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それを弱さと名付けた(第1回/全3回)

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それを弱さと名付けた(第1回/全3回)
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リアクション


chapter.14 ストロベリー 


 同時刻。
 空京大学を出て、黒崎 天音(くろさき・あまね)ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)は夜道を歩いていた。
「アクリト学長のパートナーに会えなかったのは、残念だったね」
「まあ留守では仕方あるまい」
 言いながら、ブルーズは本来であれば訪問先に渡すはずだったケーキを抱え食べたそうに見下ろしている。箱を開けると、中にはショートケーキやモンブラン、チーズケーキなど、おいしそうなラインナップが並んでいた。
「お行儀が悪いよ、ブルーズ」
「……おまえにそれだけは言われたくなかったぞ」
 普段だらしなく衣服を脱ぎ散らかしている天音を思い起こし、ブルーズが不平を漏らす。
「あ」
 会話に気を取られていたせいか、ブルーズはショートケーキの上に乗っていたイチゴを地面に落としてしまった。
「天音、おまえがそもそも箱に入っていたのは何のケーキだっけ、などと言い出さなければこんなことは……」
「それにしても」
 ブルーズの言葉をスルーし、天音は携帯をいじりながら言葉を発した。
「『譲れ』と言われて『はい、どうぞ』と答えが返ってくる状況とは思えないんだけれど……アクリト学長は意外と天然が入っているのかな? もしくは、情動というものを解さないのか」
 それは、ふたつの学校の対立についての話題だった。ブルーズはそれに「お偉い方は、一般人と感覚がずれているものだ」と返す。が、天音はまたしてもブルーズの答えなど待っていなかったかのように自分の考えを口に出す。
「まぁでも確かに、どこかの誰かにとっては御神楽校長より、御し易そうな山葉の方が歓迎なんじゃないかな? ただ彼女も、『幼馴染だから任せる』なんて非論理的な思考回路を持っていない人だとは思うんだけどね」
 それに、と付け加えて天音が言葉を続けた。
「そうやってお互いが牽制している間に、横から滑り込んでさらおうなんて勢力があってもおかしくはないでしょ? たとえば……僕が、蒼空学園兼空京大学だ。なんてね」
「……さすがにそれは冗談だろう」
「ふふ、さあね」
 天音が口の端を緩ませる。携帯を片手に話すくらいだから冗談なのだろう、とはブルーズも察するが、表情から明確な真意は読み取れない。
 いつもの戯れだろう。なのでブルーズはそう割り切り、それ以上は深入りしないことにした。
「……ん」
「どうした?」
 と、携帯を見ていた天音の手が止まった。彼はブルーズにその画面を見せる。
「センピースタウンの交流広場を覗いていたんだけれど、これが本当なら牽制どころか、戦争にまでなりかねないね」
「……何?」
 また天音の悪い癖か。そう思い呆れ気味に画面を見たブルーズはしかし、そこに書いてある文字を見て驚きを隠せなかった。
「これは……デマではないのか?」
「どうだろうね。直接本人に確かめれば分かりそうな気もするけれど」
 天音がもう一度画面を見る。そこには、こう書かれていた。

「山葉とアクリトの抗争がもうすぐ始まる」
 ブルーズが落としたイチゴはふたりが去った後、道を歩く通行人に踏み潰され赤い染みだけを残していた。

担当マスターより

▼担当マスター

萩栄一

▼マスターコメント

萩栄一です。初めましての方もリピーターの方も、今回のシナリオに参加して頂きありがとうございました。
今回のリアクションの度重なる公開延期、誠に申し訳ございませんでした。

リアクションの内容について、端的にお話させていただきます。
論文部分は基本的にアクションをそのまま採用しております。誤字脱字含めそのままです。
その方が提出した感があると判断したためです。3点リーダーやカギかっこなど表記上問題ある部分だけ修正しています。
そして皆さんが出していただいた論文で、アクリトの意識はリアクションにある通りに変化しました。

蒼空学園では次回このままの流れでいけば新生徒会発足になると思います。
もちろんアクションや参加者次第では、予定だけで終わる可能性もあります。

また、リアクション中にも表記しましたが今回行方不明になった方がいます。
蒼天の巫女 夜魅(SNL9998852)さん、滝宮 沙織(SFM0034323)さん、アズミラ・フォースター(SFL0003892)さん、
秋葉 つかさ(SFM0002869)さん、そして本文では書いていませんが蝕装帯 バイアセート(SFL0034733)さんの5名です。
この方々は次回もし参加された際には捕まっているアクションしかかけられません。
詳しくは個別コメントでご説明させていただいてます。

それと、NPCとの絡みですが、基本はガイドに出ているNPCとの絡み推奨となっております。
キャンペーンということで、そのあたりは厳密に処理させていただきました。ご了承ください。

なお今回の称号は、MCLC合わせて3名のキャラに送らせていただきました。
ちなみに称号を付与してなくても、アクションに対する意見などを個別コメントで送らせて頂いているパターンもございます。

最後に、次回シナリオの告知をいつもさせていただいていますが、
現在私事でドタバタしてまして、少しの間活動を休止させていただきます。
なるべく早く復帰したいと思っておりますので、2回目に関してはそう何ヶ月もお待たせはしないつもりです。
もしある程度間が空いてしまいそうな時は運営の方と話し合って今後を決めたいと思います。
長文に付き合っていただきありがとうございました。また次回のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。