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リアクション
You down with G‐O‐D!
Yeah,you know me!
You down with G‐O‐D!
Yeah,you know me!
You down with G‐O‐D!
Yeah,you know me!
Who down with G‐O‐D!
Everyone!
ローザマリアたちのバンド演奏にあわせ、音楽室に合唱部の声が響きわたる。
リズムに合わせてンガイが跳ね回ってパフォーマンスを繰り広げる。
「ふがっ!」
時折勢い余って柱に激突するが、大会の会場は広いので、きっと大丈夫だ。
バックでは、吹奏楽部とオーケストラ部による演奏が響き、歌の世界観を大幅に増幅させていく。
もともとあまり中の良くなかった吹奏楽部とオーケストラ部だったが、クラスでオーケストラ部の部員と仲良くなっていた東雲と、穏やかに交渉する菊によって、オーケストラ部の部員の一部が協力を申し出てくれたのだ。
「ほんと、お前どうくるか分かんねえな!!」
オーケストラ部のヴァイオリンのパートリーダーが笑いながらソーマに苦情を言う。
「ま、よく付いてきたな」
「なんで上からなんだよ! 清泉のリードがなきゃほんとズレそうだぜ……お前、偉大だな」
「ソーマとは、付き合い長いから」
「そこ含めて尊敬するよ……」
練習が始まってからは、北都とソーマがオーケストラ部とうまく調整を行っていた。
「サビ終わりずっと危なかったけど、今大丈夫だったよね。なんか感覚掴めた??」
キメの音がどうしても吹奏楽部とオーケストラ部で響きのズレが出てしまうのを東雲はずっと気にかけ調整していたが、無事クリアできた。
ずっと練習を続けていたイコナのリコーダーは、吹奏楽部とオーケストラ部どちらからも評判が良く、吹奏楽部の部長が一番驚いていた。
「これぐらい、当然ですわ」
イコナも楽しそうに部員たちとアレンジの話で盛り上がる。
「だいぶ、まとまってきたんじゃない?」
「これならば、当日も練習の成果を出せば問題ないだろう」
「そうですね。音の響きが変わりました」
「うゅ、あとは、本番がんばるだけなの」
ローザマリアたちバンドメンバーがほっとしたように言葉を交わす。
「もー、シロちゃん超可愛い!!」
「ぶつかってたよね? 大丈夫だった? ああ、赤くなっちゃってる!」
合唱部の生徒に大人気のンガイは、だいたい練習が終わって子一時間ほどはいつも女子生徒たちにいじられまくっていた。
「ヘンデル先生」
ドアのほうを向いてウォーレンが上げた声に、部長をはじめとした吹奏楽部のメンバーが一斉に振り返る。
「先生!!」
「すみません、なんだか余計な仕事が増えてしまいまして。仕上がりはどうですか?」
穏やかに微笑みながら、ヘンデルが部長に尋ねる。
「さっきの演奏で、やっと曲想が仕上がりました。これで明日先生が振ってくださればきっと完璧です!」
「そうですか。もしよければ、聞かせてもらえませんか?」
「わたくしまだまだ吹けますわよ」
「俺も平気だ」
「せっかくだしねぇ」
イコナとソーマ、北都が頷いてみせる。
大人数での合唱を支えるバンド音に、曲想を作り上げる吹奏楽。その上を自由にかけまわるヴァイオリンとリコーダーの音を、シンセサイザーを使ったストリングスがひとつの世界観に纏め上げていく。
曲を締めると、ヘンデルは静かにタクトを下ろした。
「お見事ですね。素晴らしい世界観です。ただ、全体を通して楽器が歌に遠慮してしまっていますね。主線を立たせるのはもちろんですが……そうですね、第2楽章と第4楽章の後半部は、もっと楽器で盛り上げてしまっても良いと思いますよ。週末の大会が楽しみですね」
