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WahnsinnigWelt…行く手を阻み拐かす森

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第9章 別の者へと変わる1歩

「(結構、先に進んじまったんだけど。今どの辺だ?)」
 御剣 紫音(みつるぎ・しおん)綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)にテレパシーを送る。
「(まだ幻影で惑わす森のエリアにつきまへんなぁ)」
「枝の方とかに紙を貼りつけて、矢印を書いておいたので。その方向に進んでくださいと、伝えてくれませんか」
 残しておいた目印を彼女に伝えて欲しいと紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が紫音に言う。
「ん、分かった。―・・・木の枝んとこにも、目印があるみたいだ」
 軽く頷くと彼は風花に伝える。
「(蛍光ペンで書いたんどすか〜?)」
 木を見上げて方向を確認する。
「(泡もそこにいるだろ。ダークビジョンがなくっても見やすいようにそうしたんじゃないか?)」
「(もし逸れてもそれをたどればつけそうどすなぁ)」
「そっちは金光聖母に協力を頼む役割だったか?十天君に頼むとなると、想定以上のリスクがありそうだぞ」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は眉を潜め、そう簡単にいくものだろうかと呟く。
「太極器を完成させるためには必要なんだが。もしものことを考えて、他の研究者に頼む方向も考えないとな」
 彼女の声に紫月 唯斗(しづき・ゆいと)も、十天君の1人である彼女に拒否された時のことも考えておかねばというふうに言う。
「向こうから見たら、わらわたちは敵じゃからなぁ。ただで言うことを聞く相手ではないぞ」
 面倒ごとを頼まれるんじゃないかと、アルス・ノトリア(あるす・のとりあ)はふぅと肩をすくめる。
「ここにいる我ら全員、顔を知られているのじゃぞ?」
 すでにハイリスクを背負っているのだと、アストレイア・ロストチャイルド(あすとれいあ・ろすとちゃいるど)が皆に確認するように顔を見る。
「何人か十天君を封神してしまった時点で、今更私たちの頼みごとだけ聞いてくれるとは思えないわぁ〜。聞いてくれるフリだけされて、騙されちゃうかもしれないし」
 師王 アスカ(しおう・あすか)は彼女たちを甘く見ないように、紫音たちに釘を刺すように言う。
「次ぎはこっちの方向を進むのよ」
「迷路みたいだな。協力してくれて助かったぜ」
「フンッ、無理やりだけど!本当はこんなことしたくなかったのに」
 隙あらば逃げたいと魔女が無愛想な態度を取る。
「研究所についたら、中に入れてくれるように頼めるか?」
「それは無理ね」
 紫音の頼みにきっぱりと即答する。
「アンタ、名前は?」
「どうして聞くの」
「や、仲間の名前ぐらい知っておくのは普通だろ?」
「不愉快ね、仲間になったつもりなんかないわ。名前なんてすきに呼べばいいじゃないの?」
 不思議そうに言う魔女に唯斗はもう1度聞くが、結局教えてもらえなかった。
「どうしても研究所の中に入らなきゃいけないんだ」
「あなた・・・行動が浅墓すぎるわっ。顔を知られているのに、私が頼んだ程度で入れると本気で思っているわけ?ホント笑えるやつら!」
 必死に頼み込む紫音に対して魔女が嘆息する。
「やっぱ難しいか・・・」
「それと・・・、目先のことばかり考えて、周りの状況・・・まったく見えていないでしょ?」
「言われてしまいましたな。紫音は1つのことに集中すると、一直線に進んでいくタイプじゃ」
 アルスはそれが彼のいいとこでもあるけど、もっと突っ走られてしまうかと思い、そこだけ言わないでおいた。
「どんどんいけタイプのパートナーを持つと、お互い苦労するな。この前なんて、勝手に城へ1人で行ってしまったりするし」
「えぇ、ほんまそうどす〜」
 苦労者同士だと言うエクスに苦労話に花を咲かせる。
「本当はエクスさんに叩かれるはずでしたし?」
 プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)は何か言いたげに唯斗を見る。
「置いて行ったのは本当に悪かったと思っている・・・」
「また一直線に進んで、叩かれそうになっても知りませんからね」
 エクスに怒られても魔鎧化して守ってやらないという態度を取る。
「(一直線に進む暴走コンビを結成しなければいいですが)」
 彼と紫音を見比べてため息をつく。
「エクスさんを宥めるのは私ですし」
 睡蓮は小さな声音でぼそっと呟く。
 パートナーたちの会話に紫音と唯斗は、聞こえないフリをしようと視線を逸らす。
「ふぅ、やっと合流出来たわね」
 泡は紫音に手を振り駆け寄る。
「ちょっと話し合いたいことがあるんだけどいいか?」
「えぇ、何かしら」
「金光聖母はそう簡単に信じるほど甘い相手じゃないようだぜ。そいつに限らず十天君は仲間を封神されているから、こっちを警戒しているだろうしな」
「オメガが向こうと音信不通だったから。疑われないために館のオメガを襲撃するフリをしてもらったけど。それだけじゃ不十分かしら・・・」
「戦いもしないで、奪いもしないで戻ってきたんじゃ。結果を見せなくては信用してもらえないかもな」
 それだけ信用を得るのは難しいのだとエクスが言う。
「―・・・研究所に金光聖母と同じくらいの知識を持っているやつがいればいいんだが」
「誰か潜入しやすいやつがいるといいんだけどな・・・」
 唯斗の考えに紫音はそこで協力者を見つけられないか考える。
「ついたわよ。そこを少し進めばつくわ」
「さて、ここからどうするかな」
 魔女に案内してもらった彼らは、遠くから見える研究所を見つめる。



