リアクション
表彰式
「それでは、審査員の方々、審査と投票をお願いいたします」
シャレード・ムーンに言われて、審査員たちが口々に好き勝手なことを言いだした。
「花のような女性がいいと思うぜ」
「見せちゃだめだろが」
「体重が軽い人は、心も軽いはず!」
「ちっぱいがたっゆんに勝るべきよ」
「ネタに走った人はちょっと……」
「格好いいのがいいなあ」
「地味でなければいけません」
「ネタキャラ最高よね」
「色物、色物!」
「まあ、酷くなければ……」
「やっぱり衣装が重要です」
「女性ならばオッケーですよ」
「絵になる人でないと……」
「俺が美を決める!」
ひとしきりがやがやと一部で討論があった後、審査員たちが投票箱に票を入れた。
すでに、会場の票の方は、外岡天やメイベル・ポーターたちが集めている。
集計は、フィリッパ・アヴェーヌが担当した。
★ ★ ★
「それでは、結果が出たようです」
しばらくしてから、封筒を受け取ったシャレード・ムーンが、場内にアナウンスした。
採点は、会場からの投票が一人1ポイント、審査委員たちの投票が参加者一人一人に−1から2ポイントで加算される。
「さあ、第一回、ミスパラミタ、あるいはミスターパラミタの栄冠に輝くのはだけでしょうか……」
ドラムロールと共に、ステージ上にならんだ参加者たちの上をスポットライトの光がめまぐるしく動いていく。
「それでは、まず準ミス、あるいは準ミスターから発表です。その栄冠に輝いたのは……」
ドラムロールが、ひときわ高くなった。
「ノーン・クリスタリアさんです! おめでとうございます」
スポットライトが、ノーン・クリスタリアを照らし出した。
「会場から多くの票を集め、審査員からも支持を得ました」
「あ、ありがとうございます」
ちょっと驚いているノーン・クリスタリアに、外岡天たちがモヘアのついた白いマントをかけて賞状を手渡す。
「さて、では、いよいよ、グランプリの発表です。パラミタの美の頂点に輝いたのは……」
再び、ドラムローロールと共に光が乱舞した。その光が一点で止まる。
「悠久ノカナタさんです。おめでとうございます!」
「おおお、と、当然……、当然だ!」
名前を呼ばれた悠久ノカナタが、一瞬戸惑った後に、しどろもどろに当然だという態度をとった。だが、その顔が、微妙ににやけている。実は嬉しくてしょうがないと言ったところだろうか。
「カナタが、ミスパラミタ!? また変な自信をつけなけりゃいいが……」
ちょっと明日からが心配になる緋桜ケイであった。
「総評ですが、会場から多くの票を集め、多少体重の軽さからマイナス評価もありましたが、審査員からも多くの票を獲得しました。特に、衣装が綺麗であったのと、胸がぺったんこだったところが高評価だったようです」
「ちょっと待て、確かにぺったんこはステイタスだが、何か納得がいかぬぞ!」
外岡天たちから真紅のマントとトロフィーを受け取っていた悠久ノカナタが、思わず叫んだ。
「副賞として、お二人には空京大学学生食堂のランチ券一年分が贈呈されます。太らない程度に御利用ください。また、ラピス・ラズリ審査員と師王アスカ審査員から、後ほど似顔絵がプレゼントされるとのことです。では、またお会いしましょー」
第一回、ビューティーコンテストいかがだったでしょうか。
何か、やたらと審査員が多い気がしますが、あまり気にしないことにしましょう。
審査員が多い分、嗜好によって得点も波瀾万丈でした。とりあえず、今回は審査員の嗜好が若干偏っていたために、チッパイで衣装の綺麗な人が高得点を得ています。一般投票も数人の方に綺麗に集まっていましたので、本文のような結果となりました。
各種リンクはイラストなどに繋がっていますので、目や耳の方でもお楽しみください。今回はイラストがらみの特殊なシナリオなので、ちょっと多めになっております。
容姿の描写は、イラストがあったりや衣装設定の細かいもの、アクションで衣装に多く言及しているもの、コンテストの参加者であるものをなるべく優先しています。衣装を使ったパフォーマンスの人が、衣装チェンジをできた分ちょっと描写が多めという所でしょうか。
ファッション用語に関しては、服飾辞典を参照していますが、言語による呼び方の違いや、実際に種類分けが曖昧な物も多いので、画像検索などをすれば多少イメージしやすいかもしれません。