シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

『古代文明探求機構』の調査員を護衛せよ!

リアクション公開中!

『古代文明探求機構』の調査員を護衛せよ!

リアクション


第三章 第3班行動開始〜あかさたな、はまやらわ〜

「ではこれから、研究者を交えて、この通路を進む3班のメンバーの何人かにインタビューをしていきたいと思う」
 ミヒャエル・ゲルデラー博士(みひゃえる・げるでらー)は意気込むと、近くにいた皆川 陽(みなかわ・よう)と彼のパートナー、テディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)へと声をかける。
「そこの二人、少々よろしいだろうか?」
「えっ、な、何ですか?」
「どーしたの?」
 脅えの篭った声と、明るい声、対照的な二つの声が返ってきた。前者が陽、後者がテディだ。
「私のインタビューに答えてほしいのだが……」
「え、ええ。いいですよ」
「おもしろそうじゃん。OK」
「では――なぜ今回の依頼を受けようと思ったのかお聞かせ願えるか?」
 録音用マイクを差し出すゲルデラー。
「ボ、ボクは別にここに来たかったわけじゃ……今だって怖いですよ。で、でも、ボク、契約者だからがんばらないと、みんなに嫌われそうで……」
 自信なさげに答える陽。
「人民を守る騎士として、魔物と戦うのは当然だ!」
 陽とは裏腹に、前向きな理由を返すテディ。二人の温度差が伺える。
「なるほど。参加する理由は人それぞれ、と。次の質問なんだが、この洞窟、『グスト・ソレントの檻』と鏖殺寺院との関係性について何か知識はあるだろうか?」
「う〜ん、考えたことないなぁ」
「ボクも……。バルジュ兄弟が昔、鏖殺寺院の手下になって領民に相当酷いことをしていたってことぐらいしか知らないです……」
「ふむ。そうでありますか……」
 期待していた情報が得られずに、少し落胆の色を見せる。
「その質問、私が答えてみせましょう」
 そこへ、同行する研究者が現れた。たまたまその研究者から話を聞いていたウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)と、七尾 蒼也(ななお・そうや)も一緒だ。
「おお、専門家の登場でありますか。ぜひともご教授願いたい」
 再びマイクを向けるゲルデラー。
「いいですよ。――先ほど発言があったとおり、この洞窟『グスト・ソレントの檻』は悪政を敷いていたバルジュ領の領主、グスト・バルジュとソレント・バルジュの兄弟を閉じ込めた場所なんです。彼らは鏖殺寺院の傘下となって、税金の引き上げや、悪政に抗議する人間を残虐に殺したりしてきました」
「なるほど……。残虐に殺すとは、一体どうやってでありますか?」
「生きたまま鉄板で全身を焼いたり、熱した油の中に叩き落したり、血縁関係のある者同士を死ぬまで戦わせたり、女性に関してはもっと悲惨です。夫や恋人の見ている前で巨大な魔物に犯されて妊娠させられ、胎内に収まりきらなかった魔物の仔によって内臓を破られて出産、ですからね」
「うっ……」
「マジで……?」
 手で口を押さえる陽と、顔面蒼白となるテディ。
「確かにそれは、恨まれても仕方がないでありますな……」
 コホン、と一つ咳払いをして、研究者は続ける。
「クーデターに敗れた後、彼らは謎の死を遂げるのですが、その原因も明らかになってません。その謎も今回の調査次第では解明するかもしれないですね」
「それって、もしかして寺院による女王殺しの謎にも関連しているんですか?」
 それまで黙って話を聞いていたウィングが質問を投げかける。
「う〜ん、どうでしょう。神殺しの力とは今回は関係ないのかもしれませんね」
「そうですか……」
「でも、ゴーストに会えばいろいろ聞けますよね?」
 蒼也がタイミングを見て問いかける。
「その可能性は十分ありますね。まぁ、会えればいいんですが……」
「いや〜、いい感じで話が盛り上がってきたでありますが、そろそろ、先に向かいましょうかな。皆さん」


 インタビューが行われている頃、ゲルデラーのパートナーであるアマーリエ・ホーエンハイム(あまーりえ・ほーえんはいむ)と、ロドリーゴ・ボルジア(ろどりーご・ぼるじあ)は、洞窟内の映像を納めることに苦心していた。
「ええい、この機材の量は何とかならんのか!?」
 大量の撮影機材を乱暴に地面に設置すると、ロドリーゴは苦言を吐く。
「重要な機材だぞ。乱暴に扱うな!」
 ぞんざいな扱い方が頭にきたのか、ロドリーゴを一喝するアマーリエ。彼女の怒りの表情に圧され、ロドリーゴは思わず、
「す、すまん!」
 と反射的に謝ってしまう。
 気を取り直して、撮影に移る。
「さて、内部を撮影しますが――そんなに明るくはないですね。フラッシュを焚きましょう。ロドリーゴ、お願いします。撮影したらすぐに移動ですよ。置いてかれたら取材になりませんから」
「わ、わかった」
 急いで準備を始めるロドリーゴであった。


