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秋のスイーツ+ラブレッスン

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秋のスイーツ+ラブレッスン

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 海と仲良くなるにはどうしたらいいだろう、と杜守 柚(ともり・ゆず)は思う。作るものに悩んだので、何を作るか相談することにした。
「柚―、呼んできたよ」
 ちょうど誰かを教えたり質問攻めにもされておらず、暇そうにしていたので、調理器具を取ってくる時にパートナーの杜守 三月(ともり・みつき)は友人の高円寺 海を呼んできた。
「ごめんね呼んじゃって。海くんは何作るの?」
「いや、得に……。俺は頼まれて来てるだけだしな」
 主催は主に監視と管理で、自分の作りたい時に作れるから、と教える以外は海は何も作業をしていなかった。
「この間みたいに一緒に作りませんか? なんか色々悩んでいるうちに時間がすぎちゃって」
「え、まだ作業はじめてないのか?」
 他のグループは着々と作業をしていて、遅れをとってしまった。何を作るか悩んでいたのもあるが、海を誘うタイミングを見計らっていたのも時間を食ってしまった原因だ。
「仕方ないから手伝ってやるよ。けど楽なアップルパイとかでいいよな」
「はい、私好きですし」
「助かるよ、じゃあ僕材料とかとってくるね!」
 よしきた! と三月は必要な材料を持ってくる。パイ作りには楽なパイシートが無かったので、1から作ることにした。
 仕事はアドバイスぐらいだと思っていたから、エプロンなども付けていなかった海は急いで身支度をする。
 柚はリンゴに火を通していき、海はてきぱきと生地を捏ね始めた。生地は棒で伸ばして、重ねてを繰り返していく。
「海くん早いね、職人って感じ」
「家事レベルだけどな。リンゴ、焦がすなよ?」
「あ。……わかってますって!」
 注意されて柚は火加減を少し落とした。三月は使い終わった調理器具からさっさと洗っていき、自然と会話してながら作業をしている柚と海の姿に胸を撫でおろす。
元々海はノリ気でなかったと聞いているから、手伝わせるのは迷惑かと思っていたけど、案外進んで協力してくれていて良かった。
「三月くん、どうですか?」
「うん、ジューシーでいいじゃないかな!」
 途中のリンゴの味見は三月にしてもらった。海には完成したものを食べてもらはなくちゃ。
 オーブンで焼いている間は、海は何処かに行ってしまうと思ったのに話しながら焼き加減を見てくれていた。今では上手く作っていた海でも失敗したことはよくあったらしく、柚も「あるある」と頷いていた。
「他も教えなくて大丈夫ですか?」
「教えろピークは過ぎたみたいだ。それに柚は初心者よりかは話わかる方だろ」
 良い狐色に焼きあがると、6等分ぐらいに切り分けた。ちょうど良いお共に紅茶を持ってきたので、それをカップに注いでいく。
 色々味見をさせられただろうけど、「自分で作った分でもあるし」と海はひと切れちゃんと食べてくれた。
「皆で作ったから、いつもより美味しいかもっ」
 一緒に、というのはまた格別なのか、海のおかげか美味しく出来上がった。自然と柚は笑みを綻ばせた。
「……うん、まぁまぁじゃねぇの? けっこう美味いし」
「また機会があれば一緒に作りませんか?」
「そのうちな」
 ちょうど食べ終わったところで、海は他のグループに呼ばれたようだ。それじゃ、と海は移っていく。
「やったじゃん柚! 海笑ってたよ」
「うんっ」
 三月と軽くハイタッチ。次一緒になるときは何を作ろう?