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桜井静香の冒険~探険~

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桜井静香の冒険~探険~

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第6章 島の夜


 こうして、夜が来る前に全ての事件は無事、解決することができた。
 賭博を行い、詐欺を行っていた証拠は、生徒と黒髪の胴元、それに従業員の証言及び帳簿で調べ上げられた。遺跡ごとヴァイシャリー軍の調査が入り、暫くは監視下い置かれるはずだ。そして詐欺によって背負った借金は、無効ということになるだろう。
 尤も詐欺をされて捕まっていた百合園の女生徒達は、軽率だったということで、ラズィーヤによってしばらく謹慎処分を言いつけられた。桐生円及びオリヴィア、ミネルバの三人は、狭い船室で逆に囚人の身となり、部屋の外には監視が置かれている。
「わざわざご苦労さまでした。百合園生がバカンスに訪れ、“偶然”賭博を見付け、違法を暴いた……美談ですわねぇ」
 夕方のラウンジで。
 ラズィーヤ・ヴァイシャリーは、フェルナン・シャントルイユをそうねぎらったが、ちっとも嬉しそうには見えない。
「学校がトラブルを起こしてしまったり、余所のトラブルを乗り込んでいって解決する。それでは、特別な力を持たない“契約者”ではない人間は、学生を恐れる一方ですからね。何とか、穏便に事件を解決できたようです」
「相変わらず、地球人には甘いんですのね?」
「排斥運動が起こるのは家業にとっても望ましくありませんしね」
 二人の顔を見比べて、意味がつかめなかった桜井静香は、全く別のことを彼に謝った。
「ごめんなさい。あの、実は、チャリティーのお金のことだけど、今日、ラズィーヤさんに渡しました。やっぱり嘘はいけないって思って……」
「いえ、いいんですよ。貴方のお金です。使い途に関してはお好きになさってください」
 ラズィーヤはぺこりと頭を下げる静香の頭頂を久しぶりに撫でながら、フェルナンを面白そうに見やる。
「念のため言っておきますけれど、静香さんは私のものですわよ」
 ふと。窓際に立っていた村上琴理がパートナーの名を呼んだ。
「フェルナン、何か近づいてくるわ。あれはどこかで見た覚えが……銭湯?」
 水平線の向こうからやってくるもの。それは、くちばしのオレンジがキュートな黄色いアヒルだ。
「わぁー、可愛いね! 懐かしいなぁ。ラズィーヤさん、地球では、ゴムの黄色いアヒルをお風呂に浮かべるんだよ」
 その黄色いアヒルの上にはマストが立っており、パラ実の旗が翻っている。
 行きに出会った湖賊の船だろう。わざわざ向かってくるということは、諦めてなかったらしい。
「確かに可愛らしいですわね」
「襲いかかってくるものを撃退するのは、美談になるかしらね」
 琴理はフェルナンを振り返った。彼は答える。
「そうですね。百合園生らしく、慎ましくお願いします」

 

担当マスターより

▼担当マスター

有沢楓花

▼マスターコメント

 「桜井静香の冒険〜探険〜」へのご参加、ありがとうございました。
  
 まずお詫びから。
 NPCフェルナンについてですが、彼が蒼空学園所属としてNPC名簿に登録されています。これはMC百合園通学、LCであるフェルナンはそのパートナーということで登録したかったのですが、フェルナンが男性ということで、システムの都合上百合園への登録ができませんでした。ですので、仮に蒼空学園所属としてあります。これはPLレベルでの情報ですので、アクションにはあまり関わらないかと思っていましたが、プレイヤーさんの疑いを招いてしまっていました。
 シナリオガイド発表後の登録ということもあり、ご説明する場もありませんでした。この件に関してはこちらのミスですので、関係する行動を取られた方への判定は、そちらのフォローを含めてのものとなっております。申し訳ありませんでした。

 次に、中盤での永夷さん・ルナさん・高潮さんの三人の「お願い事」の賭けですが、これについてはダイスで判定させていただきました。
 桐生円さんとLCさんに関しては、次回参加される場合、武装解除の上、監視付きで部屋に閉じこめられている状況から始まります。脱出して何かを行いたい場合、まずそこをクリアする必要がありますのでご注意下さい。 

 予告ですが、当シナリオは無人島出航前、桜井静香の冒険その3へと続きます。
 ストーリー上は続きものとなっておりますが、毎回話は区切られます。途中からのご参加も歓迎しております。
 宜しければ、また次回でお会いいたしましょう。