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種族を超えた友情 ~その心を救え~

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種族を超えた友情 ~その心を救え~

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第6章「届かぬ声」
 
 
「ティア、次はどっちだ?」
 慰霊碑へと続く道。そこを風森 巽(かぜもり・たつみ)が宮殿用飛行翼で空を飛びながら進んでいた。地上を走るティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)が案内板を頼りに上空の巽に方向を指示する。
『タツミ、次は……え〜っと、何時の方向って言うんだっけ。とにかく真っ直ぐ!』
「了解。ちなみに真っ直ぐは12時の方向、な」
 HCから耳を離し、飛行を続ける。そのうちに前方やや右手に開けた場所が見えた。
「1時の方向に広場が見える。ティア、あそこがそうか?」
『え、えっと〜次は――へぷっ!』
「どうした、ティア!?」
『うぅ〜、木とごっつんこしたぁ〜』
「……すまない。返事は安全な場所でいいから」
『は〜い……えっと、それで次だったよね。案内板は――あったあった』
 近くにある案内板を見る。そこには巽の示した方角に慰霊碑がある事が記載されていた。
『うん! そっちでいいみたい!』
「そうか。ならもうすぐだな。急ぐとしよう」
『了〜解っ』
 
 
「誰もいないか……オレ達が一番先に着いたのかな」
 慰霊碑がある広場で鬼院 尋人(きいん・ひろと)がつぶやく。ユニコーンを駆ってできるだけ急いで来たのだが、逆に早すぎてしまったらしい。
 広場には動物達の姿が見えた。ここには凶暴化しているものはおらず、狼達ですらのんびりと過ごしている。
「動物達が大人しくなる場所か、それにも何かの原因があるんだろうけど……。ねぇ雷號、結局今回の事って何が原因だと思う?」
 慰霊碑を調べていたパートナーに尋ねる。質問を振られた呀 雷號(が・らいごう)がしばし考えた後に自分の意見を述べた。
「そうだな、動物が凶暴化するとしたら……一番は我が子というか、巣を襲われたり子供を護る必要があった時だと思う。が……」
 事前に聞いた情報、それが自身の考えを否定する。
「だが例の鳥型巨獣……レラだったか。あれはまだ子供だと聞く。となればやはり直接何か薬を盛られたか、別の要因で感覚を狂わされている可能性の方が高いだろう」
「そうか……じゃあやっぱり無理やりにでも止めるしかないのかな」
「そうだな。レラにとっても暴れるのは本意では――む?」
 推測を続ける二人の前に巽とティアが現れた。尋人達以外に人がいないのを確認すると、ティアが二人に話しかける。
「すみません〜、この辺りで篁 隼斗(たかむら・はやと)さんっていう人を見ませんでしたか〜?」
「あれ、もしかしてあんた達も隼斗を捜してるのかい?」
「じゃあキミ達も?」
「ああ。オレは鬼院 尋人。向こうが――って、あそこまで離れなくてもいいのに……。えっと、あっちにいるのが呀 雷號ね」
 警戒心の強いパートナーに苦笑しながら自己紹介をする。どうやらお互い隼斗を追って来た者同士らしい。
 結局隼斗がここを目指しているとは限らないという事で、協力して周囲を捜してみる事にした。
「それじゃあティナ、地上は任せたぞ。とうっ!」
「タツミも気をつけてね〜!」
 巽が再び空を飛び、ティナはそれを追うように走り出す。尋人達もユニコーンに乗って手綱を引いた。
「頼むぞカロン。できるだけ早く隼斗を見つけ出すんだ!」
 
 
 その頃、隼斗はレラを捜して山の中を走り回っていた。それを見つけたセシリア・ファフレータ(せしりあ・ふぁふれーた)が上空から箒で降りてくる。
「見つけたのじゃ! おぬし、広場で見かけるお兄さんじゃな?」
「君は確か……」
 隼斗とセシリア、二人は共に慰霊碑の広場で動物達と遊ぶ事を好む者達だった。自己紹介をした事はないが、それでも顔見知り程度の面識はあった。
「今日も広場に行こうとしたら村長に止められての。聞いたらレラ達が暴れてるらしいではないか。きっとお兄さんも来てると思って飛んで来たのじゃ」
 予想通りじゃな、と笑うセシリア。もちろんここまで来たのは世間話をするためではなかった。
「お兄さんの事じゃからレラを捜しているのじゃろ? 私もお兄さんを手伝うのじゃ」
「それは助かるけど、レラは今危険な状態かもしれないんだ。もし見つかったら僕に任せて、君は下がってくれよ」
「心配しなくても大丈夫なのじゃ。ほれ――」
 セシリアが視線を向けた先、その方向からユニコーンに乗ったミリィ・ラインド(みりぃ・らいんど)が現れた。
「もう、おねーちゃん。急に降りないでよ! 見失う所だったじゃ――あれ?」
 セシリアの隣にいる隼斗に気付く。ミリィも広場で顔は見知っていた。
「防御ならこっちのミリィがお手の物じゃからな。私もお兄さんも、ミリィがばっちり護ってくれるのじゃ」
「え、え? いきなり何なの?」
「後で説明してやるのじゃ。とにかく今はレラを捜すのじゃ」
「う、うん。わかったよ、おねーちゃん」
「仕方ないな……。二人とも、よろしく頼むよ。それじゃあ、行こう!」
 
