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リアクション
第18章 愛も正義もなく
シャンバラン(正義)、愛、美羽、ベアトリーチェ、それに珠輝が球代を取り囲んでいた。なぜこのような計画を立てるに至ったのか、その意図はわかっていない。それを聞き出そうというのだ。シャンバランが降服を迫る。
そこに爆弾が放り込まれた。
塀の爆破に使われた爆弾の一部を、半沢 利男がくすねて持ってきたのだ。
吊られた男は5人のしもべを束ねる男であった。しかし珠代が男と5人のしもべをたぶらかし、それから男を放り出したのである。
利男の本来の計画は、大会運営本部と大鋸たちが互いに争って決着がつくのを待ち、勝者を不意打ちで倒して自分が頂点に立つ、というものだった。
しかし珠代の裏切りと計画を聞き出した利男は計画を変更。武尊の用意した爆弾の一部を盗み出し、この瞬間を待っていたのである。
珠代は爆弾を見るとそのまま屋上から身を投げる。突然のことに戸惑う一行は爆発に巻き込まれてしまった。
「勝った! 俺こそが一流だ!!」
そう叫ぶ利男だが、目撃者も証人もいない。
大会運営本部の屋上で爆発があり、ひとりの少女が落ちてくる。それを見た地上の男たちは大慌てで布を広げ、少女を受け止めた。
知らぬ者からしたら、さぞや感動的な光景に見えたことだろう。そういう心理的効果までふくめての計算だった。
珠代はにっこりほほえんで、この場に留まるべきか、さっさと撤退すべきか考える。
その一秒後、頭上に美羽とベアトリーチェが落ちてきたのであった。
第19章 決勝戦
「途中いろいろありましたがメイベル・セシリアペア対、菊・ガガチームによる決勝戦を再開します!」
馬賊によりコートは荒らされ、陽も落ちかかっている。中にはまだ衝撃から立ち直れない生徒もいる。
だが両チームは今日この日、決着をつけずにはいられないのだ。
菊とガガはこれまでどおり、ドラゴンアーツを組み込んだ戦法で攻めていく。しかしコートはすでにデコボコしており、足下を荒らしていくやり方は効果が薄い。
ドラゴニュートはまだドラゴンの幼生であり、ドラゴンアーツで弱点をカバーしているものの、それほど体力はない。
それに引き替え、メイベルの動きはこれまでに比べて格段によくなっていた。馬賊の乱入時に、セシリアが“パワーブレス”の魔法で祝福を与えていたからだ。これは俗に攻撃力を高める魔法として知られているが、本質的には身体能力を向上させる魔法だ。
菊とガガの間合いは驚く広いが、メイベルとセシリアの運動能力はそれを凌駕するものがあった。特にガガの動きが鈍いことに気づいてからは、着実に点差を広げていく形となった。
日が沈み、月が見え始めた頃に決着はついた。メイベルとセシリアの勝利だった。
終章 打ち上げ
その晩は遅くまで、キマクにあるパラ実分校(ファミレス)に参加者が集まって騒いでいた。写真の得意な美影やエドワードが携帯電話で写真を撮ったり、活躍した選手に地元の名物料理が振る舞われたりした。仲の良くなったもの同士でさらに遅くまで過ごすケースもあれば、ひとり寂しく帰るものもいた。
珠代はこの事件を起こした容疑者として、シャンバラ教導団の管理するシャンバラ刑務所に送られることとなった。百合園女学院に問い合わせたが、そのような生徒はいないということで、パラ実生なのだろうということに落ち着いた。
このときには誰も思いつかなかった。日本には今も、百合園女学院日本校が存在していることを……
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