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第一章 師走の空京は大忙し
空京大学入口で王 大鋸(わん・だーじゅ)が声を上げた。
「今から空京大学の大掃除を始める! 理子っちからのメールに参加表明した者は集まってくれ!」
王の声に応じたものは二人だけ。エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)とその契約者エオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)だ。
王が大学入口にいる学生たちに問いかけるように視線を送る。目の合った者はすまなそうに違いますよと顔で返事する。
「てめえら二人だけってか?」
そう言った王はあわてて携帯を取り出した。理子っちからのメールを確認している。
理子っちから新たに届いていたメールには『大学の掃除は2人だった。ごめん!』と書かれている。
「掃除参加者は10人超えそうって書いてたろう?!……”シャンバラ宮殿掃除組”に流れたってわけかよ……」
「理子っちには人気がありますからねー」
エースがそう答えた。”シャンバラ宮殿と公園の掃除”は理子っちが監督することになっているのだ。
「俺様には人気がないってことなのかよ!」
威勢よく言い返した王だが、顔はすこし落胆しているように見える。
エースは『”空京大学の掃除”には人が集まらないだろう』と予測していた。
『王さん一人だけじゃ大変だからね。え? 彼には舎弟が沢山? そんな馬鹿な、ははは』
とエースが言っていたのをエオリアは思い出す。エースの予測は見事すぎるほどに的中していたのだ。
「いえ、理子っちの人気には誰だって負けてしまいますよ」
エオリアが柔らかい口調で王を励ます。
「しかしだな……3人だけってのはよぉ」
「大丈夫です! 強力な助っ人を準備してきています」
エオリアはメイドロボを王とエースの前に連れてきた。人手不足が心配なので準備してきたのだ。
「このメイドロボであわせて4人、ロボの機能を人間で換算すると何倍にもなりますよ」
「そりゃありがてぇ!」
王が喜びの声をあげる。
「ネコミミメイドコスチュームを着せて可愛くしてきましたよー。エース好きでしょ、ネコさんコス」
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