「(おーい、やっと場所を見つけたぞ)」
 他の者にも教えようと紫音は淵にテレパシーを送る。
「(そうか。では、そこまでの道を教えてくれ)」
 淵もテレパシーを返し、道順を教えてもらう。
 合流した彼らは、見回りに気づかれないよう、草むらの中で会議を始める。
「最低でも2人くらい中に入りたいんだけどな」
「ふむ・・・・・・。こっちはクマラ殿が少し変装すれば入れるかもしれん」
 紫音の話に淵はしばらく考え込み、クマラへ顔を向ける。
「さすがに今回は、そのままじゃバレちゃうからね」
「俺としては計画を止めようとしたり妨害する気はないから。気づかれにくいといは思うんだけどな」
「紫音も変装して入るってことどすなぁ?」
「まぁ、そうなるな。ハロウィンでもないのに魔女の格好しなきゃいけないなんて、ちょっと違和感があるけどさ」
 首を傾げて聞く風花に言う。
「私は紫音が中でサイコメトリーしたものを、外でメモしたほうがよさそうどすなぁ〜」
「あぁ、頼むよ。で、アルファが何を求めているのか聞いておかなきゃな」
「アルファちゃん、一体何に関しての知識がご所望なの?何でも聞いてちょうだい♪」
 オルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)はニッコリと微笑み、アルファに話しかける。
「館にいるオメガと親しい人の魂が、少しだけ必要なんですの。それも最も縁の強い宿縁の者でないといけませんわ」
「宿縁って・・・ずいぶん難しい注文ね。その縁の相手なら、種族はなんでもいいのかしら?」
「いいえ。アリスと魔女と・・・地球人の魂がそれぞれ必要なんですの」
「魂の調合は出来るけど・・・。でも、魂を減らされた相手は大丈夫なの?」
「えぇ、感情が乏しくなったりすることなどはありませんわ」
「それならいいわ♪んー・・・削りすぎないように気をつけるから大丈夫だとして・・・。で、他に必要なものはある?」
 メモをしながら必要なものを聞き取る。
「緑色と茶色、それと水色のチューブがいりますわ。光術と闇術を結晶した欠片を、チューブに溶け込ませるんですの」
「結構いるのね・・・」
「小さな香炉みたいな魔道具に溶かし込むんですの」
「なければサイコメトリーしてもらって、魔法学校で作るしかないわね」
「後は、太極器の破損部分の部品ですわね。必要なのはそれくらいですわ」
「(そにしても、ドッペルちゃんがこっち側にきてくれるなんて思わなかったわ〜)」
 ドッペルゲンガーの傍にいる泡を見て、師王 アスカ(しおう・あすか)は友情の力なのかしら?というふうに見つめる。
「ルーツにも研究所に行ってもらいたいけど。ハツネちゃんたちがいたら即バレちゃうものね。外で待ってるしかなさそうだわ〜」
「我も外で居残り組みか。変装してもさすがにバレてしまうかもしれないしな。外で作れるなら、ここで待っているほうが無難だろう」
 魔女にしっかり顔を知られてしまっているからと、ルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)も外で待機する。
「鴉はベルが狙われないようによろしくね」
「俺はこの女悪魔の護衛か・・・」
 蒼灯 鴉(そうひ・からす)は心底嫌そうにオルベールを軽く睨む。
「そうぼやくな。無理やり入って失敗してしまうより、大人しくまってるしかないからな」
「幻覚を見せる森の中で・・・か?」
「リスクを承知でアスカと一緒に来てしまったんだ。仕方ないだろう?」
「―・・・毎回、ハイリスクすぎる気がするな」
 苦笑いするルーツに鴉が嘆息する。
「そこでハリターンを期待しなきゃね♪」
「生命の知識も必要なんだぞ・・・。リスクの方が明らかに高い・・・」
 知識者の協力もいることを忘れるな、とアスカ言う。
「分かってるわよぉ〜」
「まぁ・・・関わってしまった以上、付き合ってやるけどな・・・」
「フフッありがとう♪」
 なんだかんだ言っても手伝ってくれる鴉に笑顔を向ける。
「それじゃ、期を見て魔女に声をかけて潜入するようぜっ」
 紫音は研究所の周りを見張る魔女たちの様子を見みながらクマラに言う。
「うん、分かったよ」
 小さな声音で返事をした少年は、変装しようとルカルカに鏡を借りて髪型をいじる。
 ハイリスク、ハイリターンをかけて・・・覚悟を決めた者たちは潜入の準備を始めた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

こんばんは。
最近、書きすぎて反省する毎日です・・・。
かなりリスクの高いシーンが沢山ありますね。
あまり深く考えすぎず、心の赴くままに正直に進むといいですね。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。