 
 レラを捜して走り回る事しばし。少し開けた所で隼斗達は目的の相手を見つける事ができた。だが――
「レラ! 僕だ! わからないのか!?」
 友を見つけた隼斗に降りかかったのは無情な現実だった。レラは目を血走らせ、そのくちばしで、爪で、翼で、容赦なく三人へと襲い掛かる。
「な、なんという迫力じゃ。子供とはいえ、これが巨獣の力か」
「おねーちゃん、大丈夫!?」
 ミリィが二人を必死に護る。その間も隼斗は呼びかけを続けているのだが、レラに届いている様子はなかった。
「お兄さん、これは一旦大人しくさせないと届く声も届かないと思うのじゃ」
「わかってる、でも……それでも僕はレラを傷つける事はできない……」
 その時、レラが翼を大きく羽ばたかせて風を巻き起こした。
「ぬおっ!?」
「きゃっ!」
 その猛烈な勢いに小柄な二人は後方へと飛ばされてしまう。ただ一人耐えた隼斗も体勢を大きく崩していた。倒れこんでいる隼斗に向かってレラがくちばしを向け、突撃してくる。
「お願い! 間に合って!!」
 隼斗に襲い掛かるレラに向かって氷術が飛んできた。片翼を凍らされたレラはバランスを崩し、隼斗の斜め後方へと不時着する。
「隼斗くん、無事ですか!?」
 氷術を放ったのは火村 加夜(ひむら・かや)だった。そのまま光る箒で隼斗のそばに降り立つと、手を貸し助け起こした。
「すまない、助かった。ありがとう、加夜ちゃ――」
 お礼を言おうとして固まる。手を貸してくれた相手は明らかに怒っていた。
「えっと……加夜ちゃん?」
「透矢さんから聞きました。山の動物達が大変な事になってるって。お友達を助けに隼斗くんが無茶をするかもとも言ってました」
 つかんだままの手が震える。身長差もあり、うつむいた彼女の表情をうかがう事はできない。
「お友達を大切に思う気持ちもわかります。でも……でも、それで大切な人達を心配させちゃ駄目じゃないですか!」
「いや、それは――」
「言い訳は無用です! 雪乃ちゃんはどうしたんですか!? 放っておいて一人で来たんじゃないんですか!?」
 今はセシリア達がいるが、確かに飛び出してきた時は自分だけだった。図星なだけに何も言う事ができない。
「それにさっきだって、もう少しで危ない所だったじゃないですか。もしあれで怪我していたら雪乃ちゃん達だけじゃなくて、みんなが心配するんですよ! ……隼斗くんのばか」
 全面的に加夜の言う通りだった。こうして怒ってくれるという事は、すなわち本気で心配していてくれたという事だろう。隼斗はその気持ちに感謝を抱きつつ、加夜に謝罪の言葉を告げた。
「そうだね……今回はみんなに迷惑をかけちゃったみたいだ。本当にごめん」
「……反省しましたか?」
「ああ、今後は気をつける事にするよ。それに……もしこれで加夜ちゃんを泣かせたなんて言ったら、兄さんに鉄拳制裁を喰らいそうだしね」
 場を和ませるために冗談っぽく言って見せる。だが、あながち冗談とは言い切れない所があった。
 自分の我がままで女の子を泣かせたとなったら透矢は許しはしないだろう。
 むしろ、校長から名前も知らぬ一般生徒まで、蒼空学園中の男達から殴られても文句は言えない。
「わかったならいいです。今度からは気をつけて下さいね。それと、雪乃ちゃんに会ったらちゃんと謝っておく事」
 お説教はこれまでとばかりにレラの方を見る。不時着のダメージはあったものの、それで大人しくなるほどではなかった。相変わらず目を血走らせたまま、隼斗達を警戒している。
 そこに、先ほどの不時着の音を聞きつけて来たのだろう、桜葉 忍(さくらば・しのぶ)の一行が現れた。先頭にいた女の子が隼斗の姿を見つけると、ぺこりとお辞儀をする。
「君は確か……柊 レン(ひいらぎ・れん)ちゃん、だったかな?」
『お久しぶりです。隼斗さん』
 隼斗の問いかけに再度頷き、スケッチブックに文字を書き出した。基本的に彼女はこれでコミュニケーションをとっているらしい。唯一精神感応で会話できる忍がレンから相手の事を聞きだす。
「レンちゃん、この人は――ああ、なるほど。お前が透矢の弟の隼斗だな。透矢に頼まれて手助けに来た桜葉 忍だ。よろしくな」
 忍達を加えた隼斗はレンと一緒にレラへの呼びかけを再開した。隼斗は言葉で、レンは精神感応で呼びかける。
「レラ! お前を心配してるのは僕だけじゃないんだ! 頼むから目を覚ましてくれ!」
(お願いです……優しいレラさんに戻って下さい……)
 だが、それでもレラの感情は戻らない。少しでも近づこうとすると威嚇をし、隼斗達を拒否する。
「レンちゃんの呼びかけでも無理なのか……。なぁ信長、やっぱり戦うしか手段はないのか?」
「そうじゃな。説得が効かぬのであれば気絶させ、慰霊碑の力とやらを使ってみるしかあるまい」
 できるだけ傷つけたくないと思う忍に対し、織田 信長(おだ・のぶなが)は実力行使を提案する。だが、それは忍の力を信じての事だった。
「私は無駄な殺生はあまりせぬが、殺さずに戦うことは難しいであろうな。だが忍よ、お前ならレラを殺さずに戦うことができるだろう」
「……ああ、俺は絶対にレラの心を救い出す! 絶対に必ず!」
「よくぞ申した。では行け! 忍よ!」
「おうっ!」
 忍が光条兵器の大剣を構え、レラへと跳躍する。それをセシリアと加夜が魔法で援護した。
「悪いがお兄さん、私らはレラを止めさせてもらうのじゃ」
「隼斗くんはそのまま呼び続けて下さい! その間は私達が押さえます!」
