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第1章 突然のトラブル
スワンボート型ガレー船で行く「桜井静香(さくらい・しずか)と巡るヴァイシャリー湖」。
百合園のお嬢様を始めとした生徒達を乗せた船は、ゆっくりと都市を巡り終えると、予定通り翌早朝になって無人島に到着した。今夜は島で停泊したまま一泊し、翌朝出航、昼にはヴァイシャリーへ帰還する予定となっている。
無論静香も、普段はいつも一緒のラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)とは離れてのんびりと遊ぶつもりだった。
だが、スイートルームの金庫からお財布を取り出そうとした彼女が見たものは、陶器製ぶたさん貯金箱がきれいさっぱりなくなっている姿だった。
貯金箱の中には、初日夕方に行われたチャリティ・オークションの売上金がそっくり入っている。静香が用意した手作りゆるスター用着ぐるみは勿論、生徒達が善意で持ち寄ってくれた出品物を、これも善意で生徒が落札してくれた大事な大事なお金だ。
半泣きで部屋を探し回った挙げ句、結局出てこなかった貯金箱について船長に尋ねると、仮面を付けた貴婦人が豚を持って草原の方へ向かう姿が目撃されていたとのこと。
静香は慌てて着替えると、船を抜け出す。話によればその貴婦人はパンくずをこぼしながら歩いていたとのこと、今から行けばその後を追うこともできる。
一瞬、誰かに行き先を伝言しようかと迷ったが、言えば理由を聞かれてしまうだろう。生徒達にも、企画を持ちかけてくれたフェルナンにも、知られるわけにはいかない。
一方フェルナンはというと、そんなことになっているとも知らず、当初の予定通り遺跡を探しに出発していた。
もとより小さい島、遺跡はあっさり見付かったが、その遺跡から少女が飛び出てきて、中で賭博が行われていると知り、彼は予定を変更。借金を負った少女の友人を助けるべく、賭博場に乗り込むのだった。
静香を追いかける者、賭博場で賭け事をしてみる者、少女を助けようとする者、遺跡を探険しようとする者……。
百合園女学院の避暑は、まだ終わらない。
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