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王子様とプールと私

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王子様とプールと私
王子様とプールと私 王子様とプールと私

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「この季節、手軽に涼むにはやっぱりプールですよね」
 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を誘って、ウォータースライダーにやってきていたのだ。
「なかなか面白そうじゃのう」
「アーデルさん、ウォータースライダーでどちらが驚かずにいられるか勝負しませんか?」
「当然、負けたら罰ゲームじゃな?」
「罰ゲームの内容は……そうですね、クレープをかけましょうか」
 こうしてザカコたちは、ウォータースライダーに向かった。
「まずは行って来るが良い。ここで驚いていないか様子を見るからの」
 アーデルハイトがいたずらっぽく笑う。
「負けませんよー……!」
 ザカコはそう言い残して、ウォータースライダーを滑り始めた。
(……これくらいなら、余裕ですね)
 ――突如、滑り降りてくるザカコの前に、大きなタコが降ってきた。
「!?」
 唐突すぎる展開に思わず驚くザカコは、タコを掴んだままそのままプールにダイブした。
「えっ、何故タコ!?」
 タコをつまみ上げるザカコ目掛けて、タコは墨を噴射した。

「今度は私の番じゃの」
 ザカコの墨を落とすと、交代にアーデルハイトは勇んでウォータースライダーへと向かった。
「アーデルさんはどんな反応をするでしょうね……」
 ザカコが待っていると、アーデルハイトが滑り降りて来た。
「おー、これはなかなかの速さじゃ」
 と、見ているうちにアーデルハイトがすぽーん、と宙に飛び出した。
「!?」
 ザカコが口をぽかん、とさせて見ていると、プールを飛び越えた先のプールサイドにアーデルハイトは何事もなかったかのように着地した。
「……ザカコ。口が開いておるぞ?」
 アーデルハイトに指摘されて、慌ててザカコは口を閉ざす。
「こ、今回は自分の負けですね……というか、今のは何だったんですか!?」
「滑り終わるところにタコがへばりついておっての。気にせず踏んだら飛んでしまったのじゃ」
 平然と解説するアーデルハイトに、ザカコはがっくりと肩を落とす。
「さ、クレープを食べに行くんじゃろ?」
「一休みして、気分転換しましょう」
 うきうきとするアーデルハイトと一緒に、ザカコはクレープを買いに行った。売店で買ったクレープを持って、ザカコたちはベンチでのんびりと休憩をする。
「この後は、流れるプールに行きましょうか」
「それなら、浮き輪でぷかぷかとのんびりすることにするかの」
 しばらくして、思ったより流れが速かった流れるプールで、アーデルハイトが浮き輪に乗ったまま超速で流されて行くのは、また別のお話。