 セシリアの天のいかづちがレラの飛翔を妨げ、加夜の氷術が動きを止める。そこに忍の一撃が入った。だが予想以上にレラの防御は硬く、やり過ぎないように手加減をしていた忍の攻撃はレラを止めるまでには至らなかった。魔法が途切れた隙を突き、レラが空へと飛び立つ。
「おわっと! 子供だからと手加減したけど、巨獣っていうのはあそこまで強いものなのか。これは力加減が難しいな」
 バランスを崩しながらも着地を決めた忍が上空のレラを見る。あの高さまで飛ばれてしまうと跳躍は難しく、当然隼斗達の声も届くとは思えなかった。
「くそっ、どうすればいいんだ……レラは、あいつは何かでおかしくなってるだけのはずなのに……」
 隼斗の顔が悔しさでゆがむ。そこに、どこからともなく声が響いた。
「諦めるな! 必ず声は届くと信じるんだ!」
 声の主は後方の木の上に立っていた。マスクと赤いマフラーを装着し、隼斗の方を見据えている。その隣には袴姿の女の子もいた。
「ヒーロー大原則ひとーつ! 絶対に諦めない事! ってね」
「その通りだ! 隼斗君。君だけは、君だけは何があっても諦めるな!」
「大丈夫、絶対何とかなるよ! 何とかならないなら、ボク達で何とかすればいいんだよ!」
「あ、あなた達は一体……?」
 隼斗の疑問に答えるようにマスクの男――巽がポーズを決める。
「蒼い空からやって来て、友への想いを護る者! 仮面ツァンダーソークー1! 友情の日々を取り戻すため、ここに参上!! とうっ!」
 巽改めソークー1が翼を広げ、空へと舞い上がる。スカイフォームを手に入れた今、ソークー1の活躍は地上だけに留まらなかった。
「レラよ……こんなにも澄んだ空を飛んでいるのに、貴公の心は荒れているのだな……」
 ソークー1がレラと対峙する。反対に木から下りてきたティアは尋人達と共に隼斗と合流していた。
「尋人、君達も来てくれたのか」
「ああ。動物達も大変だっていうし、放ってはおけないからね。それより隼斗、レラは正気に戻りそうなのかい?」
「……いや、今の所は元に戻る気配はない。でも、あの人が言ってくれたように諦めるつもりはないよ」
「そっか。ならやっぱり慰霊碑の力ってのに頼ってみた方がいいんじゃないかな?」
「そう……だな。やれる事は何でも試してみよう」
 隼斗が頷く。そんな彼の手をティアが引っ張った。
「よ〜っし! それじゃ善は急げ! タツミにレラを連れて来てもらお〜!」
「わかった、それじゃあ――」
「見つけたぜ! デカブツ!!」
 隼斗達に影が差す。見上げると、ソークー1達よりも遥か上から猛スピードで近づいてくる物体があった。その正体である白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)は小型飛空艇の進路をレラへと向け、衝突の直前で離脱する。
「レラ!」
 強烈な一撃を喰らったレラに隼斗が叫ぶ。それをあざ笑うかのように竜造は刀を抜き、レラの背に降り立つと同時に翼の付け根に突き刺した。
 さすがにこの一連の攻撃は効果があったらしく、レラが悲鳴のような鳴き声を上げる。だが、竜造はさらに追い討ちをかけ、奈落の鉄鎖でレラを空中から引き摺り下ろした。地面に激突する直前で背中から飛び降り、レラの正面へと立つ。
「へへ、ガキとはいえ巨獣と殺りあえるなんてのは中々ねえからな。鳥野郎、てめぇが凶暴化した原因だとか、んな細かい事はどうでもいい……さあ、殺しあおうぜ!」
 刀を構え、再びレラへと斬りかかる。それを止めようとした隼斗達の前にガスマスクを付け、ラバースーツに身を包んだ男が立ちはだかった。
「………………」
 その男、松岡 徹雄(まつおか・てつお)は無言で手に持った道具を使用し、振りかざした。たちまち辺り一面に煙幕が張られる。
「くっ! みんな! 気をつけろ!」
 視界を奪われ、忍が周りに呼びかける。だが、徹雄は気配を絶ちながら忍の背後へと迫ろうとしていた。
「危ないっ!」
 殺気を看破した尋人が攻撃を受け止めた。そのまま反撃に転じようとするが、徹雄は素早く煙幕の中へと消える。
「すまない、助かった。だが、このままではマズいな……」
 煙幕の中では徹雄の気配を探る事も難しかった。皆が辺りを警戒する中、信長が前へと歩み出る。
「ふん、小ざかしい手を使いおって。このような児戯、私に通用すると思うてか」
 剣を抜き、天高く掲げる。たちまち剣先から炎があふれ出し、その刀身をまとった。爆炎波からのヒロイックアサルト、その名も――
「聞け! 我が名は織田 信長! 戦国の世を駆け抜けた……第六天魔王じゃ!!」
 叫びと共に振り下ろされた剣が大地を叩く。その瞬間炎が爆ぜ、周囲の煙幕を吹き散らした。
(ほう……まさかあんな手で対処してくるとはね。面白い)
 徹雄がガスマスクの下で笑みを浮かべる。晴れた煙幕の向こうでは信長が大地から引き抜いた剣をこちらへと向けていた。
「忍、それに隼斗よ。お前達はレラの方に向かえ。こやつは私が相手をしよう」
「わかった。信長、こっちは任せた。行くぞ、隼斗」
「ああ!」
 忍達がレラと、それを攻撃している竜造の方へ向かう。残ったのは信長と――尋人、雷號の三人だった。
「なんじゃ、お前達は行かなくて良いのか?」
「動物を傷つける事はしたくないからね。それに、隼斗の邪魔をする奴を放ってはおけない。だから、あんたの援護をするよ」
「そうか。なら好きにすると良い。……お前の名、聞いておこう」
「鬼院 尋人。こっちは呀 雷號だ」
「ふ、尋人に雷號よ。いざ参る、気後れするでないぞ!」
「ああ、薔薇の学舎のナイトは……何者も恐れない!」
 
