リアクション
同時刻 ツァンダ クロカス家邸内
「生きて償うって言ってくれて、安心しています」
沙 鈴(しゃ・りん)はイリーナに告げた。
綺羅 瑠璃(きら・るー)とともにイリーナの護衛を続けていた鈴は、『偽りの大敵事件』の真相が知らされたことで、イリーナが目的を失ってしまうのではないかと考えたのだ。
だがそれも杞憂に終わり、鈴と瑠璃は一安心だ。
「私は、最後まで見届けます」
イリーナが言うと、鈴は大きく頷いた。
「迅竜機甲師団は最後の戦いに臨むそうです」
「最後の……戦い……」
「はい。教導団の諜報部が遂にエッシェンバッハ派の本拠地の情報を掴みました」
「でも……迅竜は大破寸前では……?」
「迅竜は甚大な被害を受けました。ですが、天運は彼等に味方しました。迅竜が被害を受けたのはここツァンダのすぐ近く。そして今、迅竜は最後の力を振り絞ってこのクロカス家が私有するドックへと向かっています――」