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第2章 スタジオは大混乱!?

猫のゆる族のマティエ・エニュール(まてぃえ・えにゅーる)は、
パートナーの曖浜 瑠樹(あいはま・りゅうき)の付添で参加したつもりだったのだが。

「マティエさんの中の人は
ボーイッシュな女の子とのお噂を伺っていますが、本当なのかしら?
確認させてくださらない?」
「ほえっ!?わ、私ですか!?」
いきなり質問された上に、
トッドさんが着ぐるみを脱がそうとしてきたのだった。
「……え、ちょっと待って、着ぐるみ脱がすのは駄目ですー! にゃー!?」
「トッドさんの質問、マティエにいったかー……。
って、ダメだよマティエ、そんなもの出しちゃ」
「って、言っても生放送なんですよ!?
カメラを全破壊するくらいしないと!」
「まあ、すてきな銃ね。アサルトカービンっていうのかしら」
「トッドさん落ち着いてるなあ」
「にゃーっ! にゃーっ!」

数分後、瑠樹によってマティエは取り押さえられたのだった。

「ごめんなぁ」
なおも暴れるマティエを押さえながら瑠樹が謝る。
「中の人の事聞かれると、慌てて否定するんですよねぇ」
「まあ、そうだったの」
「だから、中の人なんていませんー!」
マティエがうっかり「中の人」発言に反応する。
「着ぐるみを脱がされるのも全力否定するんですよねぇ……
頭部取られたり、背中のファスナー開けられたりするのを警戒してるみたいで」
マティエはなおも警戒していたが、少し落ち着いてきた様子だった。
「マティエの場合、不意にファスナーに触れられかけたら
条件反射で攻撃しちゃうから……」
「ごめんなさい……」
マティエもようやく謝る。
「でも、ファスナーを開けるとゆる族は大爆発しちゃうんです。
とても危険ですので、やらないでくださいね?」

落ち着いたマティエは、最初の質問に答える。
「ボーイッシュかは解りませんが……活発な所はあるかも?と思ってます」
「実はボーイッシュかも? ……って思う事はありますねぇ」
瑠樹も補足する。
「活発なのは事実みたいですね。
あと、誰にも当てないようにするのもすごいと思うわ」
「ご、ごめんなさいーっ!」
弾痕だらけになったスタジオを見回して言うトッドさんに、マティエがまた謝る。

「ところで、
瑠樹さんに質問が来ています。
答えていただけますかしら」
「オレ?
うん、答えられることなら何でも」
沙 鈴さんからの質問です。

曖浜殿は、同期で最初にに少尉任官されましたが、
辞令を聞いた際には、どのような事を思いましたか?
また、ストレス解消法などありましたら、あわせてお願いします」

「少尉任官の辞令を聞いた時は、それはもう驚いた。
あと……漠然とした解答で申し訳ないんだけど
『しっかりしなきゃなぁ』とか
『もっと勉強や訓練しないと』とか思ったりしてたねぇ」
「なるほど、立派なことを考えられてたのね」
「そうでもないよ。
それから、ストレス解消だけど、
楽しめる単純作業に没頭したり、道端で動物とか見れるのを小さな楽しみにしてみたり」
猫とか犬とかゆるスターとか好きなんだよね、と、笑う。
「大きなストレスだと、格闘技などで体動かしたり、趣味に没頭したり、
動物とか縫いぐるみをもふもふしてみるとかー……」
「縫いぐるみがお好きなの?」
「……あ、着ぐるみとか縫いぐるみは好きだけど
少女的な趣味を持ってるわけじゃないからね?」
誤解の内容に補足しておく。

「じゃあ、他の方からの質問です。
国頭 武尊さんから。

契約者になる前は、地球で普通に学生やっていて
争い事なんかにゃ無縁だった人も居るだろうから敢えて聞くけどよ。
やっぱ、契約者になってその活動期間が長くなると
人を傷つけたり、時には殺めたりする事に、
抵抗感や不快感を持たなくなるのかね。
すっげぇ答え難い質問だと思うから、無視してもらっても構わないぜ」

「抵抗感・不快感ねぇ……今でも少しはある、と思う」
「【シャンバラ教導団中尉】になられた、今も、ですか?」
「うん。止むを得ない場合でも感じるし、そうでない場合は相当、かねぇ……」
トッドさんに瑠樹はうなずいた。

「次の質問です。
これは、マティエさんにも。

渋井 誠治さんから。

好きな食べ物は何ですか?
割とありがちな質問だけど、番組の中で時間があれば答えてくれると嬉しいな。
出身地が違うと食文化も違うだろうし、皆がどんなものが好きなのかちょっと気になったんだ。
パラミタだと地球の料理はなかなか食べられないかもしれないけど、
ここでアピールしておけば空京で流行っていつでも食べれるようになるかもよ?
なーんてね」

「基本的に好き嫌いはあんまりないけど
強いて言うなら……ご飯ものと野菜?」
「ご飯ものというと、丼ものや炊き込みご飯かしら」
「そうだねぇ。
どれかっていうと和食が好きかなぁ……」
瑠樹に続いて、マティエも答える。
「ケーキとか、甘いものは全般的に好きです。
あ、でも食べるのは1日1回だけって決めてるんですよ!」
「中の人が太らないように、かしら」
「ち、違いますってばー!
中の人なんかいません!
あ、あと、野菜類も好きです」

こうした形で、マティエと瑠樹へのインタビューは、
ほのぼのと進行したのだった。