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【ニルヴァーナへの道】決戦! 月の港!

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chapter.23 第三の部隊……4 


……ここまで来れたのはみんなのおかげ、だから全員で持って全員でおさめない?
 人形をすべて片付け安全が確保されるとルカルカはそう提案した。
 その提案を断る理由は特になかった。台座に乗せたウォンドにひとりひとり手を添えていく。
「では僭越ながら自分も参加させて頂くであります」
「傷は大丈夫か、大熊。肩を貸してやるから、掴まるといい」
「恩にきるであります」
 正悟に支えられながら丈二は手を添えた。
「危険な任務だったが達成出来たことを誇りに思う。翼、おまえも任務ご苦労だった」
「えへへ……。みんなが守ってくれたおかげだよ」
 悠にくしゃりと頭を撫でられ、翼ははにかんだ。
「任務が任務だけに慎重に動き過ぎたきらいもあるが、まぁ成功出来たんならなによりだ」とウォーレン。
オレは明日からの食生活に不安がいっぱいだけどね……へへ……
「お菓子っお菓子っ。たっかいお菓子っ」
 どんより曇り空のカオルとは対照的にマリーアはとっても上機嫌である。
「まだこの戦いが終わったわけではないが、これもひとつの区切りなのだよ。第三部隊の勝利を祝して……」
 最後に手を置いたのは、黒薔薇の魔導師リリ。
 何事もなかったかのように、なんかひと仕事終えた顔で手を置いてるけど、みんなの思うことはひとつだった。
 居たんだ……。
「……コホン。まぁともかく、これで任務完了だ」
 ダリルは言った。
 ヴァラーウォンドを捧げられた台座は光を放ち、部屋に施されたシステムはゆっくりと鳴動しながら動き始めた。
 一同は部屋を見上げ、作戦成功の余韻にしばしひたる。
 そんな中でリリだけは、ご馳走を目の前に置かれた子どものように、ヴァラーウォンドをじっと見つめていた。
「目的は果たされたのだ。これでもうブライドオブシリーズは必須アイテムではなくなったのだよ」
 ニヤリと笑う。
「ならば、リリがガメたって構わないのだよ」
 いや、構うだろ。
 完全なるオレ理論のもと、ぐいぐいと台座からウォンドを引きはがそうと格闘する。
 しかしながら、薄紙の一枚も入り込む隙間もないほどピタッと張り付いたままビクともしない。
 どうやら一度セットするともう普通の手段では取り外せなくなるらしい。
「なぜだ、なぜいつも報われないのだ〜〜!」
 床に四つん這いになり苦悩する魔導師に、みんなの思うことはひとつだった。
 なにしに来たんだ、こいつ……。