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リアクション
一方そのころ、ワイン風呂の片隅では飲み会が行われていた。。
「さっ、どんどん食べてのむのよ!」
お酒のつまみとして、さいころステーキ、ローストビーフ、ミートパイ、ポトフなどの西洋料理が広げられたテーブル。
そのテーブルを前に蘇 妲己(そ・だっき)は大きな声で言った。
そのテーブルの周りをユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)、イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)、アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)。
さらにはフランチェスカ・ラグーザ(ふらんちぇすか・らぐーざ)、カタリナ・アレクサンドリア(かたりな・あれくさんどりあ)が囲んでいた。
全員、より楽しもうと言うことで妲己に呼ばれて集まっていた。
「フラン、あなたはお酒弱いのですから、間違っても口に含んではいけませんよ?」
「ははは〜、わかってますわ〜」
カタリナの問いに答えるフランチェスかだったがその手にはワイングラスが握られており。
まったく説得力のない答えだった。
「まあ……想定の範囲内です」
少し呆れながらもカタリナはお酒を飲んだ。
「あ、フランチェスさん、そちらのローストビーフをとってくださいませんか?」
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
一見特に何の事件も起きそうにないこの飲み会。
(うまくことは事が運べてるわ……)
実は妲己達には思惑があった。
妲己は上階にあるお風呂を見上げた。
「マスター、事はうまく進んでいるようです」
「みたいだな」
それは、通常は入ることができないVIPルームだった。
そんなジャグジー、サウナ室完備のVIPルームに武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)とヒルデガルド・ブリュンヒルデ(ひるでがるど・ぶりゅんひるで)は居た。
「妲己が用意してくれたこの部屋、なかなか風流があって良いな」
「ええ、私もそう思います」
幸祐はそれなりにこのお風呂を気に入っていた。
このお風呂は機能だけがVIPではない。見た目もVIPだった。
ジャグジーのそばには空が見える窓、さらに風呂場の壁付近には古風な絵、竹、松などがふんだんに色飾られている。
ワインも下のとはひと味違う、高級ワインだった。
「さて、妲己の奴うまくいくと良いんだがな」
そんなことを心配していると、目の前にヒルデガルドがこちらを向いた状態で腰を下ろしてきた。
ヒルデガルドはしっかりと幸祐の目をみながら腕を幸祐の首後ろへと回す。
「マスター」
「なんだ?」
「私……幸せです」
「……そうか」
誰もいない静かな風呂場。
月の光が照らすなか二つの影は寄り添い、二人は静かに唇を重ねた。
さて、お風呂場がそんなロマンチックにあふれているころ。
ユーリカ、フランチェスカをはじめとし、妲己をのぞく数人が酔っていた。
しかし、全員が酔いつぶれてるというわけではなかった。
「ふわああっ、飲んだら少し眠くなったでございますわ」
アルティアは背伸びをしながら見渡した。
「ダイブ飲みましたからね……あれ、フランはどこに言ったんでしょうか」
カタリナはいつの間にか横から姿をけしたフランチェスカの姿を探した。
「フランチェスカさんならさっき妲己さんとともに――」
妲己と一緒にどこかへ歩いていくのを見たと言おうとしたイグナだったが、周りの景色が一転した。
すべての人間、周りにおいてあったテーブル、椅子類がすべて空を舞っていた。
「ふふふ、いけませんわれえ〜、ふわふわれすわ〜」
「フラン! これ、あなたがやったのですね?」
「ふわ? もう飲めないれすわ〜」
フランチェスカ、完全に酔っていた。
カタリナにはこれがフランチェスカの【グラビティコントロール】のせいだと分かった。
「誰が、こんなに飲ませたのでしょう……」
「私よ!」
そういって声を上げたのは同じく妲己だった。
が、なぜか水着はぼろぼろになって、胸につけていたはずの紐ビキニに至っては外れていた。
「……なぜ、そんな姿なのだ?」
「ぐっ……そこのフランチェスカにやられたのよ! まさか酔った瞬間に攻撃されるなんて」
イグナが妲己の水着がぼろぼろであることを追求する。
妲己が言うにはフランチェスカを酔いつぶそうと思ったが、酔わせた瞬間にエンドロールによって水着が切り裂かれた。
ということだった。
とはいえ、今前に立っているのは女性しか居ないからだろうか、はだけた胸などを隠す気は無いようだ。
「誤算だったわ、酔ったら、みんながみんなつぶし合ってくれると思ったら、自然につぶれたのはフランチェスカとユーリカだけだった」
妲己は二人を見た。
フランチェスカはさきのように、すでに動ける状態ではない。
ユーリカは
「ふわぁ……なぜか体がふわふわします〜わ〜」
といって、クルクルとこの空中遊泳を楽しんでいるようだった。
「でも、あとはあなたたちだけ。覚悟しなさいっ!」
妲己をカタリナ達を見て啖呵を切った。
「品の無いお方でございますね……ちょっと沈んでいただきましょうか」
妲己の言葉を聞いて、アルティアは闘心がかり出されていた。
「イグナさん、カタリナさん、行きますよ」
「そうですね、今日は無礼講ですし。私もちょっとだけ本気出しますよ? どうなっても文句は言わないでくださいね♪」
と、首を横に小さく傾けながら笑顔で言う。
ちょっぴり、この状況をカタリナは心の奥底で楽しんでいるようだった。
「私も本来は、こういう事はしたくないのですが、こうまで強制的に勝負を投げられれば闘わざるえない……」
イグナはそういうと、ソードがわりにデッキブラシを片手にとって構えた。
これはさきのなぶらがやってた方法を見習ってのことだった。
「ふっ、良いわ、全員そろってかかってきなさい! 勝利をにぎるのは私よ!」
しばしの間、強い熱戦が空中に浮かびながらも繰り広げられた。
が、これも結果的には引き分けで終わってしまうことになる。
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