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女王危篤──シャンバラの決断

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女王危篤──シャンバラの決断
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東京

 東京都内の芸能事務所。
 【M】シリウスとして売り出し中のミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)をまじえて、シルヴィオ・アンセルミ(しるう゛ぃお・あんせるみ)は他のスタッフと打ち合わせ中だった。彼のパートナーアイシス・ゴーヴィンダ(あいしす・ごーう゛ぃんだ)も同席している。
 ミルザムもアイシスもどこか浮かない表情なのは、アムリアナ女王を心配している為だ。
「陛下?!」
 突然アイシスが立ち上がった。皆が驚くのもかまわず、部屋の窓に駆け寄り、開け放つ。そして空へと身を翻した。
「うわっ?!」
 地球人スタッフが思わず声をあげるが、アイシスは守護天使だ。二対の翼で東京上空を飛んでいく。
「今……確かに陛下を感じたわ……」
 背後から巨大な光の翼が彼女に近づく。
 女王器を背負ったミルザムが、追いかけてきたのだ。
「どうしたんですか? 今さっき、何か暖かい力を感じたけれど、これはもしかして……」
 驚きに声を震わせているミルザムに、アイシスはうなずいた。
「あれはアムリアナ様でした。陛下の気配が向かったのは……」
 アイシスが指した方角には、都内随一のパワースポットでもある聖なる森が広がっていた。しかし、アムリアナの気配は森の霊気に隠されたのか、もう感じとる事はできない。
 アイシスの電話が鳴った。シルヴィオだ。
「ごめんなさい、急に出て行ってしまって」
 彼女は謝ってから、今、ミルザムに話した事を告げた。
「これはパラミタで何か動きがあったな」
 シルヴィオが言うと、側にいた鷹山マネージャーが腕を組む。
「だが、その森にみだりに入れば日本政府が黙っちゃいない。
 ここは高根沢代王におでまし願うのが適任だろうな」