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リアクション
「これは……歌?」
相田 なぶら(あいだ・なぶら)が、突然聞こえてきた歌に思わず後ろを振り返る。
「なるほど、わかったのだ!」
なぶらと同じように後ろを振り返っていたパートナーの木之本 瑠璃(きのもと・るり)が、歌うエンヘドゥたちの姿を見て手を打ち鳴らす。
「エンヘドゥ殿たちは言葉の通じぬ千年王に、その歌で想いを届けようとしておるのだ」
「歌で想いをねぇ……」
「なぶら殿! 吾輩たちもエンヘドゥ殿に負けてはいられないのだ。我らの想いを拳と剣に乗せ、千年王殿へと届けるのだ!」
「まあ、エンヘドゥさんたちが何かやろうとしてるみたいだし、それまで千年王を引き留めておく役は必要だろうから闘うけどもさ……あんまり猪突猛進で突っ込んでくような無茶はやめろよ?」
そういいながら隣へ視線に向けたなぶら。
だがそこに、パートナーの姿はなかった。
「あれっ?」
なぶらが視線を動かして前を見ると、そこに瑠璃の姿があった。
「……人の話聞いてないしさ。まあ、こっちはこっちで出来ることを頑張るか」
なぶらはため息をつきながらも、先に突っ込んでいってしまった瑠璃をサポートするために駆け出した。
「……歌?」
WFへ連絡をしていたMは、突然聞こえてきた歌に眉をしかめる。
「そうだねぇ。エンヘドゥお姉ちゃんたちがお歌を歌ってるねぇ」
斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)はそういうと、クスクスと笑う。
「チッ、戦場で歌なんか歌いやがって……」
教授を守る依頼に失敗し、少し機嫌の悪い大石 鍬次郎(おおいし・くわじろう)は悪い目つきをさらに悪くしてエンヘドゥたちを睨みつける。
「まあ、何はともあれ。依頼が失敗した以上はここに長いは無用です。脱出のことを考えないといけませんね」
天神山 葛葉(てんじんやま・くずは)はひとり冷静にそういった。
だがMはそんな葛葉の言葉を否定する。
「……まだ任務は終わっていない」
「どういうこじゃ?」
辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)が、Mを見上げた。
Mは刹那たちにWFの回収班が来ることを告げる。
「なるほど、承知した。では、依頼をこなすとするかのぅ」
刹那はそういうと武器を構える。
「せっ、せっちゃん」
と、刹那のパートナーであるアルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)が周囲をキョロキョロと見回しながら目に涙を浮かべる。
彼女は暴れる千年王や目つきの悪い鍬次郎。こんな状況なのに楽しそうに笑っているハツネの姿を見て震えていた。
「アルミナ、しっかりせんか」
アルミナが泣き虫で怖がりなのを知っている刹那は、そういって彼女の背中を叩く。
「ご、ごめん。でも、ボクには無理かも……」
「なにを言っておる。アルミナはわらわの頼れるパートナーじゃろう? 気合を入れんか!」
「頼れるパートナー……」
刹那に命を捧げる覚悟で付き従うアルミナは、彼女の言葉を受けて目元に浮かんだ涙をゴシゴシと拭った。
それを決意の印と見た刹那は口元に笑みを浮かべる。
「それでこそ、わらわのパートナーじゃ――いくぞ!」
「うん!」
ふたりはそういうと、エンヘドゥたちの元へ向かって駆け出していく。
そんなふたりの後を追って、Mも動き出す。
「何をしようとしているかはわからない……でも、回収班が到着するまでおかしなマネはさせない」
と、3人の後ろ姿を見守っていた鍬次郎は、ハツネと葛葉へ交互に視線を向けた。
「なァ、俺らはどーすんだ?」
「ある意味で僕らの依頼は終わってます……が、脱出する為には共闘維持しないと……ですね」
葛葉は眉を上げてそういう。
するとハツネのクスクスという笑い声が聞こえた。
「ハツネもまだ遊び足りないの♪」
「……ケッ、また貧乏くじを引くのかよ。ま、生き残るためにはなんでもやるけどよ」
「では、行きましょうか」
葛葉の言葉を合図に、3人は思い思いに動き出す。
目的はもちろんエンヘドゥたちの排除だ。
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