シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

君が私で×私が君で

リアクション公開中!

君が私で×私が君で
君が私で×私が君で 君が私で×私が君で 君が私で×私が君で

リアクション

 エピローグ ツァンダ編

「真菜華……! どこに行ったんですか……!」
 自分の身体で何をやらかしているのか気が気でない春夏秋冬 真菜華(ひととせ・まなか)は、エミール・キャステン(えみーる・きゃすてん)を必死になって探していた。
 一体、どこへすっ飛んで行ってしまったのか。まだまだ彼女の行動は予測不能だ。携帯に電話しても、ガン無視されて出てもらえない。涙目である。
「元に戻ったら……お仕置きです……!」
「真菜華! お前、ピノ……俺を知らないか!?」
 そこで後ろから名を呼ばれ、真菜華は振り返った。小学生くらいの金髪美少女が走ってくる。割と余裕の無い表情をしていた。
「今、わたくしを……真菜華の知り合いなのですか!? 真菜華の中身がどこに居るか知りませんか……って、知らないから声を掛けてきたんですよね……! でも、知り合いなら……お嬢さんから真菜華に連絡を取っていただけませんか?」
 ピノは息を切らして立ち止まると、エミールを見上げて言った。
「……? お前が真菜華だろ?」
「いえ、そうではなく入れ替わって……」
「は?」
 やがて、お互いに情報交換をすると、ピノは言った。
「あいつら……絶対に一緒に居るな……!」
 そんな会話を交わす2人に、通行人がちらちらと視線を送ってくる。ピンク色の髪をしたグラマーで可愛い少女と幼女幼女と言われる外見年齢一応12歳の2人は、何気に男子諸君の目の保養になっていた。
 写真を撮ろうだのこれから遊ばないだのという誘いを蹴散らしながら、2人はお互いのパートナーを探した。
 そして――
 ゲームセンターに人集りが出来ているのを見つけ、真菜華達は何かピンとくるものがあり中に入った。
「ねえねえ、ちょっと通してくれる?」
「なにやってんのー? 見せて見せてっ!」
 こういう時だけ見た目を利用して人をどかす。後で想像し直すと気持ち悪くなるかもしれないが知ったこっちゃない。
 しかし、人垣の前列は、何故か女性ばかりが揃っていて――
 中心では、ダンスゲームで抜群のコンビネーションを魅せるエミール達が居た。ラスに至っては、少なくとも自分の部屋のクローゼットには入っていない服を着ている。
「きゃーーーーーー!」
 …………orz
 がっくりとする2人を他所に、エミールとラスは女性達に大量のプリクラ写真を配り始めた。
「マナカ達のプリクラだよ! いっぱいあるからどんどん持ってってね!」
「ちょ……待ってください真菜華! その格好でプリクラとか撮ってたんですか?」
「何、エミール来たの?」
「何って……!」
「撮ったよ? あのね、30年位前の古いやつがあってね! 面白いんだよ、囲いが無いの!」
「は……?」
「古いやつって……!」
 そう、プリクラ黎明期、その名の由来ともなった『プリント倶楽部』は一方向にビニールが掛かっていただけで、ほぼオープン状態だった。その機械でプリクラを撮ったということは……
 明らかに異様な風景です、大変有難うございました。
「最近のでも撮ったけどねー。らくがきとか出来て面白いし!」
 何十枚撮ったのか、1枚まるごと配ったりしている。
「お願いします! 止めてください!」
「お、おいピノ! お前第一、その金何処から……」
「お兄ちゃんのへそくりだよ? 30万くらいあったよね!」
「……!」
 ピノはそこで気付いた。足元にある紙袋が、超有名ブランドであることに――

