First Previous |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
Next Last
リアクション
5)ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)
ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は、
自分も通っている百合園女学院の校長である、
桜井 静香(さくらい・しずか)への質問や回答を見て、
また、出演者メンバーの顔ぶれを見て、考えた。
(ん〜。
面白おかしい回答はみんなするだろうし、
あたしはちょっと違う方で回答してみようかな?)
そうすることで、逆に注目されれば、と思ったのだ。
「こんにちは、ようこそいらっしゃいました」
「はじめまして、トッドさん」
いつも元気いっぱいなミルディアも、
裕福な家庭出身のれっきとしたお嬢様である。
礼儀正しく、きちんと挨拶をする。
「ミルディアさんは、
いつも鎧姿で走り回っているそうですけれど、
いままでの冒険のエピソードで印象的な事などありますかしら」
「うーん、そうだなあ」
ミルディアは、紅茶のカップを置いて、ちょっと考えてから答えた。
「ん〜 鎧だからって特に重いとか感じたことはないなぁ……
これってやっぱ、契約者だからってこともあるかな?」
「まあ、やっぱり、超人的な身体能力を得ることができるからなのね」
「いやいや、それほどでもないよ」
ミルディアは少し照れたように笑った。
「では、エピソードについても伺えます?」
「今までのエピソードで印象的な事、かぁ……」
ミルディアの顔が、ふと、悲しげになった。
「もう2年も前のことなんだけど、
『怪盗舞士』に関する一連の事件でのこと、かなぁ……。
面白いとかとはちょっと違うけど、まだ引きずってるんだよね……。
シャンバラに来て最初にあった辛い出来事だったから……かな?」
ミルディアは、
友人の大切な人を守りきれなかったことを悔やんでいると伝えた。
「いつもは面白おかしい日常を〜って
意識して生活してるけど、泣きたいこととか辛いことって、
心に残っちゃうんだよね……」
「ええ。
わたくし達の知らない、多くの危険な事件も、
契約者の皆様は立ち向かってらっしゃるのよね」
うなずくトッドさんに、ミルディアは笑顔を向けた。
「ま、それも ちゃんと住み分けできたから大丈夫!
心に残しても閉じ込めてれば何てこと無いんだよ?」
その明るい笑顔は、強い決意の表れでもあった。
「あ、たまには思い出して泣くのも必要だけどね。
ずっと底に残してると、ホントもやもやしちゃって、たまんないよ」
「ええ、ミルディアさんも、契約者であると同時に、
普通の女の子ですものね」
ミルディアは、等身大の契約者の姿を、
自分の言葉でもって表現したのだった。
ミルディアを心配して、百合園に入学させた父も、
成長した立派な娘の姿を見てくれていることだろう。
First Previous |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
Next Last