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第三章 これに関しては本当に私も驚きを隠せませんでした。いや何とは言わんが。

「さーて次のお題は『称号』だね! アッシュくんの称号について思い出そうか! それじゃ、思いついた人から挙手!」
「最早思い出すじゃなくて思いついたになってるよ!」
「……まあ、称号くらいなら別にネタでもいいか」
 アッシュも先程のカオスにある程度諦めの様な物が出ているようであった。
「はい、エリスさん!」
 伸びる手からななながエリスを指さす。
「正義感が強い奴だったからね……称号名は【献血ウィザード】で」
「前言撤回! まともな奴で頼む!」
 一文字違っただけで偉い違いである。
「まともな奴だったら俺に任せろ!」
 続いて手を挙げたのはアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)
「熱血っていうからにはこれに違いないな……【歩く自爆装置】!」
「何処がまともだ何処が!」
「え!? まともだろ!? かっこよくね!? 自爆装置歩いてるんよ!? 『切れたナイフ』みたいでかっこよくね!?」
「よくねぇよ!」
 アッシュが吼えると、アキラは渋々と言った様子でフリップを下げた。
「もっと他ないのか他ぁッ!?」
「よーし次は任せておけ!」
 続いてアキュートが手を挙げる。
「称号っていうより二つ名みたいな感じだったっけな……ズバリこれだ! 【1対20のカルピス】!」
「意味がわからねぇッ!」
「ちなみに20の割合で水だ!」
「薄すぎだろそれ!? 何だキャラが薄いって言いたいのかさっきみたいに!」
 アッシュがそう言うと、アキュートはチッチッと指を鳴らす。
「そうじゃないんだなぁ……カルピスっつーのは薄めすぎると甘味より酸味のが目立つんだ。薄めすぎてツンツン尖ってるってことよ!」
「遠回り過ぎてわからんわそんなの!」
「はーいはーい! 次詩穂ー!」
 そう言うと詩穂がフリップを挙げる。
「詩穂のはわかりやすいよ! 【漆黒の黒魔術師】!」
「黒被るってどんだけ黒いんだよ! 無しだ無し!」
「お次はルカだよー! ズバリ【仲間になりたそうに見ている】!」
「だが断る!」
 何故かなななが答えた。
「断るなよ!? ってか何処のモンスターだよ!? 無し無し!」
 そう言われると思って、とルカルカがもう一枚フリップを取り出す。
「それじゃ【ただいま就活中!】かな!」
「どいつもこいつも違うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 アッシュが吼え、ちぇーと詩穂とルカルカがフリップを下げた。
「我儘ねぇアッシュ君は」
 やれやれ、とリリアが呆れた様に首を横に振る。
「いや我儘って問題じゃ無いだろこれは!?」
「何を言ってるのよ。ネタ称号だって立派な称号よ!?」
「だったら今出た称号つけたいか?」
「御免被るわ。そんなアッシュ君にぴったりの称号はこれかしらね」
 そう言ってリリアが取り出したフリップには【伸び悩み】と書かれていた。
「身長、人気共に伸び悩んでいるアッシュ君にぴったりじゃない?」
 そのリリアの言葉に、周囲からプークスクスと噴きだすような声が聞こえる。その言葉に、アッシュの額にピキリと青筋が浮かぶ。
「さっきから黙って聞いてればなぁ……! 大体人気とか言ってもなぁ! 今回は3票入ってるんだよ3票! 前回とは違――ごふぁッ!?
 アッシュの言葉がそこで止まる。気が付くと司会席にいたはずのなななとアゾートが姿を消していた。
 曇りガラスの向こうはアッシュだけのはずの影がいつの間にか3つになっており、1つの影をフルボッコにしていた。
 やがて、その影が動かなくなると2つの影はフェードアウト。そして返り血を浴びたなななとアゾートが司会席へと戻ってきた。
「というわけで称号は【伸び悩み】が正解
「特に問題はないよね?」
 返り血を浴びたなななとアゾートの一部の人種には御褒美でしかないよく解らない迫力に、回答席がうんうんと頷く。
 ちなみに、今回どっかで行われたという人気投票ではなななは2票、アゾートは0票であったらしい。だがそれが今起きた出来事――アッシュフルボッコと関係があるのかは不明である。

※称号:【伸び悩み】