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リアクション
第9章 試合経過
「さてさて第二試合。メイベル・ポーターさんのチームと、チーム・刃流斬伊(ばるきりー)による試合の様子をどうぞ」
メイベルとセシリアは百合園学園の紺のスクール水着を着ている。胸には「めいべる」「せしりあ」と名前の書かれているやつだ。
対するチーム・刃流斬伊だが、ナガンはピエロのようなメイクをして、さらしに褌といういでたち。チームメイトのヴェルチェは黒地に深紅の炎の紋様を飾ったビキニという姿。
普通のスポーツ大会のつもりで参加していたメイベルは、対戦チームの醸し出すパラ実的センス(?)に気圧されている。
サーブ権を得たのはチーム・刃流斬伊。ナガンは妙に高くボールを打ち上げる。それをみてヴェルチェはナガンをひっつかみ、そのまま空高く放り投げる。ドラゴンアーツを使った投げ技だ。
太陽を背に、ナガンは不思議なポーズをとった。いわゆるひとつの“SPリチャージ”である。
「ぁぁあ!身体が熱くなってくぅ!」
大興奮のヴェルチェは頬を紅潮させ、ボールではなくナガンのほうをサーブ!
「しねぇい!!超級覇王波羅蜜多人間砲弾!」
こうしてスポーツを楽しむためにやってきた少女ふたりは、かくも無残な最期を遂げたのである……とはならず、ヴェルチェが興奮しすぎたためかナガンは明後日の方向にブッ飛んで行った。ヴェルチェもナガンを追っていったので、刃流斬伊の試合放棄となった。
「だんだんパラ実っぽい試合になってきましたねぇ。では第三試合、支倉 遥さんのチームと、チーム・ニンニクスタミナーズの対戦です」
遥は旧スク水を着用。ベアトリクスは一見すると男のようだが、女物の水着を着ている。相手の実力を見定めようと、遥はレロシャンとネノノを観察中。それがベアトリクスの癇に障る。
試合は意外なほどまともなものだった。遥は相手の動揺を誘おうとして挑発を試みるが、激しい特訓を潜り抜けたレロシャンに隙はなかった。
レロシャンに隙はなかったが、ネノノにはあった。ネノノはどうにも男性の相手が苦手なのだ。女性限定の大会で、この欠点は問題ないと思っていたのだが……どうにもベアトリクスが気になってしかたがない。それに気づいたベアトリクスは集中的にネノノを攻め、それが勝敗を分けた。
「見ごたえのある試合でした。続いてガートルードさんのチームと、チーム・デリケートドラゴンによる第四試合です……おや?」
ガートルードの姿が見えない。
「あの阿呆、どこで道草こいとんのじゃ」
パートナーであるシルヴェスターは苛立ちを隠せない。このままでは不戦敗だ。
「僕でよければ手を貸してもいいよ」
清泉 北都がシルヴェスターに声をかけた。不戦敗よりはマシなので了承する。
シルヴェスターは白い蛇柄のビーチバレー用ビキニ、北都はタンキニ(白と青のストライプ柄で下は紺色のショートパンツ)に長いカツラという姿だ。
対戦チームのデリケートドラゴンは、交代要員ひとりを含む変則的な構成。この試合に出るのは遠野 歌菜とカリン・シェフィールドのふたり。歌菜の水着は動きやすさを重視したビキニ、カリンの水着は黒の大胆カットのハイレグワンピースだ。
シルヴェスターは“爆炎波”を応用した炎のスパイクを打ち込んでいく。それを炎に強い歌菜が拾って、カリンが素早く打ち返す。器用に止める北都。
試合は一進一退だったが、どうしても即席のチームでは足並みに乱れが生じる。そこに歌菜の猛烈なスパイクが繰り出された。
「喰らえ! 魔球、カミナリ落とし!!」
そんなかんじで少しずつ点差は広がっていき、ガートルードが戻ってきたころには勝負がついていた。
第10章 著作権の問題
美衣弛馬鈴会場入り口では別の問題が起こっていた。入場を断られたゆる族のキャンティ・シャノワール(きゃんてぃ・しゃのわーる)が押し問答を繰り返していたのである。
主催者側は当初『ゆる族は中が男かもしれない』という理由で断っていたのだが、同じくゆる族のウサリーナがすでに入場しているので、まったく説得力がない。
キャンティが入場できなかった本当の理由は別にあった。詳しくは説明できないが、キャンティに似た姿の有名キャラクターが存在しており、あとでなにかあると面倒なので追い返されていたのである。
とにかく入場できなかったキャンティは激怒しながら、パートナーの聖・レッドヘリング(ひじり・れっどへりんぐ)のところに戻った。
「ひじりん、この糞大会本部に地獄を見せてやる……でござる」
「承知しました、お嬢さま」
早水 ポン太(はやみず・ぽんた)は気絶した椎名 真をかついで運営本部の外に出た。同じ学校のよしみ、捨てては置けぬ。
ポン太はやっとのことで、競技場入り口付近に設営された救護テントまでたどり着いた。この強い日差しでは体調を崩す生徒もいるだろうということで、色無 美影(いろなし・みかげ)とそのパートナー、ミントラム・マリウォーター(みんとらむ・まりうぉーたー)がそばにあったテントを借りてボランティアでやっていたのである(信じられないかもしれないが、大会運営本部はこうした準備をしていなかった)。
担ぎこまれた真を見て、美影はなんとか治療しようと試みるのだが、素人なので消毒して包帯を巻くぐらいしかできない。蒼空学園にいるとさほど意識しないが、やはりここは日本ではないのだと痛感する。
美影が慌ただしくしているあいだ、ポン太は美影のポニーテールと太ももに目が行っていた。美衣弛馬鈴は見られそうにないが、これはこれで……と思っていると、そばを通ったミントラムに足を引っかけられた。どうも美影にちょっかいを出すのはやめたほうがよさそうだ……
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