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闇世界…ドッペルゲンガーの森

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闇世界…ドッペルゲンガーの森

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第12章 負けない思い

「待っていてくださいオメガ嬢、今あなたのルーメイが助けに行きます!」
「ルーメイ、どこまで走るのさ!」
 オメガの香りがすると言って爆走するパートナーの後を卓也は息をきらせながら必死に追いかける。
「あれは・・・!」
 草陰で蠢く人影を見つけた。
「オメガ嬢、迎えに参りましたよ」
 駆け寄るとルーメイはひざまずいて言う。
「―・・・・・・いやボクはオメガちゃんじゃないんだけど」
 エル・ウィンド(える・うぃんど)は眉を潜めてひざまずくルーメイを見下ろす。
 ショックのあまりルーメイは石のようにその場で固まってしまう。
 その時、傍をザザザッと素早く人影が移動した。
「あ・・・・・・オメガちゃん!」
「やっぱり近くにいたんですね!」
 エルの言葉の中にある単語に反応し、ルーメイが復活する。
「見つかったんですか!?」
 気絶してた美央も目を覚ました。
「いやぁあっ、来ないでっ」
「ボクたちはドッペルゲンガーじゃない。何も怖いことはないからこっちへ来てくれ」
 呼びかけるエルの言葉を信じきれないオメガは近寄ろうとしない。
「だいぶ怯えてしまっているようだ・・・」
 綾香は怖がる魔女を見つめ、どうしたら信じてくれるか考え込む。
「見つけましたよ、オメガさん」
「さっきはいきなり追いかけちゃってごめんね」
 メイベルとセシリアがゆっくり近寄る。
「とても恐ろしい目にあったのですわね。ですが、今はもう何も怖いことありませんわ、さぁこちらへ・・・」
 フィリッパは優しく声をかけ手を差し出す。
 差し出された手に触れようとしたのと同時に、バチィイチィッとどこからか雷術が放たれた。
 草の上にとっさに伏せ、なんとか術を回避する。
「残念、外してしまったようだな」
 薄暗い森の木々の間を通ってエルとそっくりな人物が現れた。
「ボクのドッペルゲンガー・・・」
「そうさ、さっきその小娘を消してやろうとしたら、逃げられてしまったんだよ」
 醜悪な笑みを浮かべ、震える魔女を見下ろす。
「―・・・だからさっき逃げようとしたのか」
「より強い輝きを手に入れるために強いやつを倒す。それのどこが悪い?」
「ただ欲望のために手に入れた強さなんて、メッキにすぎないぞ!」
「どっちがメッキか試してみるか・・・?」
「望むところだー!」
 エルは鞘からライトブレードを抜き放ち、ドッペルゲンガーへ斬りかかる。
 刃のぶつかり合う音が空気を振動させて周囲に響く。
「キミの自信をドロドロに溶かしてやろう・・・アシッドミスト!!」
 ドッペルゲンガーがエルに向かって濃硫酸の霧の術を放つ。
「甘いなっ、凍てつけ霧よ!」
 氷術を使い霧を凍らせてガードする。
「ちぃっ・・・・・・」
 無力化された白い霧が視界を塞ぎ、エルの姿を見失ってしまう。
「キミに本物の輝きを見せてやろう!邪悪なドッペルゲンガー、聖なる光に滅ぼされるがいい!!」
 光術を刃に纏わせ、脳天と首そして心臓を貫く。
「本物の強さとは、誰かを守るために求めるものだ・・・」
 エルの三段突きによって偽者の生を終わらせた。



