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リアクション
置き手紙
『世界樹の北の森に、美味しい木の実がなってるんだって! 腕試しも兼ねて採りに行ってくるね。お土産楽しみにしてて』
手紙を読み終えた、ルズ・シラディールは、困惑の表情を浮かべていた。
手紙の送り主はルズのパートナーであるキアリ・カラシナル。彼女はこの謎めいた手紙を残して、姿を消してしまったのだ。
つい先ごろまでは「欲しいアクセサリーがあるんだ〜」などとルズに甘えていたのに・・・・・・。
「キアリ、早まったことをしてくれましたね・・・・・・」
そういいつつも、ルズには思い当たることがあった。
このところ毎日のように、ルズの頭に古い記憶の残滓が、ぼんやりとよみがえっていたのだ。
「あの湖に、何かあった気がする」
そう思いにふけるルズは、いつも遠くを眺めていた。
それが、知らず知らずのうちに、キアリを不安に陥らせていたのである。
「これは、友達に相談しなくてはいけませんね」
そう思ったルズは、早速学校へと向かった。
☆ ★ ☆
「あんた、そりゃまず、気になる場所がどこか、見当をつけなきゃだめだぜ。キアリを探すったって、北の森は広いからな」
閃崎 静麻(せんざき・しずま)は、ルズの話を聞くと、得意げに意見をのべた。
「うーん、困りましたね」
迷っているルズを見かねた清泉 北都(いずみ・ほくと)が、ハッパをかける。
「考え事? そんな事していたらキアリが危険だよ。北の森にはゴブリンが出るんだろう?」
自分が他校の生徒だということで、警戒されるかもしれないと、北都は最初少し遠慮がちだった。
だが、ルズが態度を決めかねている様子を見て、言わずにいられなかった。
北都なりに、このところルズの様子が変だというのは察していたのだ。
トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)は、ルズを心配するあまり、つい説教口調になる。
「過去と未来、どちらを選ぶにしろ、今のパートナーであるキアリをないがしろにするべきではないぜ。思うことがあるのならば、心偽らないで彼女に全てを打ち明けるべきだよ」
ターラ・ラプティス(たーら・らぷてぃす)も、キアリの心細い気持ちを心配していた。
「とりあえずはキアリを見つけないといけないね。彼女、パラミタにきて間もないから・・・・・・最初は心を開いてくれないかもしれないけど、別に人嫌いって訳ではなさそう。だからこっちから何度も声をかければそのうち友達として認識してくれるはずだわ」
ルイ・フリード(るい・ふりーど)も、ルズといつも一緒にいるはずのキアリの姿が見えないので心配になっていた。
「ルズちゃん、キアリのこと心配じゃないの? 他になにか気がかりなことがあるのなら話してみて。ワタシとしては、放っておけないよ」
しかし、それでも煮え切らないルズの態度を見たソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)はイライラとしながら吐き捨てた。
「あー、うぜぇ! そんなんじゃ想ってくれている娘も、待っていてくれる娘も泣かせちまうぜ。って、もう泣いてるか。
いいか、ルズ。俺が言いたいのは『男ならハッキリしやがれっ!』って事だな。
モヤモヤしてるんなら、その原因をさっさと解消しろっつーの。どうしよう、とか悩んでるんじゃねーよ。全く!」
「まぁまぁ、ソーマ、落ち着いて。でもルズ、キミはパートナーを助けに行きたいの? それとも気になる何かを確かめに行きたいの? キアリのところに行くなら、僕が一緒に行ってもいいから」
清泉 北都の助け舟に、ルズはようやく、答えを出したようだ。
「はい、まずはキアリを助けに行きたいと思います。みなさん、一緒に来ていただけますか?」
これをきくとソーマ・アルジェントは少し相好を崩した。
「気になる場所へ行ってみて、何もなければ気のせいだって判るしな。そうしたらキアリ・・・・・・だっけ? そいつの事を大切にしてやればいいだけの話だしよ!
うだうだ考えてるから、キアリは不安になって、お前の気を引いてみたいと思っちまうんだろ。でも、もしキアリが怪我をしたら、それはルズ、お前のせいだぞ。どちらにせよ、後で不安にさせた事をキアリにちゃんと謝るんだな」
毒づいているが、ルズを心配して、北の森に同行する腹づもりのソーマなのだ。
七尾 蒼也(ななお・そうや)も、援護射撃。
「ルズ、俺たちがキアリの面倒を見るから、心配せず行こうぜ」
こういわれたルズは、朱宮 満夜(あけみや・まよ)に促されて、立ち上がった。
こうして、一行はゴブリンの出る北の森へと出発した。
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