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リアクション
chapter.13 おっしゃれおしゃーれ♪……3
「もうすこしで頂点に着くところだったのに……何故、私がこんな奴の相手に回されねばならんのだ!」
メルヴィア・聆珈(めるう゛ぃあ・れいか)は隠そうともせずイライラが全開だった。
オーエス、オーエスとシュトルムボックを運搬する声にも腹が立ってくる。
順調に任務を進めていたところ、突然の場所チェンジ、突然のオカマ押しつけを食らえば、怒るのも無理はない。
「あら、今度はあんたがあたしのお相手?」
「気安く話しかけるな、たまなし。誰がおまえなんかに近付くか、汚らわしい。おまえの相手など部下で充分だ」
「……く、口の悪い子ねっ」
「誰でもいい、とっととこのたまなしを片付けろ」
メルヴィアはピシャンと鞭で床を打った。
俺たちゃ猛獣か! と誰もが突っ込みたかったが、無論のこと突っ込める勇気のある人間はいなかった。
「……まぁここは俺に任せてもらおうか」
名乗りを上げたのは風祭 隼人(かざまつり・はやと)だった。
「俺のお洒落レベルは道満をぶっちぎっているから大丈夫だが、俺以外の仲間が戦うとなるとキツイだろうしな」
「ぶっちぎってる……?」
自信満々の隼人とは反対に、メルヴィア含め隊員たちは首を傾げた。
正直、別段お洒落じゃない。ダッシュローラーとか履いてるし、80年代のアイドルかよっ。
しかし隼人はなんら気にせず、ローラーですーいすーいと道満に向かって行った。
「大丈夫か、あいつ?」
「まったく……、自分をお洒落だと思ってるお洒落じゃないやつほどたちの悪いもんはないな」
国頭 武尊(くにがみ・たける)はやれやれと肩をすくめた。
「しょうがねぇ、ここはひとつオレも力を貸してやろうじゃないか」
「ほう、随分と自信があるようだな」
「まぁ見ていてくれ。きっちりあのカマ野郎をぶっ倒して、褒美のメルヴィアパンツを手に入れてみせるぜ!」
「そんな褒美はないっ!」
メルヴィアの突っ込みを背中に受けながら、パンツ番長武尊も道満に挑戦する。
先行する隼人は魔道銃で射撃を加えていくのだが、皆さんの想像どおり、光線は道満に当たらず弾かれてしまった。
「なぜだ! なぜ、当たらないんだ!?」
「だーかーら! 全然お洒落じゃないのよっ、このダサ男っ!」
「な……っ!?」
道満のお洒落カーストが隼人の精神を飲み込む。
「う……うおおおおお!! ダッシュローラー楽しーっ! ひゃっほおおおおおっ!!」
元気な子どもだったらしい。ダッシュローラーの楽しさに夢中になって遠くに行ってしまった。
そして、道満は続く武尊のファッションチェック。
「む……、まさか、その格好は『荒野のセイヴァーシードコーデ』!?」
「専用装備で全身を固めりゃ、そいつが現在のクラスに一番適した格好ってことだろ?」
彼の全身は種モミ剣士用の装備で見事に統一されている。
「まぁこいつがお洒落かどうかは知らないが、付け焼刃のブランド衣装や宝石の類いで着飾るよりよっぽどマシだ」
「ちょっと、それあたしのこと?」
「ふっ……。蘆屋道満、今のアンタはとっても醜いぜ!」
仲間の救世主『パンツ三銃士』を引き連れ、武尊は道満に四人掛かりで迫った。
「お前の中にオレの種(ディシースシード的な意味で)を挿入(いれ)てやる。しっかり実らせろよ」
「徹底したコーデは嫌いじゃないわ。でももう一回言うけど、そんな格好で代官山歩けると思ってんのぉ!!」
「ぶへぇっ!!」
ナックルバズーカ・エレガンスが四人を天井高く吹き飛ばす。
装備だけでなくスキルまで、徹底した種モミスキルにしたのが仇となり、なんの抵抗も出来ずぶっ飛ばされた。
「こ、こんなにも似合ってるのに……」
「荒野にいる分には違和感ないけど、お洒落タウンを種もみ持って歩いてたら、即職質レベルでしょうが!」
「く、くそ。腹ン中をパンパンにしてやるつもりが、オレの顔のほうがパンパンになっちまうとは……」
殴られて腫れた顔をさすりながら、武尊はやがて苗床となった。
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