 ツァンダにあるとあるカフェ。
 大量の買い物袋を床に置き、エリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァ(えりしゅかるつぃあ・にーなはしぇこう゛ぁ)は窓際のテーブル席に座った。袋の中には、翌日の初デートに着て行く……つもりの服以外にも色々な小物や服が入っている。
 入れ替わりを愉しもう、とエリシュカを演じてはしゃいでいたら、いつの間にかこんな量になってしまったのだ。
 それは見事な演技っぷりで、途中で会った知り合いにもバレていない筈だ。
 ――しかし。
「……明日……どうしようかしら」
 ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が、トレイを持って隣に座った。何故か髪型がツインテールだ。彼女は、2つある紙製タンブラーのうち、1つをエリシュカの前に置く。
「もし宜しければ、明日はわたくしが御方様のふりをして逢引を代行致しましょうか?」
「それはいや」
 速攻で却下すると、エリシュカは溜め息を吐いた。
「明日のデートに向けていざとなったら特殊メイクで顔だけでも元に戻しておかないと……胸はまぁ問題ないし、足りない身長はシークレットブーツで補うとして、翼は服に隠さないと拙いわね。そうすると、露出度の高い服はNGか……幾ら十八番で得意としているとは云え、自分に変装するというのも妙な気分だわ」
「御方様……」
 その時、向かいの椅子にグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)が座った。
「はわ……ライザの胸、大きいの」
 グロリアーナは注文したケーキの包装を剥きはじめる。胸が邪魔でやりにくそうだ。
「そういえば、どうしてこうなっちゃったの、かな……? エリーがエリーじゃなくなって、ローザがエリーになって……菊媛がローザ、ライザが菊媛……みんなで原因を考えて、なんとか元に戻ろうよ」
「まぁ、何だな。四人が四人とも、抜群のプロポーション故、入れ替わっても不公平感が全く生じないのが救いと言えば救いだな!」
 最後に上杉 菊(うえすぎ・きく)がコーヒーを持って席に落ち着く。空気を読めていない発言に、ローザマリアとグロリアーナが慌てたような顔をした。だが、菊は気付かない。椅子の上で、改めてまじまじと菊の身体を観察する。
「それにしても、流石は甲州随一の美貌を持つとされた油川夫人を母に持つだけはあるな。東洋人とは思えぬ透き通るような色白の肌ながら、無駄のない、引き締まった善い身体だの」
「あ、あのぅ……ライザ様? そのように、わたくしの身体を見詰めないで頂けますでしょうか……ぅぅ、景勝様に合わせる顔がございません……」
 頬を赤らめて、ローザマリアは菊を止めようとする。
「合わせる顔、か……本当よね……」
 エリシュカが呟くと、グロリアーナが心配そうにしながら言った。
「何か、昨日、変なもの食べた、よね? みんなでデザートにって、ライザが貰ってきた、あの果物が、原因なんじゃない、かな?」
 彼女の口には、ケーキの生クリームがびっちりとついている。子供っぽい仕草と、大人の身体がどうにもちぐはぐだ。
「も、もう少し、綺麗に食べる事は出来んのか! わらわがはしたないと思われてしまうではないか……!」
 菊が慌ててグロリアーナを叱る。
「そういえば、見たことのない品種だったわよね……でも、それが原因だとしても、もう全部食べちゃったし……どんなものかも調べられないわ……」
 エリュシカは、すっかり後ろ向きになってしまっているようだ。
「ねえ、ライザ、あの実ってどこで貰ってきたの?」
「蒼空学園に所用があった者が持って返ってきたのじゃ。果実狩りなるものが催されていたらしい」
「ふーん……じゃあ、蒼空学園に行けば、何か判るのかな?」
 対策を話し合うものの、主に参加しているのはグロリアーナと菊だけで、ローザマリアは憂いの籠もった顔で髪を三つ編みにしてみたりしている。どう発言して良いのかわからず、気になっていた金髪につい手が行ってしまうのだ。
 エリュシカは、やはり浮かない顔だ。
「帰ったら、変装用に自分の顔マスクを用意しないと……声は……あー、あー……うぅん……ちょっと誤魔化すのは難しいから、風邪ってことにでもしておくしかないか」 ――既に、最悪の事態を想定しているらしい。
 見るに見かねて、というように菊が真顔で言う。
「随分と弱気ではないか、其方らしくもない。妾の知るローザは、如何な困難な状況に在っても、最後まで諦めずベストを尽くす人間だった筈だが」
 彼女なりに、ナーバスになっていくローザを陰ながら気にしていたらしい。ポジティブになるように励ましの言葉を送る。
「だって……せっかくの初デートなのよ。楽しみにしてたのに……」
「……致し方ありませんよね。明日が好いた方との逢引ともなれば、尚更に……御方様が不憫でなりませぬ」
「そういう発言は止めるのじゃ、菊媛」
 先程空気読まずな事を言ったことを棚に上げて、菊は言う。もっとも、あれも空気を明るくしようとしてのことだったのだが。
「とにかく、蒼空学園に行ってみようよ。きっと、何とかなるよ」
「……そうかしら…………うん、行ってみようかな……」
 グロリアーナの提案を受けて、エリュシカは立ち上がった。みんな心配してくれているようだし、本当に何とかなるかもしれない。
 もう少し、前向きに考えてみよう。
 その時、ツァンダの街に放送が流れた。直し方についての説明があった後――
『……ということで、近くに居る方は蒼空学園にお越し下さい。果実と薬が揃っています。果実は数が足りなくなる可能性があるので、決してまるごと食べないようにお願いします……』
 彼女達はそれを聞いてきょとんとし――菊達は笑顔で、泣き出しそうになるエリュシカの肩を叩いた。
「……よかったね!」
「明日は愉しんでくるのじゃぞ」
「……御方様、おめでとうございます」

