リアクション
にたりと口角をあげるメシエは見たこともないほどに残虐な顔で笑う。
――グ……ゴガアァ……!
七尾の言ったとおりだったようで耳と目、双方のダメージは大きいようだ。
だが。
――シュウウウウウゥゥゥゥゥ……
ドラゴンの皮膚が濡れてきたかと思うと辺りを湿気が覆う。
それはすぐさま蒸気となり、一帯にを充満し始める。
「これは……」
「皆、吸ってはいけない!」
リネンが一瞬遅れて気付いた時には、一呼吸吸い込んでしまった後だった。
「風術!」
マーガレットが強風を起こして霧を吹き飛ばす。
が、一呼吸とはいえ吸い込んでしまった麻痺毒の霧は早くもリネンの身体に変化をもたらしていた。
フェイミィがバーストダッシュでリネンを後方へと素早く抱き運ぶ。
「は……っ」
手足が痺れているのだろう、力が入らないようだ。
「待ってろ、俺がすぐ治してやるからな」
リネンの手を握りすぐさま治療をかけるフェイミィ。
「この毒は思ったよりも強力みたいだね。嫌だなぁ」
「嫌とか言ってる暇はありませんよエース」
再び身体から毒を出そうとしているドラゴンに、メシエはパイロキネシスを何度も食らわせる。
「濡れてるってんなら乾かしちゃえばいいんですから」
マーガレットが風術で新たに空気中に漏れてきていた毒も吹き飛ばす。
炎に焼かれながら口を閉じたまま低く唸り声をあげ、それでもまだ平気そうにじっと耐えている。
「ああいうやつって、中が弱いから外側が硬くなってんだろ? どうにかして口をあけて、そこに攻撃をぶち込むことはできねぇかな?」
ナディムがドラゴンを観察しながら後ろに退避してきた七尾に尋ねる。
「ずっと見ていたが、あいつはそもそも口がそんなに大きくない。叫んでくれでもしない限りよほど口は開かないんじゃないか? 開けられたらサイコキネシスで動きを封じられるんだが」
「じゃあ、開けましょうか」