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リアクション
一方、そのころ、スタジオでは。
酒杜 陽一(さかもり・よういち)が、マジカルブッキングのコーナーを進めていた。
陽一のパートナーのフリーレ・ヴァイスリート(ふりーれ・ばいすりーと)と
酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)は、観客席で見守っている。
「【ワル昼】もついに終わるなんてね!
最終回は見逃せないわ!」
美由子は、特戦隊のメンバーたちや、
パラミタセントバーナード、ケルベロスジュニア、パラミタペンギンたち、
ペンギンアヴァターラ・ヘルムを連れてきている。
そんな中、高根沢 理子(たかねざわ・りこ)が現れると、
会場は拍手に包まれる。
(理子さん……。
アーデルハイト老師や、沢山の人々の地道な努力によって続いた、
超長寿番組の【ワルプルギスの昼】、
一緒に、皆の希望となるトークをできれば)
理子は、陽一に微笑み、隣に座る。
「理子様、パラミタに来てからだいぶ経ちますが、
理子様の中で、変わったこと、変わらないことを聞かせていただけますか」
「そうね……。
やっぱり友達がたくさんできたのがとても大きいわ。
おかげで、未来を見据えて、自分の役割からも逃げずに、
きちんと向き合えるようになったしね。
でも、それだけじゃなく、
自分の普通の感覚……正しいことや悪いこと、楽しいことと嫌なこと、
それは、立場が変わっても、あたしは変わらないと思うし、
それを見失わないようにするのも大事だと思うの。
そのためには、さっき言った、友達や、仲間の力がすごく大切だと思う。
今は、世界がピンチになってるけど、
この世界に暮らしている、普通の人たち……。
たとえば、今、『ワルプルギスの昼』を一緒に見てくれているような人たちの生活を、
あるいは、貧しくて、テレビなんかなくても、
この世界に暮らしている、ごく普通の人たちが、
これからも笑顔で生きていけるようにしたいって思うの。
だから、これからも、契約者の皆と一緒に、あたしは頑張るつもりよ。
それは、【西シャンバラ代王】である、あたしの責任だと思うし。
……これは、あたしが自分で選んで、掴みとってきた責任なのよ。
自分たちで選んだ未来を、絶対に実現させましょう!
そのために、これからも、皆、力を貸して!」
理子の言葉に、拍手が巻き起こった。
陽一は、公人である理子の言葉に、
多くの人が励まされることを期待していたが、
理子は、その役目を果たしてくれた。
「たとえば、大好きな人と誕生日を一緒に過ごす……なんていう、ちょっとした幸せも、
平和な世界じゃなきゃできないもの。
そんな幸せを守っていきたいわね」
理子が笑顔で言った言葉の意味に、陽一は心が暖かくなる。
4月28日は、陽一の誕生日だった。
(今回の仕事……これをやり遂げること。
それが、理子さんからの俺への一番のプレゼントだよ)
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