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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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『武術道場』

 武道場は、校舎内とはまた違った熱気に包まれていた。
「こうして下から叩いて、武器を落とさせるんだ」
 ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)は、『武術道場』を開いて、訪れた人々に護身術を教えていた。
 これといった宣伝活動はしなかったが、百合園生を中心に見学していく者は多かった。
「契約者と一般人では力の差もあるからな。武器攻撃を防いだ後も、無理に倒そうとせず、自分の身を護ることを優先しなきゃだめだぞ」
「はい」
 返事をしたのは、白百合団に入団したばかりの10代半ばの女の子だった。
 白百合団でも護身術を習ってはいるが、こうして男性から直接教えてもらえる機会はそう多くはない。
 一回りも二回りも大きく、そしてロイヤルガードという皆のあこがれの存在から武術を習える機会ということで、白百合団に所属する者達も沢山訪れている。
「とはいえ」
 女の子達の真剣な表情にラルクは軽く苦笑する。
「ぶっちゃけ俺ごときが教えるなんて、アレだけどな」
 この学院にはロイヤルガードの隊長もいるし、武芸に秀で名をはせている者も多く存在するのだから。
「いえ、凄くためになります。学院での訓練では、相手は女性に限られますから。でも、実際に襲い掛かってくるのって……男性が多いと思うんです。だから、男性から襲われた場合の対処方法を教えていただけて、とても助かっています」
 出来る事なら、時折百合園で講義をしてほしいくらいだと、少女達は口々に言った。
「ま、機会があればな。俺なんかより適任な奴がいそうだけどな」
 ラルクがそういうと、少女達は首を左右に振った。
 長身であったり、体格の良い女性も百合園にもいる。
 だけれど、ラルクほど男性らしい男性は百合園には存在しないから。
「だから、今日もこうしてご教示いただけてとてもうれしいです」
 少女達の純粋な言葉と視線に、ラルクは思わず照れてしまう。
「ま、俺も役に立ててうれしい」
「手合せも、お願いできますか?」
「……そうだな、気楽に打ちこんで来い」
 ラルクがそう言うと、少女達の中で一番活発そうな子が、前に出て。
 構えを取って、呼吸を整えた後。
「行きます!」
 踏み込んで、ラルクの顔面を章手打ちで狙う。
 ラルクは怪我をさせないように、彼女の腕に、手の平を当てて受け流した。
「おっ」
 続いて、蹴りを放ってくる。予想外の攻撃だった。
「暴漢に有効かもな。なかなか筋がよさそうだ」
 ラルクは少女のけりを、やはり怪我をさせないように気を付けながら分厚い筋肉で覆われた体で、受け止めた。
「ありがとうございます!」
「けど、ちと疲れを感じるな。無理してないか?」
「無理はしてないのですけれど……早朝訓練を行った後、学園祭の準備がありましたので」
「そうか。それなら、この後はきちんと休め」
 ラルクは、医学を学ぶものとして彼女を気遣う。
 修行魔の自分が言ってもあまり説得力がないかなとも思いながらも。
「いいか? 白百合団の訓練や、護身術の訓練は大切ではあるが、休むのも戦いだ。俺はいつもやってる事だから慣れてるが最初の内は体に慣れさせる程度がいいと思うぜ?」
「わかりました。では、臨時保健室で休憩させていただきます。ご指導ありがとうございました!」
 少女は頭を下げて、合宿所の方へと向かっていった。
「さて、次の護身術だ。襲われたと理解した時にはもう手遅れな場合もある。今から教えるのは、反射的に反撃をする方法だ」
 少女達を見送った後も、ラルクは自分自身は休憩をとらず、集まった人々に身を守る術を教えていくのだった。