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うそ!?

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うそ!?

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    ★    ★    ★
 
「あれは、いつぞやのイコン。なんでこんな所に……。とりあえず……潰す!」
 鷽の巣から離脱していくオプシディアンたちの三機のイコンを見つけて、シルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)が攻撃態勢に入りました。
「ちょーっと、あのイコンはまずい、まずいっすよ、フィス姉さん!」
 真っ青になって、リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)がシルフィスティ・ロスヴァイセを押し倒して止めました。
 ベーシックな喪悲漢とかゴーストイコン程度ならなんとかなるかもしれませんが、第一世代機とはいえフルカスタム、フル武装のイコン三機を相手にシルフィスティ・ロスヴァイセ一人で勝てるとは思えません。
「うー、がるるるる。イコンぶっ壊したい」
「はい、どうどうどう」
 イコン嫌いも、ここまで来ると始末に負えないと、なあなあでシルフィスティ・ロスヴァイセをなだめながらリカイン・フェルマータは溜め息をつきました。
 
    ★    ★    ★
 
「鷽さんたち、どこにいるのかなあ。お友達になれたら、おにーちゃんにも紹介してあげられるのに」
 うっそうとした森を進みながら、ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が言いました。御神楽 陽太(みかぐら・ようた)たちとは離れて、今日は一人で鷽ウォッチングです。
「目玉ー」
「うわー」
「きゃー」
「待ってー」
 突然茂みががさごそしたかと思うと、非不未予異無亡病近遠たちがノーン・クリスタリアのすぐそばを駆け抜けていきました。
「ああ、どこからか、鳥の歌が……。でも、この姿では歌えないでございます」
 また目玉化しているアルティア・シールアムの声が、悲しげに木立の間に響きます。
「なんだったの、今の?」
 よく非不未予異無亡病近遠たちの姿が見えなかったノーン・クリスタリアが、小首をかしげました。もし見えていたら、軽いパニックでしたでしょうが、運がよかったです。
「また、鷽さんに悪戯されたのかなあ。なんで、鷽さんは、みんなに悪戯するんだもん。ひょっとしてみんなから好かれない方が嬉しいのかな?」
 そんなことを考えながら、ノーン・クリスタリアは鷽を探しました。
「うー、うそそそ〜ん。うー、うそそそ〜ん……」
 木立の間からは、たくさんの鷽の鳴き声がします。
「鷽さん一杯いるみたいだけれど、いったい何羽いるのかなあ?
 気配は感じるのに、姿を見つけられない鷽に、ノーン・クリスタリアが悩みました。
 そもそも、本当に、鷽は全部で何羽いるのでしょうか。合体分裂と、好き勝手な鷽のことなので、はっきり言って総数はとてもつかめません。もしかしたら、すべて一羽の鷽の分身なのかもしれませんし、それこそポータラカ人のように細胞の一つ一つが小さな個別の鷽なのかもしれません。もし後者の場合は、群体で一つの存在ということになるわけですが。
 がさがさがさ……。
 何かがノーン・クリスタリアのそばを通りすぎましたが、姿は見えません。
「それにしても、うっそうとしすぎです。いったい、鷽はどこにいるのでしょうか」
「捜すしかないだろうが、御主人」
 光学迷彩で姿を消しながら、ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)が森の中を進んでいきました。
 メカ雪国ベアに乗ってここへとやってきたのですが、すでに森の木立に隠されてイコンの姿は見えなくなっていました。
「なんとしてでも、第一次調査隊の無念は晴らしますよ、ベア」
「おうよ、当然だぜ!」
 雪国ベアハサミでチョキチョキと蔓草を切って道を作りながら、ソア・ウェンボリスと雪国ベアは前へ前へと進んでいきました。
「参ったなあ、なんでいきなり森に入るんだ?」
 ここにも迷っている者たちが。アキラ・セイルーンたちです。
「オイ、アキラ。どこに行こうとしているネ」
 肩の上に乗ったアリス・ドロワーズが甲高い声でアキラ・セイルーンに聞きます。
「ピヨを捜しているに決まってるじゃないか。目玉帝国のシンボルなんだから、ちゃんとしていてもらわないと困るのに。まったく、どこ行っちゃったんだか……」
 困ったように、アキラ・セイルーンが言いました。
 さて、そのジャイアント・ピヨですが、実はメカ雪国ベアの隣で、世界樹のポーズをとり続けていました。
「よいしょ、よいしょっと」
 その世界樹ジャイアント・ピヨを、ノーン・クリスタリアが上っていきます。
「鳥の巣って言ったら、やっぱり木の上だよね。鷽、いるかなあ」
 なんだか羽根みたいな葉っぱを上っていくと、鷽の巣が見えました。でも、なんだか、お椀みたいな形をしています。
「オイ、うしょ!」
 やっぱりお椀です。その中では、鷽目がお風呂に入っていました。