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リアクション
 
「ん……」
「リネン、大丈夫か?」
「フェイミィ、ありがとう。まだ少しくらくらするけど、大丈夫よ」
 治療をかけていたフェイミィの腕の中で、ようやくリネンの険しかった顔が和らいだ。
 よかったとホッとするが、それよりも胸の中には怒りがこみ上げてくるのだった。
「――サンダークラップ」
 冷徹な声が響き渡り、再びドラゴンの顔面へと容赦のない雷が叩き込まれる。
 ――グガアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!!
 さすがに目や耳などの器官部分に、しかも二度も攻撃を食らえばダメージは一度目よりも重くなる。
「サイコキネシス!」
 七尾が再び箒で空中へと飛び、悲鳴をあげたドラゴンの口を閉じさせまいとサイコキネシスで動きを止める。
 開けられたままのドラゴンの口からナディムのコクマーの矢が二本同時に体内へと侵入していく。
「あんまりドラゴンを攻撃したくはないんだが……俺の姫さんを危険にさらした罰だ」
「我は射す光の閃刃」
 エースが唱えると、シュッとまぶしい光の刃がドラゴンの口を横一文字にすぱりと切れ目を入れる。
 ――グ、ギ……ギィ……ッ……
 サイコキネシスで動きを止めているのにも関わらず、何とか舌だけを動かしてこちらを勢いよく狙い掴もうとするドラゴン。
 だが、マーガレットとフェイミィによって舌は切り落とされ、目標に届く前にぼとぼとと地面に落ちて行く。
「さっきはよくもやってくれたじゃない。この私に毒を食らわせた罰、身を持って償いなさい!」
 バーストダッシュにブーツの力を限界まで引き出して凄まじい速さになるリネン。
 そしてそのまま開けられたままのドラゴンの口目掛けて勢いよく飛び込む!
「エアリアルレイヴ!!」
 激しい衝撃がドラゴンを襲い急速にその身体から力が抜けていくのが分かり、七尾はサイコキネシスを解いてみんなのところへと降りていった。
 ドラゴンが倒れるのを確認して、リネンもまた地面にへたりと腰をつけた。
「倒、した?」
「あぁ」
 腰が抜けたままのリネンを抱きしめてフェイミィが嬉しそうに声をかける。
 よかったと弛緩するリネンの身体をよりいっそう強く抱きしめた。
「お前腕怪我してるじゃんよ。あ、顔も」
「え、嘘?」
 マーガレットの顔をがしっと掴んでナディムは怪我箇所をまじまじと見つめる。
「な、何よ!」
「あーもうしょうがねぇなぁ。ちょっとじっとしてろ」
 温かい光がマーガレットを包み込み、ナディムがヒールをかけてくれているのが分かった。
「よし、これで大丈夫。気をつけろよ。それでも一応女子なんだから」
「い、一応って何よ!」
「エース、この坑道まっすぐ行けば外に繋がるみたいですよ」
「本当か?! ということはルルドが言っていた話も本当だったんだな。いやー、これでようやく帰れそうだな」
 帰れる……やっとジーナの所へ。
 七尾もようやく射してきた希望の光に胸が高鳴るのを感じていた。