 硫酸の霧で受けたエルの傷をメイベルがヒールで癒してあげた。
「はい、これでもう大丈夫ですよ」
「ありがとう」
「服ボロボロだな・・・」
 綾香はエルのボロボロになった服を見て眉を潜める。
「あぁこれくらい仕方ないさ」
「すみませんわたくしのせいでお洋服が・・・」
「オメガちゃんのせいじゃないって。こんなの家に戻ってから縫えばいいんだし」
 しゅんとする魔女にエルはへらっと笑い、気にするなという仕草をする。
「後は他の生徒がクリスタルを破壊してくれるのを待つだけか」
 メガースが呟くと、いきなり周囲を炎に取り囲まれた。
「また襲撃か!?どこだ・・・どこにいる・・・」
 辺りを警戒して綾香は睨むように見回す。
「やっと見つけましたわ」
 聞き覚えのある声が聞こえ、死角からオメガを狙いサンダーブラストが放たれた。
 誰もが手遅れだと思ったその時、1人の生徒がオメガの手を掴み、バーストダッシュによる猛スピードで空へ逃れる。
 突風のような素早さで魔女を救ったのはツクヨミモードの泡だった。
「怪我はないようね・・・」
 オメガの身体を確認して怪我がないか見てやる。
「―・・・オメガを狙ったヤツ・・・出て来い!私が相手になってやる!!」
「お相手なら後でしてさしあげますわ」
「くぅうっ!」
 氷術でなんとか防ぐが、ファイアストームが巻きこす炎の嵐で、魔女から引き離されてしまう。
「オメガちゃん、勇気を持って偽者と戦うんだ!」
 偽者の自分に負けるなと、エルが叫ぶように言う。
「で・・・でも・・・」
「怯えるだけの魔女なんてわたくしの敵ではありませんわ」
 ドッペルゲンガーのオメガは氷術を使い、彼女の周囲を氷の壁でとり囲む。
 偽者によって冷たい牢獄の中に閉じ込めてられてしまった。
「さぁ寂しく凍え死になさい♪所詮あなたは1人。口で友達と言っているも者たちなんて裏切り、離れてしまうのですわ!」
「やめろぉおおっ!」
 止めを刺そうとする冷酷な魔女に向かって、オメガの危機に駆けつけたロブがシャープシューターの銃弾を放つ。
「邪魔ですわ・・・」
 弾丸の雨を雷術で防ぐ。
「駆けつけてみればこの騒ぎですか」
 真人は諸葛弩の弦を引き、数十本の弓矢を放つ。
 閉じ込められているオメガの傍から追い払おうと、セルファはソニックブレードの刃風を放った。
「私の目の前で、もう誰も殺させない!」
 しつこく命を狙う魔女に、轟雷閃の気を纏った弓矢で美羽が射ろうとする。
 ベアトリーチェは動きを封じようと氷術でドッペルゲンガーの足元を凍らせた。
「―・・・っ」
 足を滑らせた魔女へもう一度術を放とうと手の平を向ける。
「わたしくをなめないでくださる!?」
 邪悪な魔女はベアトリーチェに向かってサンダーブラストを放つ。
 美羽はパートナーの身体を抱えて地面へ転がり術から逃れた。
「このままではオメガさんが凍えてしまいます!」
 緋音は氷の牢獄に囚われたオメガを心配してオロオロする。
「私が今すぐ助けてあげるですよっ」
 ひなはオメガを助け出そうと駆け寄る。
「何ですかこの氷、なかなか壊せないですー!」
 高周波ブレードで砕こうとするが、分厚い氷の壁を頑丈すぎて破壊できない。
「早く助けないとオメガちゃんが凍え死んでしまうですっ」
「伏せろ!!」
 ロブのシャープシュータで氷にヒビを入れる。
「これで助けられるです!えぇえいっ」
 バキィンッ。
 氷の牢獄を破壊し、ひなは寒さに凍える魔女を助け出して緋音の方へ急ぎ駆けていく、
「そうはさせませんわ」
 背を向けて逃げていく少女たちを狙い、ドッペルゲンガーが雷術を放つ。
「きゃぁああっ!!」
 彼女たちを守ろうとヴァーナーが術の中へ飛び込む。
「いけませんわ、早く治療しないと!」
 夕菜と明日香が術をくらってしまった少女をヒールで治療する。
「オメガさん待っていてくださいですぅ、彼女の治療が終わったらすぐ治してあげます」
「わたくしを庇ってこんなことに・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんさい・・・・・・・・・」
「泣かないでください・・・オメガちゃん。オメガちゃんが無事ならボクこれくらい平気です」
 傷を負いながらも少女はニコッと微笑みかけた。
「目障りですわ、さっさと消えなさい!」
「簡単に消されては来た意味がないんでな、邪魔させてもらうぞ」
 パートナーにパワーブレスをかけてもらい、メーガスは爆炎波の炎の風を放つ。
「もうこれ以上・・・わたくしの友達を傷つけないでーっ!」
 ビリリッと空気が振動し、オメガを中心に強烈な衝撃波が発生した。
 周りの木々は衝撃によって折れ、吹っ飛ばされてしまう。
「おい、あの魔女が気絶している間に離れるぞ」
 重症を負っているヴァーナーを抱えた武尊は、今のうちに逃げるように促す。
「さっきの衝撃波で道が塞がれてしまっているわね。やるわよリィム!」
「えぇ任せて!」
 道を阻む折れた大木を叩き壊そうとツクヨミは、パートナーのリィムと氷術で凍らせ、ドラゴンアーツの鉄拳で粉々に砕く。
 オメガを探し出した生徒たちはクリスタルが破壊されるまで、互いに助け合いその時を待った。