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リアクション
第二章
女子更衣室で騒ぎが起きた後、廊下でウィルネストと虎詠たちの前に現れた紳士。
しかし、更衣室では女子、廊下では男子の格好をしていた。被っていた縞パンを除けばまったく違う。
焦茶の髪をショートウェーブにしたつり目ウィザード生琉里一葉(ふるさと・いちは)は情報を集めていた。
「ラッセ、これってどういう事かわかる?」
呼ばれたのはパートナーのシャンバラ人、大人びているナイトラッセ・ハールス(らっせ・はーるす)。
「私には解りかねます……」
ラッセは丁寧な口調で答えた。それに対し一葉は軽い口調で応える。
「そうよね、情報が足んないわ。もっと集めなきゃ、あいつをボッコボコにできないじゃない」
「では引き続き、情報収集を続けて参ります」
二人は情報を集め、その情報を自分と同じく、捕まえようとする者たちに提供、共有し、確実に捕まえる方法を練っていた。
黄色の髪をセミロングにした童顔ウィザードのカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は更衣室から校舎裏入り口の辺りを巡回していた。
隣には金髪をシニヨン(おだんご)にした端正な顔立ちのパートナー、機晶姫のセイバージュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)がいた。
「なかなか来ないねぇ」
「来て欲しいと思うのもどうかと思うのだが……」
「でも、更衣室にでたらしいから、もうすぐ来るかもしれないよ?」
二人は自らを囮とし、覗き、下着泥棒、そして痴漢行為の中から、彼女らは痴漢行為を誘う作戦に出た。
その為、その姿は通常とは違っていた。まず、カレンはテニスウェアと呼ばれる衣服に超の付くミニスカートを身につけていた。アンダースコート着用済で。このアンダースコートには縞模様にペンキが塗られていた。傍目には縞パンが丸見え状態だ。
チラどころの話ではない、これではモロだ。普段からしていれば自分が変態扱いだ。
ジュレールはというと、スクール水着(旧型)を身に付けられていた。胸のゼッケンには「じゅれ」の文字が黒ペンキで書かれている。マニアにはヨダレものという話だが、効果があるのかは……さて。
しかし、これにより、痴漢行為を行おうとしたら、ペンキがつくという作戦だった。
ペンキを付かせるまでは良かったが、その為には触られなければならない事を気づいていない。
「しかし……囮作戦とは言え、中々に恥ずかしい格好だな……我」
と、ジュレールが若干周りを気にしながら言うと。
「そうかなあ? 似合ってると思うよ」
むしろ魅せるのはカレン。
「我は似合っているかどうかを聞いているのでは無いのだよカレン・クレスティア。パンツ丸見えで恥ずかしくないのかね」
「パンツじゃないから、恥ずかしくないから」
ジュレールは何も言わなかった。不安は募る一方だったが、再び巡回を始める二人。
そこで、倒れた女子を見つけた。全身が真っ白の粉のようなものを付け、まるで彫像の様だ。
「あれ、どうしたのかな?」
「あれも囮であろう。白い粉を付けた女性は魅力的に感じるのだよ」
「そうなの?」
「ジャパンと言う国ではそうなのだよ」
ジュレールが言っていたのは偶然知った『おしろい』の事だった。カレンはそんな事は知る由もないので、
「へ〜、変わった国だねぇ。制服も真っ白にするなんて」
と、答えた。もちろん『おしろい』は全身や服にまでは付けない。
そこに、ばたばたと女子と男子がやって来る。
「そいつから離れろ!」
叫んだのは芳樹。その他にも、更衣室にいた全員がそこから続く小麦粉を目印に追い、ここまで来たのだ。
「なになに、どうしたの? っていうか、なんでみんな真っ白なの?」
女性陣の殆が小麦粉により、動く石像の様になっていたが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
状況が読めないカレンとジュレールに理沙は教える。
「なんで倒れてるかは知らないけど。【インヴィジブルポーズ】はその倒れてる人よ」
小麦粉を被り真っ白になっている、生き倒れ気味の女子に指を向けて言う。
カレンとジュレールは一歩下がり警戒する。いつ起き上がって何をするか、まったく見当がつかない。
全員が注視する中、その彼女は今気がついたかの様に上体だけ起き上がらせ、
「ゲホッゲホゲホッ!!」
むせた。それも可哀そうになるくらい。誰もがそれを見守る。見守るしかなかった。もし関係無い者ならば背中の一つもさすってあげたかったが、インヴィジブルポーズならば何かの罠の可能性があった。結果として、見守るだけ。
「一体ケホッ……何がケホケホッ……起きたのですか?」
ようやく落ち着いたようで、少しずつ言葉が聞こえる。
「私の服、どうしてこんなに真っ白に……? わっ、ええと、皆様方、私に何か御用ですか?」
自分を見つめる多くの視線に気づき振り返り驚く。そこには自分と同じく真っ白な人たちがいる。関係の無い者なら当然の反応だ。関係の無い者ならの話だが。
彼女は何が起きたのか解らないといった感じで自分を見つめ直す。
桃色の髪をツインテールにした、どこか子供っぽいにも関わらず大きい胸を有するメイド秋葉つかさ(あきば・つかさ)。
彼女が本当に犯人なのか、確認しなければならない。どうやってか? それは一つだけ。
誰からともなく女性陣が近づき、誰からともなくこう言った。
「先に謝っとくわ」「確認するだけだから」「大丈夫、痛くしないよ」「隠し場所は複数個所に認められるであります」「全部探すのじゃ」
そして、その手が伸びる。
「え?」
胸を鷲掴みにされるつかさ。
「っ!?」
状況が全くわからない彼女に、更に多くの手が伸びる。制服に、スカートに、ポケットに、***に、とにかく色んな所に。
言葉では言い表せられない、いや、表してはいけない。そんな状態になってしまっている。
これは、かなりまずい展開だが、もし、彼女が犯人ならばあるはずだ。さっきまで被っていた縞パンが。
「男は見ない!」
そう言われ、後ろを振り向くジェイク、芳樹、有栖の三人。
「なんで君まで?」
と、ジェイクと芳樹。
「え、ええと、あの……つい」
と、現在ノーパンの有栖。
「やめ、やっぱりやめないで、ああ、でも……、ひぁぁぁ……っ!!」
背後からは悲鳴。全身を弄られているつかさの声だったが、何故かそれが喜んでいるように聞こえたのは気のせいだろう。
結局、彼女が穿いていた紐パンしか見つからず、釈放されたが、本人はなぜか怒るどころか満足そうな顔をして許してくれる。
つかさの話を聞くと、彼女は以前、痴漢に遭った本人だと言う。実は、その時の何かに目ざめたらしく、再びここに来た特殊な趣味の持ち主だったが、そこは割愛する。しないといけない。
突然なにかを被せられて、そこから何も覚えてないと言うつかさ。
彼女は囮だったのか? それとも、他に何かあるのか?
結局、奴を見失ってしまった。
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