空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】激闘!イコン部隊

 一機はシュバルツ・drei
 一機はヴォーラン
 先に飛び出したのはシュバルツ・dreiだ。
「相手は数機です、グラキエス様」
「わかった」
 エルデネスト・ヴァッサゴー(えるでねすと・う゛ぁっさごー)と短いやりとりをしたグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)は相棒、ドライでもって敵陣形の懐へと果敢に入り込んでいく。
 無謀とも思える行為に敵イコンが何の迷いもなく特攻。
 その次の瞬間、ドライの姿が消え、うろたえる敵イコン部隊。
「まずは右手、下を進み左、最後は頭上から中央をチェックメイトです」
「わかった」
 エルデネストの指示に一切の躊躇なくドライを動かすグラキエス。
 まずは左手にいたイコンを、魔力を溜めた魔導銃を使用して横から両断。
 敵に気付かれるもそのまま下に下降、直進。
 浮上しつつ、右手側にいた敵の動力部にライフルを射出して行動不能にする。
 それを見ていた敵イコンの反撃を上昇してかわす。そのまま敵頭上へと回りこむ。
「このまま……押し切るっ!」
 ワープをするドライ。敵イコンは狼狽しながらも応戦するが、
 照準の定まっていない攻撃がドライに刺さることはない。
 
 メゴシャ――

 敵の頭部にソードブレイカーが突き刺さる。
「お見事。あまりの見事さに武器が耐え切れませんでしたね」
「ドライは優秀だからな」
「グラキエス様、もですね」
 全ては予定調和のように終わりを迎えた。

 その様子をヴォーランから見ていたイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)
 前回に引き続き、敵イコンの素性を明らかにするべく活動していた。
 鹵獲をする前に爆破するならば、前線で分析を試みるしかないと判断。
 ジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)にイコンとの戦闘を任せて、イーリャは分析に専念する。
 事前にリネンやグラキエスとも相談し、協力関係を結んでいる。
 ガーディアンヴァルキリーのデッキにて待機しつつ、
 ドライと戦う敵イコンを注意深く観察するイーリャ。
「ママ、敵が来た。応戦するわっ!」
 ガーディアンヴァルキリーを落とそうとするイコンに気付いたジヴァがヴォーランで空を舞う。
「それじゃ最後の鹵獲手段、試してみましょうか!」
 ウォーランのグラビティコントロールが敵イコンの制御を不安定にさせる。
 その上で、コクピット解放する。
「これで、数秒間目を合わせられれば……キャッ!!」
 ウォーランが墜落を開始する。ジヴァが想定していたよりも早い。
 更に戦場での余波がウォーランを襲う。
「こ、これ以上は無理……!」
 コクピットに戻りウォーランの操縦に戻るジヴァ。敵の鹵獲はやはり困難。
「……やっぱり、何にも該当しない。なら、あれはこの世に存在するはずない。
 でも存在しているなら、未来から持ち込まれたイコン、という答えしかないわね」
 イーリャは不確定ながらもそれしか考えられない、と頷いた。
「……分析は一旦おきましょう。ジヴァ、協力してくれたリネンさんとグラキエスさんの援護をお願い」
「分かったわ! そっちのほうがシンプルで助かるっ!」
 ジヴァは快諾してウォーランを操る。先ほどよりも、活き活きと。

 フリムファクシ・アルスヴィズにも敵が襲い掛かる。
 それを一機と僚機で食い止めていたのはアンシャール
 搭乗者の遠野 歌菜(とおの・かな)月崎 羽純(つきざき・はすみ)はお構いなしで襲ってくる敵イコンを迎撃。
「他の人の邪魔はさせないんだからっ!」
 敵を引き寄せるだけ引き寄せたと判断した歌菜は、すぐさまヴィサルガ・プラナヴァハを使用してアンシャールの力を解放する。
 敵が寄り集まるその一点へ駆け込み、暁と宵の双槍を唸らせる。
 知覚の敵はその刃に、遠くの敵は魔力の波動に損傷を余儀なくされている。
 それを認知したセラフィム機がアンシャール目掛けて急襲する。
「踏ん張るぞ、歌菜! 俺達がここを凌げば味方が楽になるんだからな!」
「うんっ、私は皆のために戦うんだよねっ!」
 マジックカノンを使用して魔力を打ち出すが、セラフィム機に余裕を持ってかわされる。
 それは歌菜も予測済み、すぐさま暁と宵の双槍に持ち替えて魔力の波動で再攻撃。
 押し寄せる魔力の二波をセラフィム機は避けられない。
 と判断したのか、驚くべきことにそのまま突っ込んできた。
「みんな、お願い!」
 僚機イコンと協力しての一斉射撃。
 その攻撃に晒されながらも、最後まで突進をやめないセラフィム機。
 このままアンシャールもろとも自爆する気だ。
『援護しますわ!』
 フリムファクシ・アルスヴィズからレーザーマシンガンの援護射撃を飛ぶ。
 一艦、三イコンの総攻撃はセラフィム機の耐久を遂に突破し、爆破することに成功した。
「ありがとうございますっ! 援護するつもりが、されてしまってごめんなさい……」
『いいえ、こちらこそ助かりますわ。引き続きお願いいたしますわ』
「はいっ」
 ノートからの通信に歌菜は明るく返答をした。