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そして、蒼空のフロンティアへ

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「いやはや、早いもんだよなぁ。パラミタに来てもう四年、いや五年になるのか」
 葦原島にある自宅の縁側で、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)が感慨深げに言いました。静かに座禅を組み、今まであった出来事を思い返します。
「いろいろあったよなぁ。腹ぶち抜かれたり、イレイザーに喰われたり……」
 なんだか、酷い目に遭ったことの方が多いような気がしてきました。今になって、お腹のあたりがキリキリと痛むようです。
鬼鎧に乗ったり、盗まれたの追っかけてったり、はては世界を賭けた戦いに巻き込まれたり……」
 イコン博覧会で盗まれたイコンを取り戻そうとしたり、茨ドームニルヴァーナのヴィマーナ港で大規模なイコン戦を行ったこともありました。
 力を求めるあまり、敵についていこうと思ったことさえあります。もし、そうしていたら、今ごろは、どういう道を歩いていたのでしょうか。
「いやあ、普通のサラリーマンだった俺が、よくまあ生き残ったよなあ」
 多分、普通の人間だったら、軽く二桁は死んでいたことでしょう。それをしのげたのも、紫月唯斗がパートナーのいる契約者だったからに違いありません。明倫館厨房のおばさんになってしまったパートナーもいましたし、お嫁さんにしてしまったけも耳パートナーもいましたし、妹みたいなパートナーもいましたし、魔鎧なお姉さんパートナーもいましたし。いろんな意味でも、パートナーたちには感謝しなければならないでしょう。もっとも、感謝しすぎて、ある種ハーレムにしてしまったのは……ふっ。
 この屋敷も、何回破壊されたことでしょうか。屋根が飛んだり、壁が倒れたり、地下室が……。いや、忘れましょう。今は前をむくときなのです。黒歴史をほっくり返してはいけません。それらは、きっと、なかったことなのです。なかったんですってば!
「いかん、雑念が……。俺もまだまだと言うことですか」
 日々これ鍛錬。
 完璧に到達することはないのです。まだまだ、修行が必要なのでしょう。
「さてと」
 紫月唯斗は立ちあがると、パートナーたちの許へとむかいました