「ほれほれ〜一日は長いようで短ぇんだ! ジャンジャン行くぜ〜!」
「ひゃぁぁ〜!」
 某(綾耶)は、相変わらず康之に引っ張りまわされていた。最早、勘違いを正すのは諦めている。
(そういえば、これってデートになっちゃうんでしょうか……って、違いますよね!? 違います! 男の子同士だし……でも……)
 俯きがち、遅れがちになった某に、康之は足を止める。向き直って某の両頬を手でむにっと持ち上げ、無理やり笑顔にする。
「ふぇ!?」
「……なぁ某。そんな暗い顔ばっかりしてちゃ楽しめるものも楽しめねぇぜ? だからよ、笑顔笑顔!」
「康之さん……」
 見詰め合う男2人。
 しかし、そうは思わない者が約1名。
「康之! てめえ!」
 2人を見つけた綾耶が、康之に最後尾カードフルスイングの攻撃をかます。
 『最後尾カード』――最後尾と書いてあるプラカードにして、槌である。
「ぶほぁ!」
 綾耶のツインテールは、怒りの所為で2本の角のように逆立っていた。
 プラカードを拾い、第2撃フルスイングの構えに入る綾耶。
「だ、ダメですよ某さん! そのままじゃ康之さん、人生の最後尾に並んじゃいますよ〜!」 その時に2人は、街に流れる放送を聞いた。
「「…………」」
 2人は顔を見合わせて――
「キスで……いいよな?」
「……はい!」

 無事に元に戻った後――
「わーっ! ちょっ……同じ被害者だろが俺らは!」
「騒ぎの!」
「元凶は!」
「どなたですかッ!」
「あーあ……」
「エミールって怒るとこわいんだよねー」
 一言の度に、拳が繰り出される。女性に手を上げられなかったエミールは、ラスに八つ当たりをかましていた。




(END)


担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

この度も遅れ……! うう……。遅れてしまいまして申し訳ありませんでした。
ご参加してくださった皆様、ありがとうございます。

今回、入れ替わりを文章で、ということで、基本、外見の名前で表示してあります。中身でやっちゃうといつもと同じになってしまうので。
何かちょっとメタ入った新キャラが出来ました。また出てくる……のかな? はてさて。

そしてリアクション上に反映させたのでアレなのですが、元に戻る為には「もう1度果実を食べればいい」というツッコミを6件……かな? いただきまして。いやー、全然気付きませんでした。
そりゃそうだ、と心底思った瞬間です。
大樹の秘密ですが、おかげさまで良い感じにカオスになりました。入れられるものを全部ぶっこんだら結果、変なおっさんが……。

あと、サンプルアクションの「とりあえず風呂に入る」に1組も来なかったのが意外でしたねー。

………………

うむむ……システムが変わったのでここで裏話を、と思ったのですが何か忘れているような……?
がんばってここまでブログのノリで書いてみましたが……いつもアレ、2日後位に書いてたからなあ。
執筆中には書きたいこと一杯思いつくんですが^^;

ということで、何か思い出したらマスターページの方に続きでも書こうと思います。
しかし、また文字数を更新してしまったわけですが……なぜだろう……。ねえ。←ねえってあんた。

では、また別のシナリオにてお会いできればと思います。
ありがとうございました。