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リアクション
――そうか。分かった。
行かなくてはいけない、理由。
自分が、そうなんだ。
そしてこれは、試練なんだ。
銃声
AM8:00(タイムリミットまであと16時間)
ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)が、死んだ。
「アキラあぁああああっ!」
ルシェイメアは、走った。
彼女のパートナー、アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)に対しての殺気。
それを感じ取った瞬間、ルシェイメアに迷いはなかった。
ダァアアンッ!
「ぐあぁっ!」
「る……ルシェイメ、あ?」
アキラには、一瞬何が起きているのか理解できなかった。
ルシェイメアが自分を突き飛ばしたのと同時に、銃声がした。
一瞬前まで自分がいた所。
そこに飛び込んだルシェイメアの体が跳ねた。
血が、舞った。
「え……ルシェイメア?」
「き、気を付けるのじゃ、アキラ。貴様を狙っている、奴が……」
「しゃべっちゃ駄目ヨ!」
アリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)の言葉に耳を貸さず、ルシェイメアは続ける。
「ワシは……もう十分生きた。この命が、貴様たちのためになるなら喜んで……」
「止めて……止めてくれ、ルシェイメア殿! そんな、まるで死ぬみたいな……っ!」
アキラの絶叫が、響く。
その声に、銃声に、アキラたちの周囲に人が集まってくる。
(……ちっ)
舌打ちしたのは、姿なき狙撃者。
死に包まれた国、日本。
その中の、僅かな生き残りであるオヅヌコロニーの面々。
彼らはハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)からの情報を元に、宝珠を横須賀基地に届ける為に高根沢 理子(たかねざわ・りこ)を中心として基地に向かっていた。
死人の恐怖。
そして、彼らの中に交じっているというヤマへの不信。
悪意渦巻く中、彼らは進む。
その、微妙なバランスを変えたのは、一発の銃声だった。
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