰らえば肉体も無事ではすまないから、リリーが生命の危機を感じればヘルガイアに干渉の隙が生まれる。そこを叩き潰す。茶番はもう終わりだ。やりたい開発も出来たし俺は満足だ」
 そう言うと、ダリルは宇宙船等のドッキングに使う牽引ビームと誘導電波を流星に向け最大照射する。同時に強力な通信波で電波干渉を行い、クロガネの流星を急加速させ地球激突のコースに乗せることにした。
「ちょっと、危ないよ!」
 ルカルカはそう言うが
「実質夢のなかの世界なのだから、大丈夫だろう?」
 と自信たっぷりに答える。
「それは、そうだけど」
 頷くルカルカを横目に、ダリルは宣言する。
「さあリリー。このダリルが、【デウス・エクス・マキナ】の称号に相応しい演出を与えてやろう……!」
 そして、ちょうどこのダリルの行動と、現実から干渉したハデスの行動がうまくかみ合わさった。
 その結果、聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)が復活して神剣勇者エクス・カリバーンになるとともに、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)星怪球 バグベアード(せいかいきゅう・ばぐべあーど)も復活して合体し、星心合体ベアド・ハーティオンとなる。
 そして黄金に輝く【ベアド・ハーティオン】の体がバラバラになって【神剣勇者エクス・カリバーン】に合体していく。
「光を斬り開き現れる鋼の巨神……そう、その名は!!」
 ハーティオンが名乗り
『剣心(剣神)合体!!』
『グレート・エクスカリバアァァァンッ!!』
『この心を繋ぐ勇者の剣が、あらゆる邪悪を払ってくれよう!」』
 ハーティオンとカリバーンの二人の声で、キメポーズとキメ台詞を完璧なまでに決める。
 きっと、これがOVAだったならば背後には熱い曲がBGMとして流れていることだろう……そう、オープニング主題歌か、そのアレンジインストゥルメンタル、あるいはリミックスしたオープニング主題歌といったところだろうか?
 近年だと処刑用BGMなどとも言われるたぐいのものである。
 さらには、流星からリリーの理性の具現であるところの《クロガネ》の力がグレート・エクスカリバーンに降り注ぐ。
「まさか……ハーティオンがまた現れるなんて! どうやらここが正念場みたいね!!」
 ティル・ナ・ノーグに用事があるとして舞い戻った高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)はメガネの位置を直すと妖精たちに語りかける。
「ちょっと妖精さん達、貴方達の力もいっぱいに借りるわよ。元々は貴方達が管理していた『勇者の泉』ってのが敵の力の根源なら、それを一瞬でも敵から切り離す事は出来ないの? 一瞬でもヘルガイア総帥の力が弱まれば、皆がいっせいに攻撃を叩き込むチャンスを作れるはずよ。
 私は地上の国軍の仲間たちと連絡を取って、ヘルガイア総帥を足止めするための波状攻撃の作戦を打診しておくわ。私達国軍がヘルガイア総帥を足止めする間に妖精達が敵の力の源である『勇者の泉』の力を切り離し、勇者たちが総攻撃を仕掛ける……って作戦よ」
《ハーイ♪》
《ワカッター♪》
 羽の生えた小さな妖精たちがそう言って女王のもとに飛んでいく。
《ゴチュウシンゴチュウシン女王サマニゴチュウシン》
 そして、国軍の一斉波状攻撃が始まる。
「ジェネレーター、弾薬、エネルギーともにあと一回の突撃が限界だね」
 洋孝がそう言うと、洋は覚悟を決めた。
「よろしい、本懐である。これぞまさに男子の本懐というもの。いくぞ、みと!」
「はい、洋様!」
 そして、覚悟の完了した洋による、覇王マクベスの最後の突撃が行われる。。
 全砲門が解放されて、バルカンやらミサイルやらが次々と総帥でありふんどしが転身した悪夢の象徴たるジャバウォックに向かって放たれる。
 次々と命中するそれらにジャバウォックが悍ましい悲鳴を上げる中、マクベスの剣先に集まったエネルギーがオーバーロードによって青白く光りだす。一説によれば死の瞬間に生物が放つ光は青いらしい。それはまさしく、覇王マクベスが放つ最後の光とも言えた。
 絶叫する洋とともに覇王マクベスがジャバウォックに突撃していく。
 だが、そこにジャバウォックが放つ炎が直撃する。
 剣に集まったエネルギーで相殺を試みるが、すべてを消しきることはできなかった。それほどまでに強烈な、前回の戦闘でヘルガイアの魔将が放ったのに等しいくらいの強烈な炎だった。
 さらには――
 どこからともなく大量のモンスターを引き連れつつ柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)星喰が出現する。
「守るべき存在の子供を戦場に立たせ、大人は役に立たない世界なんか滅んじまえ!」
 恭也はそう言って、力を振るう。
「答えろ、柊恭也! なぜヘルガイアについた!!」
 洋が叫ぶ。
「子供を戦場に立たせたくなかった……でも敵はやってくる。だったらさあ、敵が世界征服したら子供が戦う必要無くね?」
「巫山戯るなぁあああああああああああ! その後に奴らに子どもたちがどんなめにあわされるか考えなかったのかあああああああああああ!!!」
「今更改心なんかしない! 思想のぶつけあいはロボットの花だが、乗る気はない!!」
「ちぃ……それにしても数が多い……」
 タイミングと数に臍をかむ洋。だが、味方もいないわけではない。
「まかせて!」
 そう叫んだのは香 ローザ(じえん・ろーざ)。ローザはベータリア・フォルクング(べーたりあ・ふぉるくんぐ)でありベータリアの姿を借りた 香(ジエン)そのものであり、ローザ自身の反作用とともにロード・アナイアレイターに乗り込んでいた。
(そう……私は、貴女であり、貴女から離れそうになった貴女自身の願望の抑止。それは、なんてことはない切っ掛け。貴女が、天御柱学院にイコンの視察に来た際に、イコンに興味を持ったことが香と貴女に近い私を生みだした。でも、それももうおしまい……シナリオの上書きがあったせいか、私が香として不完全ながらここに存在しているというイレギュラーな事はもうすぐ不可能になる。現実と夢の境が徐々に薄れてきているのでしょうね……もう夢は、醒める)
 そうして、ベータリアはそう告げると、今までともに数々の敵と戦ってきたローザをアナイアレイターから射出し、脱出させる。
「えっ、香!? 何故私を降ろすのですか!?」
 それは悲鳴にも近い問いかけ。それに対し香でありベータリアでもある存在は悲しそうに告げる。
「貴女(ローザ)でもなく私(ベータリア)でもないこの物語の為に生みだされた香(ジエン)という抑止装置は夢と共に消え去るだけです。夢はいつか覚めるものなのですから……」
 そう、夢はいつしか覚める。楽しい夢であれ、悪夢であれ、いずれ終わりは来るのだ。そして彼女が夢のなかの存在ならば、別れが来るのもまた然り。
 そして、彼女は星喰とその周辺のモンスターたちに向かって突撃していく――