リアクション
「リリー!」
優里は慌てて駆け寄る。回復の魔法を施し体の傷を癒し、自らのネックレスをリリーの首へ掛けた。
「これは……【オートバリア】!」
コハクは声を上げた。
リリーに【オートバリア】が施されていた。
契約者たちの【トリニティブラスト】からリリーを守ったのは【オートバリア】だった。
「そうだ!ルカルカがあのとき!」
ルカルカがリリーを説得したときだった。リリーはルカルカに【オートバリア】を掛けさせていたのだ。
「なるほど。ルカルカの魔法を利用して自分の身を守るつもりだったんだろうけど。まさかこんな形で役に立つなんてね」
リリーの目元が疼く、そして静かに目を開いた。
「――どうやら、おしまいみたいねぇ」
ウェスペルの精神支配からは解かれていた。
しかし、リリーのネックレスは破壊されてしまった。
「ごめんなさいユーリ。迷惑かけちゃって……そして、さようなら……最後に……あなたのこと大好きだったわ」
「――ふふふ」
最後の言葉に優里は笑った。
「ごめんなさい。そのネックレス」
リリーは不思議そうにネックレスを見た。
LILIY PELLADONNA
「リリー・ペラドンナ!私の名前!どういうとこ!だってあのとき私が引き裂いたはず」
「あ、こんなところにあった」
優里の足元に転がっていたのは壊れたネックレスだった。
そこに刻まれた名前は YUURI WATANABE の文字。
「なんですって!じゃあ、あのとき私が引き裂いたのはユーリの……」
「摩り替えておいたのよ。私がリリーに投げたネックレスは私のだったの」
「そんな!わからなかったわ!」
「そりゃそうよ。リリーはネックレスを付けるのに必死だったもの。あのとき、私の剣をネックレスに引っ掛けたとき、本当に斬るつもりだった。
ネックレスを断ち斬って、そのあとにリリーをちょっと気絶させて、最後にイルミンスールに送り届けようと考えていた。
強引だけど説得するのは難しいって分かってたから。あ、そうそう。そういえばあなたの最後の言葉聞き逃しちゃったんだけど、何て言ったの?」
悪戯っぽく優里は言った。
「もう二度というもんですか、このバカー!!」
2人は抱き合うのだった。
リリーと優里はと笑った。二人とも顔を真っ赤にして涙を流しながら。