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結成! ショートカット同好会!!

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結成! ショートカット同好会!!

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1.同好会結成!

 とある掲示板の前に一人の少年が立ち止まっていた。幼い顔の少年剣士、レイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)だ。
「ショートカット同好会……」
 そう呟いて、自分の髪に触れてみる。
 手入れをしていないのでぼさぼさだが、もしかするとこれも……――。
「いや、やめよう」
 と、レイディスは首を横に振った。良心的なことを書いてはいるが、どうせろくでもない同好会なのだろう。
 歩き出そうとしたレイディスだったが、ふと視線を感じて振り返る。
 そこには誰もいなかった。
「……気のせい、か?」
 誰かに狙われているような気がしたものの、レイディスは構わずに歩き出す。

 ショートカット同好会の部室には、何人もの生徒が集まっていた。
「ようこそ、ショートカット同好会へ!」
 と、会長の松田ヤチェルは目をキラキラさせる。
「あたしが会長の松田ヤチェルです!」
 ヤチェルがそう言うと、すぐ近くにいたソール・アンヴィル(そーる・あんう゛ぃる)がにっこりと笑みを浮かべた。
「俺はソール・アンヴィル。仲良くやろうぜ」
 と、ヤチェルへ握手を求めてくる。ヤチェルもすぐに手を出し、がっちりと固い握手を交わす。
「さっそくですが、ショートカットと言えばこの子」
 二人の間を割るようにして入ってきたのはルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)
「ナナっていうんですけどね、可愛くないですか?」
 ルースは手にした写真をヤチェルへ見せた。そこに写っているのは、メイド服を着た銀髪ショートの女性。
「ショートカットにメイド服ってだけでも素晴らしいんですが、この綺麗な銀髪といったら!」
「確かに、可愛いですね」
 と、ヤチェルは写真の中の彼女と目を合わせる。
「でしょう? これこそ、まさに真のショートカットですよ!」
 すると、シャンバラ教導団の軍服を着た一人の少女が前へ出てきた。
「いいえ。真のショートカットとは、わたくし天璋院篤子(てんしょういん・あつこ)のことですわ!」
 と、被っていたヘルメットを脱ぐ。
 さらりと流れるようなつややかな髪、光の反射する様も美しい。ヤチェルだけでなくその場にいた者すべてが呆気にとられた。
 が、一人だけカメラをいじっていて、反応しなかった者がいた。
「ねぇねぇ、写真撮りに行かないの?」
 羽入勇(はにゅう・いさみ)だ。カメラをヤチェルの方へ向け、写真を撮りたい意思を示す。
「あ、ああ、そうだよね。えっと、では写真を撮りに行きましょう!」
 そう言ってヤチェルは机に置いた自前のカメラを手に取った。
「ショートカットの女の子なら、誰だっていいのよね?」
 と、わくわくした様子で、どりーむ・ほしの(どりーむ・ほしの)が言う。
「うん、そう。出来れば漏れがないよう、ショートカットの女の子全員と出逢いたいわ」
「喜んで協力いたしますぞ」
 と、尼崎里也(あまがさき・りや)が言う。彼女は空京写真館の館長であり、その申し出は心強かった。
「私は写真は撮らないけど、ショートカットの女の子を探すお手伝いをします」
 そう言って携帯電話を見せたのはシャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)だ。見つけたらすぐに連絡する、ということらしい。

 話し合いの末、ヤチェルと里也は校舎の外へ、勇とどりーむは校舎内を探すことに決まった。
 勇のパートナーであるラルフ・アンガー(らるふ・あんがー)が全生徒リストを持っているので、連携を取り、全てのショートカットの女の子を見つけ出すつもりだ。
「それじゃあ、また後で! 解散!」
 ヤチェルの言葉を合図に、それぞれが行動を開始する。
「可愛い子、たっくさん見つけるわよ!」
「えぇー、ちょっと待ってよぉ」
 と、最初に部室を出ていったのは、どりーむと彼女のパートナーのふぇいと・たかまち(ふぇいと・たかまち)だった。
「では、行ってきまーす!」
 勇もパートナーのラルフと、ニセフォール・ニエプス(にせふぉーる・にえぷす)を連れて出ていく。
「どんな可愛い子と出逢えるか、楽しみですな」
 と、動き出す里也の後を、パートナーの鬼崎朔(きざき・さく)ブラッドクロス・カリン(ぶらっどくろす・かりん)が付いていく。
 扉へ向かうヤチェルの隣を、ソールはすかさず陣取った。ショートカットの女の子を愛でる者として、ヤチェルとの会話を楽しもうというらしい。
 ソールのパートナー本郷翔(ほんごう・かける)は怪しんでいた。ソールはきっと、何か企んでいるはずだ。
「わたくしを忘れてますわ!」
 と、篤子はヤチェルの隣へ立った。
 ヤチェルを心配した由良叶月(ゆらかなづき)もまた、翔と同じように後を追う。
「俺も付いて行っていいですか?」
 と、叶月に声をかけたのは橘恭司(たちばな・きょうじ)だった。何故か手にはハリセンを持っている。
 さっそく意気投合しているヤチェルとソールを見て、叶月は答えた。
「ああ、頼む」
 仲間を見つけたヤチェルは、どんな行動を起こすか分からない。もしかすると、ハリセンが役に立つかもしれなかった。