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リアクション
■魔王SOS再び
流れていく0と1によって構成されたデータの波。
現実世界ではない電子の世界をオクスぺタルム号とラグナロクは飛んでいた。
目指すは死神動画のサイトにあるデータベース。 そして、捕まった魔王エリザベート。
「むっ、また入り口が閉じられているな、ここは私に任せてくれ」
ラグナロクのブリッジから念じるように手を伸ばし、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)は死神動画へのログインを行う。
だが、ログイン処理は行われず、表示されたのは『ERROR』とアクセス拒否の表示。
「何だと!?」
「大方、ハーティオンの登録情報をアクセスロックしたのだろう、用意周到なことだ」
予想通りに進まず、困惑するハーティオンを気にせずダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は冷静に分析する。
「そんなことだと思ったですぅ、その為に私も登録したですぅ」
そういってラグナロクに通信を入れながら、オクスペタルム号の甲板で立膝の体勢を取るヒュドラーンのコックピットでエリザベートはハーティオンと同じようにサイトへのログインを試みる。
だが、再び表示されたのは『ERROR』。
更にいえば、このアカウントはアクセス拒否されていますと表示された。
「もしかして、マオが捕まったからエリーのアカウントがロックされたんじゃ? マオとエリーって電子データでは同じだし」
わなわなと震えるエリザベートをラグナロクのブリッジで見たルカルカ・ルー(るかるか・るー)はふと思いついたことを言っていた。
「汚イ! 流石死神動画汚イ!」
「ガォォォォン!」
その体格故に、ブリッジには入れず格納庫で待機している龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)と星怪球 バグベアード(せいかいきゅう・ばぐべあーど)からも通信が入った。
ドラゴランダーは何を言っているのかは全くわからないのだが、ハーティオンは1人でうんうんと納得しているようだ。
『だったらアタシがアカウントを取ろうか?』
現実世界でそんな彼らの様子を見兼ねたラブ・リトル(らぶ・りとる)が連絡を入れてくる。
彼女の傍らでは必死にデータ処理を行う者もいるのだが、忙しすぎて声をかけることも出来ないようだ。
「ううん、そんな必要はないよ!」
入れない以上、そうするしかないと答えようとした時、ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が皆の言葉を遮った。
オクスペタルム号の舵を握るノーンは、いつの間にかその体をシートにしっかりと固定し、しっかりと構えている。
『あ、あなた、もしかして……』
「そのもしかして、だよ! マオちゃんを助けるためにも時間は惜しいからね!」
折角友達になれた魔王に御神楽 陽太(みかぐら・ようた)を合わせる為にも、手段は選んでいられない。
そんな、ノーンの言葉に呼応するようにオクスペタルム号の艦首に備え付けられたドリルが唸り、船は全速力で死神動画の入り口を塞ぐログインセキュリティに突撃、粉砕と同時に突破した。
それと同時に凄まじい衝撃が船体をおそうが、しっかりと対策をしていたノーンは無事。
しかし、咄嗟に対応できなかったエリザベートはコックピットで頭を打っていた。
最も、エアバッグが起動したお陰で被害はなかったようだ。
「ってて……魔王は何処行きやがったですか?」
気がつけば魔王が捕らえられたと思われる場所にたどり着いていたが、その場所には何もない。
「あれ、おかしいな。ここで間違いないはずなんだけど」
「移動させられた? しかし、何処へ……」
自分の記憶が正しければココで魔王が捕らえられたのは間違いない。
「ダリルさん、GPSだよ!」
ノーンの言葉にダリルはハッとし、先日自分が彼女に設置したGPS機能を思い出す。
電子世界でも対応できるように調整を行っているため、魔王の居場所はそれで分かるのだ。
「やはり、場所が移動させられているがそう遠くはない、急ぐぞ!」
魔王の表示は、自分達の近くに反応が表示されている。
彼らは急ぎ、移動を開始した。
「ホント、魔王もあのポンコツも、ちゃんと帰って来なさいよ?」
現実世界でラブはその小さい体をモニターの前で抱え、全員が無事に帰ってくることを祈っていた。
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