 班の後方にいた神名 祐太(かみな・ゆうた)は、周囲の警戒をしながら歩いていた。だが、魔物や罠の警戒だけが目的ではない。持ち帰れそうなものを見つけ次第、目印を付け、任務が落ち着いたら回収するつもりだった。
「さて、レアものちゃんはどこかな〜。出来ればバルジュ兄弟が持ってるやつとかあればいいんだけど……。まぁお宝が手に入ればいいだろ。贅沢は言わないぜ」
 独りごちて捜索を続ける。と、小さなわき道の奥に、不自然に岩が置いてあるのを視認した。気になったのでよく見ると、子供一人くらいが入れそうな穴を岩が塞いでいた。
「これは何かあるな。時間もかからなさそうだし、ここで手に入れるぜ」
 頑なに塞がった岩はビクともしなかったので、光条兵器『TRICK・CARD』を使って破壊する。
 穴の中には、華美な装飾の曲刀があった。刀身は錆だらけのため価値はなさそうだったが、装飾は土を払えば高額のものになるだろう。
「こんなところに武器? どうしてだろう……ま、いいや。お宝ゲット!」
 道具袋にしまいこむと、置いていかれないように班の一行のもとへと走っていく。


「えっと、何々、『さ3U、わ2D、ま4R、か2R、あ2L』だって。オーちゃん、アリアちゃん、分かる?」
 蛇のようにクネクネとまがる道を進んで数十分。つり橋が掛かっている場所へ出た守山 彩(もりやま・あや)が、十数メートルはある扉近くの石版に書いてある問題を解くため、自分のパートナー、オハン・クルフーア(おはん・くるふーあ)と、一緒に歩いていたアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)に知恵を求める。
「う〜む。我輩ではわかりかねるな」
「私もちょっとわからないわね。他の人に聞いてみたらどう?」
「ん〜。ホントはこういった謎解きと正面からぶつかっていきたいんだけど……『仲間に迷惑をかけてはいけないっ!』ってパパが言ってた気がする! そしたらね〜、あっ、いたいた。祐太く〜ん」
 班の後ろにいた祐太に声をかける。呼ばれて、祐太はすぐに駆けつけた。
「どうした?」
「石版に書かれてる意味がわからなくてさ。どうかご助力を〜」
 八重歯をちらつかせて合掌する。
「おお。いいぜ。どれどれ……」
 眺めること数分。祐太は手を打った。
「解けたぜ。答えは、“しんへいき”だっ!」
 扉が、祐太の言葉に反応してゆっくりと開き始める。
「え〜。すごいすごい! 一体どういうことだったの?」
 心から感心した様子で祐太を褒めちぎる彩。
 微笑を浮かべながら祐太は説明した。
「簡単なパズルだぜ。“あいうえお”から“わをん”までを縦に並べた表――小学校低学年の教室とかに張ってあるアレな――にこの暗号を当てはめていけばいいんだ。最初の文字、これは日本語の50音の行に対応してるんだ。それで数字は段。最後のアルファベットが厄介だったけど、これ、『U』は『Up』、つまり上を指していて、『D』は『Down』、つまり下を指す。もうわかると思うけど『R』は『Right』で右、『L』は『Left』で左を指しているんだ。それぞれが指す文字を探していったら、しんへいき、ってなったわけだ」
「なるほどね〜」
「彩殿、祐太殿に頼んで良かったですな」
 と、談笑していると、急に扉が閉まっていく。
「おっ、開いている時間は制限つきみたいだね。急ごう」
 彩が足を踏み出したその時、ウィングの声が上がった。
「魔物の集団がこっちに向かってます。研究者の方々と一緒に早く進んでください!」
「ありゃ、大変だぁ! 祐太君は先に行って研究者さんたちをお願い!」
「わかったぜ。まかせろ」
 逃げてくる研究者たちを先に進ませ、後方を警戒しながら扉の中へと向かう。
 ゴブリン巨大トカゲインプスライムといった多種多様な面子の魔物たちは、数十匹単位で、つり橋の中ほどまで向かって来ている。
 決して強くはないが、つり橋という、狭い上にバランスも取りづらい限定空間が足枷となる。
 すでにウィング、陽、テディ、ゲルデラー、アマーリエ、ロドリーゴがローテーションを組んで、撃退しつつ扉の方まで進むというヒットアンドアウェイを繰り返している。
「陽君、テディ君、下がれっ! 食らえっ!則天去私」
 眩い光と共に繰り出されたウィングの必殺拳を受けて、正面にいた魔物の大部分は一瞬で灰になった。
 数も序々に減っていき、残りわずかとなった。
「どうせだから全部倒しちゃお! 行くよ。オーちゃん。アリアちゃん」
「承知した」
「わかったわ!」
つり橋を渡りきった魔物と対峙する三人。研究者と共に扉へ向かうゲルデラーたちを見届けた後、一気に駆け出した。
「でやあああっ!」
 裂帛の気合いと共に跳躍した彩は、ゴブリンを脳天から股下まで一気に切り捨てる。さらに、タイミングよく踏み込んだアリアがゴブリンの隣にいたスケルトンを袈裟切りにする。最後に、まだ息のあったスライムをオハンが踏み潰した。
「あら、オーくん。あんまり出番なかったねぇ」
「……ふん、今に見ていたまえ」
 にしし、と意地の悪い笑みを浮かべる彩に、オハンは負け惜しみを吐く。
「さて、扉がしまっちゃたら大変だから、戻ろうか」
 ギリギリで開いている扉に入ろうとした矢先、
「っ! 危ないっ!」
 岩陰に隠れていたプチデビルが彩の背中に飛び掛ってきた。鋭い爪が彩の背後を切り裂く前に、アリアが刺突を放って扉の外へと出す。
「アリアちゃん!」
「ここは私が引き受けるから、早く行って」
 アリアが扉のほうに声を上げる。
 やがて、彼女の姿は見えなくなった。
「そんな……」
「彩殿、アリア殿なら大丈夫。あんなザコにやられるほど弱くはありません」
「……うん。そう、だね」
 踵を返すと、先に進み始める。


