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ナスティ・ガールズ襲来

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ナスティ・ガールズ襲来

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  児童施設 その1


 こちらは、児童施設内。
 アトラスの傷跡で瘡蓋を探していた柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は、キレていた。
「前回の回収依頼はこれが目的だったわけだー。はいはい、つまりピエロだった訳かー」
 事務室の前を通り過ぎながら、恭也は吐き捨てる。
「……ざっけんなよ、おい」
 彼の怒りはもっともだ。瘡蓋採集のため踊らされた挙句、核動力搭載PSのロマンが、核ランジェリーなどというふざけたものに汚されたのだから。
「うん、八紘零とかってのは絶対殺す。手柄首にしてやる。奴の手下も絶対殺す。情報を吐かせたら、惨殺してやる」
 恭也は得物である【白刃一閃】の調子を確かめてから、ふたたび通路を歩きはじめた。


 いっぽう騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の狙いは、あくまでも核ランジェリーの解除であった。
 シャンバラ代王の危機は、詩穂の最愛の人、アイシャの危機でもある。なんとか核兵器の爆発を避け、無傷のまま救出したい。
「でも――。なんで敵は代王を狙ったんだろう?」
 彼女は、同行する空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)に尋ねた。
「八紘零はね。代王を人質にして、ファーストクイーンのクリスタルを要求しているの」
「じゃあ、クイーンのコピー体を欲しがる理由は?」
「それは……。まだ、わからないわ」
 敵の計画には、不明な点が多い。いったい八紘零は何を企んでいるのか。
 だが、今はこの施設を守り、ふたりの代王を守り抜くことが先決だ。
「あまり時間は無いみたいだし……。探す場所を絞ったほうが良さそうね」
 そう呟いたたいむちゃんに、詩穂はある提案をする。
 敵の実験が、《アトラスの瘡蓋》から出る放射線の影響を調べるものならば、長い時間とどまることの多い部屋に仕掛けるはずだ。工作室、音楽室、図書室、食堂、体育館……。せいぜい、どれも1時間ぐらい。
「だけど、寝室はどう?」
 詩穂の意見に、たいむちゃんはポンッと手を叩く。寝室であれば、長い時間、確実に放射線を浴びせることができる。
「さっそく二階にいきましょう!」
 ふたりはうなずき合うと、レプリカ及び構成員を確保するため、寝室へと向かった。


 酒杜 陽一(さかもり・よういち)も、構成員を探すために奔走していた。
「爆弾のすぐ傍に理子さんとセレスティアーナ様がいる。一刻も早く止めねば」
 とくに高根沢理子は、陽一にとって特別な人だ。本当ならすぐに彼女のもとへ行きたい。
 しかし、核ランジェリーの解除法を知る構成員を捕まえないかぎり、この事件は解決しないだろう。
 構成員たちは洗脳をされておらず、自分の意志で死ぬ覚悟を抱いた。それほど強い意志がある者の口を割らせるには、生半可な方法じゃ通用しない。
「理子さんの救出は味方を信じて任せよう」
「そうだな」
 パートナーのフリーレ・ヴァイスリート(ふりーれ・ばいすりーと)が同意した。
 もし核が爆発すれば、たとえ命が助かっても、理子の心に傷が残る。そうなれば結果的に彼女を不幸にしてしまう。
 構成員を見つけるため、フリーレはディテクトエビルを発動。悪意を持つ存在に、神経を尖らせる。
 陽一はシャンバラ国軍軍用犬を放ち、さらには熱センサーも駆使する。
(無事でいてくれよ……理子さん)
 敵の奇襲に備えながら、陽一は愛する人と笑顔で再会できることを願った。


「どんな手を使っても、構成員から情報を聞き出してやる」
 怒りを込めて告げたのは、神崎 荒神(かんざき・こうじん)だ。彼らは食堂の厨房を捜索していた。
 子供たちを実験に使った《蠱毒計画》。あの陰惨な事件に関係があると知った荒神は、内心怒りに燃えていたが、今回は冷静に行くべきだと自分に言い聞かせる。
 彼が知りたいのは、多国籍企業の《ZERO》の実態、そして八紘零の情報だ。構成員から聞き出すためなら、慈悲すら捨てる覚悟である。
 


――その時。
 激しい爆発音が、食堂をぐらりと揺らした。