それだけ言うと、ヘンデルはそそくさと音楽室を出ていった。
翌日。高等部の教室に、またしても鬼が現れた。
駆けつけた煉が仕込み携帯電話で鬼たちを攻撃する。
「夜月!」
「かしこまりました」
すかさず夜月が月狂いの刃・煌を渡す。
「一般生ぶってる場合じゃないね。ルル!」
「はい」
栄斗はルーシャを魔鎧として纏うと、戦いに加勢する。
狭い教室内での戦闘に、倒れてきた物にぶつかり、怪我をする生徒もいた。
「軽い打撲じゃな。すぐに治る」
ユーラが次々とけが人に回復魔法をかけて治癒していく。
「一気にいくぜええええええっ!!」
勇平が駆け込むと、アナイアレーションをぶっ放す。
生徒たちに被害が及ばないよう、契約者たちは咄嗟に生徒たちの前に立ちはだかった。
「ちょっ、おまっ、お前守る側じゃねぇの? 何で盾!?」
そんな中、瀬山 裕輝(せやま・ひろき)がクラスメイトを盾にした。
「いやぁ、近場に手頃なモンが無かったからのぉ……大丈夫、死にはせん。多分」
「多分って言っちゃった、言っちゃったよ!」
「ほれほれー。どっからでもかかってきぃや! やったろうやないかい! コイツが」
「俺かよっ!!!」
クラスメイトを鬼のほうへ押しやると、横に飛びのく。
「マジでええええええええええっ!」
鬼の攻撃がクラスメイトに届く直前、裕輝が鬼の死角から飛び出し、勢い良く攻撃を食らわせた。
「おーおー、よう飛ぶわー」
勢いで吹っ飛ぶ鬼を見ながら、楽しそうに笑う。
「お。自分なんでそんな前におるん? 巻き込まれるで?」
立ちすくむクラスメイトに不思議そうに声をかける。
「お前に巻き込まれたんだよっ!!」
「自分おもろいこと言うやないか」
「どの辺が!?」
のらりくらりと攻撃をかわしながら、確実に鬼の急所を突いてゆく。
契約者たちの能力に勝てないと思ったのか、鬼たちが急に逃亡をはじめた。
「介抱は私に任せて煉さんは子鬼の後を追ってください!」
「片付けもあるしのぅ。わしも残るしかなさそうじゃな。さっさと行くのじゃ」
その場をエリスとユーラに任せ、煉と栄斗、勇平、貴仁と夜月が一斉に鬼を追う。
校庭の一角に鬼たちが集まるところまでは目撃したが、次の瞬間、鬼たちの姿が消えた。
「くそっ、逃がしたか」
「ただ、この一角だってのは掴めたな……」
悔しげに呟きながら、教室へと戻るのだった。
「フハハハハ! ついにこの時がきたか。さあ、行くのだ、アルテミスよ!」
「はい! ハデス様」
夕日が西に傾き始める頃、ハデスの指示でアルテミスが囮として動き始める。
薄暗い道を一人で歩いていると、鬼が3体現れた。
「現れましたね、学園の平和を乱す鬼たち! オリュンポスの騎士アルテミス、参ります!」
気合と共に、アルテミスはいつもどおり愛剣に手を伸ばした。
しかし、今回一般生徒として学園に潜入していたため、アルテミスの背には剣がなかった。
「……あ、あれ?」
剣が無い以上、騎士のアルテミスには戦闘手段がなく抵抗不能。
「きゃ、きゃああっ!」
鬼に抱え上げられると、そのまま連れ去られてしまった。
吹雪と恭也がその後を密かに尾けはじめた。
「やっぱどこ探しても見当たらないよ。校内放送も電話も試したのに……」
「もしかしたら後から追いかけてきてくれるかもしれないじゃない。とにかく、まずは会場に向かうわよ」
泣きそうな部長に、ローザマリアが声をかける。
「遅刻したらそれだけで失格になっちゃうしねぇ」
「それは、行方不明になってるみんなにも申し訳ないよ」
北都と東雲も部員たちをバスに促す。
「とにかく、まずは行くぞ。あれだけ練習したんだ。今は大会のことだけを考えるぞ!」
ウォーレンの一言で吹奏楽部員たちは大会会場に向けて出発した。
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