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リアクション
「一本、二本、三本―」
「……地道すぎないか?」
切り株の数を数える清泉 北都(いずみ・ほくと)に、顔をしかめたソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)が問いかけた。
「数を数えてなんになるんだよ?」
「何かの手がかりになるかもしれないよ? えーと、伐採された木は全部で九本かな」
もう一度数えて頷く清泉北都。
「意外と少ないねぇ。木の数と魔物の数は等しいんじゃないかと思ったんだけど……」
「魔物は次々にきているんだろ? 九匹どころじゃないな多分」
「そうだねぇ……とりあえず、周りに注意しておいた方がいいかな」
言って【禁猟区】を張り、切り株に近づいた。
「魔法を使った跡も、薬を使った跡もないみたいだなぁ」
「そうだな。単純に木を切ってるだけみたいだ」
二人でじっと切り株を見つめる……と、清泉北都が近付く者の気配を感じ取った。
「何か来る!」
叫んで【スプレーショット】で威嚇射撃。背の高い雑草にまぎれて近付いてきた何かが、身を翻した。
「待て!」
「逃がしません!」
ソーマ・アルジェントが【氷術】を、様子を見ていた影野陽太がスナイパーライフルを用いて【シャープシューター】を使用。
まっすぐ逃げていこうとしたそれを追い詰めその場に留まらせる。
「あなたは、何か知っているんですね?」
「諦めて話すんだな」
清泉北都、ソーマ・アルジェントが問いかけつつ近付く。影野陽太も続いた。雑草の影で動かなくなった相手の姿が露わになる……。
「ろ、ロボット?」
面食らった影野陽太が目を白黒させる。清泉北都は首を傾げた。
「どうしてこんな所にロボットがきたんだろうねぇ」
「とりあえず、調べてみるか」
正面に回り、ロボットを観察する。足を氷で固められたロボットは一メートルもない小さなものだ。
片手にノコギリを持ち、胸元に名札のようなものがついたロボット。
「もしかして、このロボットが木を減らした犯人なのかなぁ」
「ロボットを操ってる奴がいるのかもしれないな」
「観察すれば何か手掛かりがつかめるかもしれません。見てみましょう」
三人で頷き、観察開始。影野陽太がロボットの正面を覗いた。
「名札には、『バッサイーン』と書かれています。このロボットの名前でしょうか?」
「ねえ、後ろに手書きで文字が書いてあるみたいだよ。えーと……」
清泉北都の言葉にソーマ・アルジェントと影野陽太もバッサイーンという名らしいロボットの背後を覗きこむ。
「掠れてて読みにくいけど……英語かな?」
「Made T.kiki……って読めるけど、まさか」
「容疑者の養護教諭の名前って確か起木保でしたよね?」
三人で顔を突き合わせる。
「……君は、起木保先生の命令で木を切り倒しているんですか?」
影野陽太はバッサイーンに問いかける。しかし小さなロボットは返答せず固まったままだ。
「? 壊れてしまいましたか?」
影野陽太がバッサイーンを揺さぶる。すると持っていたノコギリを振り回した。
「わっ! あ、危ないですよ!」
間一髪で避けてからノコギリをロボットの手から引き剥がす。
「このロボットのこと、先生に訊いた方がいいかもねぇ」
立ちつくすロボットを指先で突き、清泉北都が腕を組んだ。
「あぁ。情報収集のメンバーに連絡してみるか」
ソーマ・アルジェントは動かないバッサイーンを携帯電話のカメラ機能で撮影し、メールの送信を試みた。
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