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エルデの町を守れ!

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エルデの町を守れ!

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●第2章 迎撃せよ、ジャイアント・アント

「アリだー!」
 小型飛空挺に乗り、町の周りを巡回していたセシリア・ファフレータ(せしりあ・ふぁふれーた)が、拡声器を用いて全力で警告した。
 緋山 政敏(ひやま・まさとし)が用意していたロケット花火も打ち上げられる。
 西の果ての草原から、ジャイアント・アントの群れが行軍してきている。
 警告の後、セシリアは町の入り口付近で待ち構える仲間たちの下へと降りていく。

「アリの行列といえば、最初に餌を見つけたアリが餌から巣穴までの道のりを仲間に知らせるために匂いを残しながら巣穴に戻り、その匂いを頼りに仲間のアリたちが餌までの行列を作ると言いますよねえ」
 1体目のジャイアント・アントがやって来た道筋を確認したルーシー・トランブル(るーしー・とらんぶる)は、その道筋へ酸の霧を呼び出して、地面を穿った。
 他のジャイアント・アントが道を見失って、エルデの町へと辿り着かないように、と願う。
「レティナ、行くよ!」
「はい、気をつけてくださいね、光!」
 レティナ・エンペリウス(れてぃな・えんぺりうす)の祝福を受けた陽神 光(ひのかみ・ひかる)はジャイアント・アントの脚の関節部分をリターニングダガーで斬りつけた。
 硬い外殻よりは多少柔らかいその部分を斬りつけられて、ジャイアント・アントは暴れ出す。
 噛り付いてこようとするところを光は軽々と避け、次の関節へとダガーを振るった。
 撃破を目標とはせず、脚を潰すことで身動き取れなくしようとしているのだ。

「確かにパワーはある……だが、それだけで俺を倒せると思うなっ!」
 守王 凱(もりおう・がい)は、迫り来るジャイアント・アントに向かってランスを振るった。ジャイアント・アントの酸により武器が使い物にならなくなってしまうのを見越して、周りには数本の剣を地へと突き立てている。
 思惑通り、ジャイアント・アントが吐き出した酸でランスはすぐ使い物にならなくなってしまい、凱は剣を手に取る。
「使い物にならなくなったか……なら、後は勇気で補うっ!!」
 叫んで、剣を手に、ジャイアント・アントへと立ち向かっていった。

 予め入り口の近くに半円形の落とし穴を掘ったヴィンセント・ラングレイブ(う゛ぃんせんと・らんぐれいぶ)は、その傍に立っいた。
 ジャイアント・アントを挑発するかのごとく、機関銃のように弾をばらまくような射撃を行う。すると、当たったり当たらなかったりするその射撃攻撃に、ジャイアント・アントはまんまと挑発され、ヴィンセントへと近付いてきた。
 そして、落とし穴に落ちていく。

 一乗谷 燕(いちじょうだに・つばめ)とそのパートナーの宮本 紫織(みやもと・しおり)もまた、入り口の近くに立っていた。
 ヴィンセントの用意した落とし穴に落ちなかったジャイアント・アントが、彼女らに向かって、鋭い牙の覗く顎を開いて襲い掛かってくる。
「簡単に噛まれるか!」
「油断大敵どす、紫織!」
 2人はジャイアント・アントの顎の動きを見切って、手にしたカルスノウトで受け流す。
 燕が紫織の、紫織が燕の、死角をなくすように立ち、襲い掛かってきたジャイアント・アントへとカルスノウトの刃を振るった。
「今どす!」
「うん!」
 剣圧を纏ったその攻撃は、一度に2体に向けて斬撃を繰り出す。関節部分をやられたジャイアント・アントはその場に倒れ込み、動けなくなってしまった。

 町の入り口の建物の上でジャイアント・アントを待ち構えるのは葉月 ショウ(はづき・しょう)だ。
 ジャイアント・アントがやって来ると共に、建物から飛び降りる。落下の勢いも上乗せした、音速の一撃をジャイアント・アントに向かって放つと、硬い外殻に罅が入った。
 痛みにのた打ち回るジャイアント・アントの脚を更に狙って、確実に潰していく。
「キシャアアアアアッ!!!」
 ジャイアント・アントはショウを視界に捉えると、大きな顎を開け、噛り付いてきた。
「っく……」
 回避が遅れ、噛り付かれた腕が痛むけれど、ショウは攻撃を続け、ジャイアント・アント1体の脚を全て潰すことが出来る。

 散歩のつもりでアピス・グレイス(あぴす・ぐれいす)はエルデの町に居た。
 けれど、自警団が動き出し、住民は避難をし始める始末。
 アピスは完全に騒動に巻き込まれたのだ。
 仕方なく、携えていたランスを構え、ドラゴンアーツの加護の下、町へと襲い掛かってくるアントを相手する。
「どこを見ているの、あなたの相手はこっちよ」
 入り口にて待ち構える自分たち学生を無視して、他所から侵入を試みているジャイアント・アントに向かって、ランスを振るった。

 町の内側でトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)とパートナーの千石 朱鷺(せんごく・とき)が駆け回っていた。
 外側で守っていても、どうしても抜けは出るもので、何体かのジャイアント・アントが侵入してしまっているのだ。
「見つけたぜ!」
 路地を抜けた先で1体のジャイアント・アントを見つけたトライブがリターニングダガーを投げる。背後から攻撃されたことにより、トライブたちに気付いたジャイアント・アントはくるりと向きを変えると、彼らに襲い掛かってきた。
「わたくしが相手します!」
 朱鷺が襲い掛かってくるジャイアント・アントに向けてカルスノウトを素早く振るった。
 硬い外殻に、うっすらと罅が入る。そこを狙って、更なる攻撃を加えると外殻は完全に割れ、ジャイアント・アントは息絶えた。

「ほっほぉ………こりゃまた、わしの『ばとるそうる』が疼くのぉ! 参るぞニトォォォッ!!!」
 エルデの町を訪れ、手近な食堂で昼食を摂っていた水洛 邪堂(すいらく・じゃどう)は、ジャイアント・アント襲撃の話を聞いた。
 建物を飛び出し、屋根に上ると、ジャイアント・アントがやって来るという西側を目指して、パートナーのニト・ストークス(にと・すとーくす)を連れ、駆けていく。
「貫ッ!」
 町の中へと侵入してきたジャイアント・アントを見つけ、邪堂は屋根を飛び降りる。
「いくよっ! 御爺さんっ!」
 ニトが放った火の玉が邪堂の足に纏わりつくように飛び、彼の蹴りと共にジャイアント・アントに打ち込まれる。
「鳳凰脚――ッ!!!」
 その一撃で完全に仕留められるわけではないが、かなりの痛みを喰らって、よろめきながらジャイアント・アントは立ち上がった。
「水洛邪堂、参るぞぉぉぉい!」
 その間に素早く宙返りして後退した邪堂は、拳を構え、戦闘態勢をとるのであった。

 最初は入り口付近で向かい来るジャイアント・アントを倒していたロザリア・リージュドット(ろざりあ・りーじゅどっと)であったが、次第にそれだけではつまらなく感じていた。
「我剣の錆にしてくれる!!!」
 言うなり、入り口付近から離れて、草原へと向かっていく。
 向かうはジャイアント・アントの巣穴だ。
「特に女王アリは歯ごたえがありそうじゃ! 見つけ次第隙を突き一気に押し倒してくれる!!!」
 言いながら、巣穴に向かうのであった。