 
 レラに襲い掛かる竜造。その攻撃を空中にいて唯一煙幕に巻き込まれなかったソークー1が必死に防いでいた。
「やめろ! レラは必ず元に戻る! 傷つける必要なんかないんだ!」
「へっ! てめぇはこの前のヒーロー気取りか! 邪魔すんじゃねぇ!!」
「この前……? そうか、貴公はならず者に協力していた、あの男か!」
 二人は以前、直接刃を交えてはいないものの、同じ戦場に立った事があった。竜造は子供達を狙うならず者の協力者として、ソークー1は子供達を助けに向かった篁 透矢の協力者としてである。
「こいつが元に戻るかなんて関係ねぇ! 俺と殺し合いができりゃそれでいいんだよ!」
「そんな事をさせる訳には――何っ!?」
 立ち上がったレラが再び周囲に攻撃を開始する。その攻撃は自身を傷つけた竜造はおろか、護ろうとしているソークー1へすら向けられた。前後からの攻撃に挟まれたソークー1は必死で回避を行う。
「ハハハッ! ざまぁねぇなぁ、さあどうするヒーロー気取り!? 邪魔すっとそいつごとぶった斬るぞ!」
「くっ……レラ! 目を覚ませ!」
 再三の呼びかけにも答える事なく攻撃をしてくるレラ。やがて隼斗達が近づいてくるのに気付くと、再び大空へと飛び立った。
「レラ! 待ってくれ!」
 隼斗の声はレラへと届く事なく、空へと霧散していく。大空を飛ぶレラを追いかけられたのはソークー1と、小型飛空艇を回収した竜造だけだった。
 二人と一羽。三つ巴の争いは続き、徐々にその場所を移して行く。三者の向かう先には慰霊碑の広場が待っていた――