 実際、アリアは無事だった。剣で突いた後、追撃を加え、プチデビルを倒した。
 が、もうみんなと先に進むことはできない。仕方がないので、来た道を戻ることにした。
(うう……先に行けなかったな……)
 悔しさを胸に凝らせながら――戻る。
 しばらく歩いた、そのとき、

 カチッ――

 スイッチのようなものを踏む音がしたかと思うと、上から何本もの触手が伸びてきて、アリアの全身を絡め取った。
「えっ、なに? きゃあああああっ!」
 じゅぶじゅぶと液体じみたもので覆われたその無数の触手は、アリアの手や足を縛り、自由を奪う。
 やがて、無数の触手はアリアの内股へと伸びてゆき、スカートの中へと侵入する。謎の液体で湿った表面が、足の付け根をベトベトに汚していく。
 同時に、シャツの隙間から入ってきた触手もまた、胸部へのイタズラを開始した。
 アリアの形のいい胸をじゅるじゅると這い回りだしたのだ。
「ちょ、そこはっ! やめてえええええぇぇ!」
 下腹部へ入った触手もまた、少女のデリケートな部分を弄り始める。
「ひっ、はあっ! やめてっ!」
 触手の恥辱から逃れようとするも、抵抗する自由を失った身体ではほとんど意味がなかった。
 このまま罠の玩具になるしかないのかと、諦めかけていたそのとき、声が聞こえた。
「調査団が来る前にお宝を横取りしちまおうぜ!」
「いいねぇ……へへへっ!」
 この洞窟を拠点にする盗賊だった。
「あ、あのっ! 助けてくださいっ!」
 出来る限りの大声を出して叫ぶ。
 助けを呼ぶ声が届いたのか、盗賊たちはアリアの方へと向かってくる。
「ん、なんだあれ?」
「罠にかかってるやつがいるな。ドジめ。どれどれ……」
 アリアが触手に辱められている光景を見て、二人は生唾を嚥下する。
「んふっ……あ、あのっ! 助けてください! 私、罠にかかちゃって、ひっ! そ、それで……」
 自分の状況を説明しようとするアリアだが、触手が体中で蠢くせいで、否応なく艶かしい表情と上ずった声になってしまう。
 まともな男性ならば、理性など保てそうにないほどに。
「おい、早速お宝発見じゃね?」
「うん。俺もそう思った」
「えっ……」
 アリアは、二人の言っている意味がわからなかった。彼らのズボンの股間部分が、テント状になっているのを見るまでは。
「えっ、う、うそっ! いやああああああああっ!!」
 下卑た笑みを浮かべながら近づいてくる男どもを見て、アリアはただ悲鳴を上げることしか出来なかった。