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闇世界…ドッペルゲンガーの森

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闇世界…ドッペルゲンガーの森

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第11章 護りたい心

「ここがクリスタルがあった中心部かしら?」
「そのようだな」
 ルカルカたちは異変を解決しようと6つのクリスタルがある中心部へやってきた。
「特に何もないようだぞ?」
 淵もそれらしいものがないか探してみるが、何も見つからなかった。
「てっきり何かあると思ったんだけどね・・・・・・」
 中心部に来てみたルカルカは何も見つけられずしょんぼりする。



「まさかゴーストタウンの近くに、こんな森があったなんてね・・・・・・」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は犠牲者をもう出したくないという強い思いで森へやってきた。
「ゴーストだけじゃなくってドッペルゲンガーも出るんですよね・・・」
 生物兵器の一件がひと段落し、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)はすっかり臆病な少女に戻ってしまった。
 恐怖心をぐっと抑え、パートナーの美羽と一緒にオメガ救出に来た。
「(もう誰かが死ぬなんて嫌よ・・・今度こそ必ず助けてみせるわ!)」
 ぎゅうっと諸葛弩を握り締めて決意を新たに進む。
「(怖いです・・・お化けとかお化けとかお化けが出ませんように!!)」
 臆病な少女はブルブル震えながら心の中で言う。



「絶対にオメガさんを見つけだすのですーっ!」
 友達の魔女を助けようと桐生 ひな(きりゅう・ひな)は殺気看破で警戒しながら森を進む。
「私たちの偽者と出会ってたら警戒されてしまいますから、いきなり駆け寄らずに優しく呼びかけてあげましょうね」
「いきなり近づいたら怖がらせてしまいますからねー・・・」
 ひなは御堂 緋音(みどう・あかね)の言葉にこくりと頷いた。
「そこにいるのは誰!?」
 どこからか少女の声が響く。
「この声はオメガさんじゃないですね・・・ドッペルゲンガーだったら私がやっつけちゃいますよ!」
 高周波ブレードを納めている鞘に手をかけ、ひなは姿の見えない相手に向かって怒鳴る。
「なんだ・・・蒼空学園の生徒じゃないの」
 十六夜 泡(いざよい・うたかた)が大木の枝から飛び降り姿を見せた。
「それと・・・・・・私はドッペルゲンガーじゃないわ」
「本物ですよ!」
 泡の胸ポケットからリィム フェスタス(りぃむ・ふぇすたす)がひょっこり顔を出す。
「てっきりドッペルゲンガーかと・・・ごめんなさいです」
「いいわよ、こんなところじゃ誰が本物か分からないし」
「私たちオメガを助けにきたんですけど・・・あなたは?」
「森にオメガが攫われたってミニたいふうたちに聞いたから助けに来たのよ」
 緋音の問いかけに泡は当然のように答える。
「オメガを探してるやつ結構いるんだな」
 行く手を阻む邪魔な草を見つけながら国頭 武尊(くにがみ・たける)が声をかけてきた。
「目的が同じならボクたちと一緒に行動しませんか?」
 捜索中に武尊と合流したヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)は一緒に行こうと言う。
「あのー・・・私たちもご一緒させていただきませんか」
「長時間探すとなると、やはり2人だけじゃキツイですわ」
 会話している彼女たちの声を聞き、神代 明日香(かみしろ・あすか)神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)がやってきた。
 闇世界の霊的障害により、小型飛空艇が不調を起こし飛べなかった。
 そのため森の中を歩き回るはめになってしまい疲れきっている。
 たとえ使えたとしても空から鬱蒼と木々が覆い茂る森の中にいるオメガを見つけるのは、海の中から米粒を探すことと同じくらい困難なため不可能に近い。
「いいですよ行きましょう!」
 合流した生徒たちは1人ぼっちの魔女を捜索しようと歩き出した。



「なぜオメガさんにだけ手紙が届いたんだろう?やっぱり狙いはオメガさんなのかな・・・」
 今井 卓也(いまい・たくや)はなぜオメガだけに手紙が届いたか疑問に思いながらも、いなくなった魔女を探していた。
「傷を負ったりしていなければいいのだけどな」
 魔女を助け出そうとフェリックス・ルーメイ(ふぇりっくす・るーめい)も協力して捜索している。
「近くにお嬢さんの気配がする・・・」
「えっ・・・・・・?(ルーメイ・・・超感覚みたいなのあったけ?)」
「こっちだ!」
 ルーメイセンサーで気配をたどる。
 特殊な能力ではなくルーメイの執念によるセンサーだ。
「怪しいやつめ、近寄るな!」
 見つけたのはオメガではなく、夜薙 綾香(やなぎ・あやか)だった。
「ドッペルゲンガーか?ならば容赦はせぬ」
 メーガス・オブ・ナイトメア(めーがす・ないとめあ)はハルバードの切っ先を向けて警戒する。
「偽者じゃありません、本物です!」
 斬りかかろうとするメーガスに慌てて言う。
「まったくこの俺を粗悪な偽者と間違えるなんてお茶目な人だ」
 片手でさらっと自分の金色の髪を撫で、流し目の目線で決めフェイスをする。
「―・・・・・・怪しいな」
「あぁあ〜待って!こんな感じだけど一応本物なんだよ!」
「それで通常の状態か・・・・・・失礼した」
「そうなんだよ、これで普通なんだ」
 さらりと酷いことを言われていることに気づかず、百合の生徒に出会ったルーメイの顔はご機嫌だった。
「ぅぅ・・・誰か・・・いませんか・・・?」
 怯えながら赤羽 美央(あかばね・みお)が草の間から顔を出す。
「いるぞ」
「ヒィイイ!?」
 背後から綾香に声をかけられパニック状態になってしまう。
「あぁぁあ人でしたか。てっきり幽霊が出たかと」
「ほぅ幽霊とな?」
「キャヒィイイッ!!」
 恐怖のあまり美央は腰をぬかしてしまった。
「幽霊コワイ・・・幽霊コワイ・・・幽霊コワイ・・・・・・」
 膝を抱えガタガタと震えて怯える。
「我も幽霊ではないが」
 死角から声をかけてきたメーガスは、幽霊と間違われ眉間に皺を寄せた。
「どうしましたお嬢さん」
「ゆうぅううれぃいいいっ・・・・・・・・ゅぅれぃ・・・・・ゆぅ・・れ・・・きゃぅっ」
 声をかけたきたルーメイに驚き、恐怖に耐え切れず美央はついに気絶してしまう。
「むっ・・・この香りは・・・・・・オメガ嬢!」
「今度こそ本当なんだろうね」
「間違いない・・・・・・行くぞ卓也!」
 卓也は不安そうな顔をして先に走り出したルーメイを追い、綾香とメーガスも倒れた美央を抱えて彼らについていった。