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攻城戦・あの棒を倒せ!

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攻城戦・あの棒を倒せ!

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 「他に手当てが必要な人は居ないかな?」
 一条 アリーセ(いちじょう・ありーせ)のパートナー、久我 グスタフ(くが・ぐすたふ)は、救護所に集まった生徒たちを見回した。大怪我をした者は居ないが、すり傷や切り傷はそれなりの人数が負っている。しかし、その手当てもそろそろ一段落というところで、
 「何だ、全員泥まみれじゃないか」
 救護所の後方から声がした。生徒たちが振り向くと、食事作りを担当する『給養部隊』の総隊長である陳教官が、腕組みをして生徒たちを見ていた。その後ろには、蒸し料理専用の野外炊具、通称『蒸気一号くん』と、給養部隊の生徒たちの姿がある。
 「点心とふかし芋を持って来たよ。食べたい者は、手と顔を洗っておいで」
 「お芋!」
 「教官、じゃがいもはありますか!?」
 男子も女子も、全員が食らいつきそうな勢いで『蒸気一号くん』の周囲に集まった。
 「もちろん、さつまいももじゃがいももあるし、バターも用意してあるよ。ほら、手と顔を洗って並んだ並んだ!」
 瞬く間に、『蒸気一号くん』の前には長い行列ができる。

 「その場で良いから、注目! 《冠》の運用試験参加者を発表します!」
 そして明花は、試験参加者として以下の生徒の名前を読み上げた。

 レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)と、シルヴァ・アンスウェラー(しるば・あんすうぇらー)
 デゼル・レイナード(でぜる・れいなーど)と、ルケト・ツーレ(るけと・つーれ)
 林田 樹(はやしだ・いつき)と、緒方 章(おがた・あきら)
 佐野 亮司(さの・りょうじ)と、向山 綾乃(むこうやま・あやの)
 神代 正義(かみしろ・まさよし)と、猫花 源次郎(ねこばな・げんじろう)
 戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)と、リース・バーロット(りーす・ばーろっと)
 クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)と、ハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)
 レジーヌ・ベルナディス(れじーぬ・べるなでぃす)と、エリーズ・バスティード(えりーず・ばすてぃーど)
 ビクトリー・北門(びくとりー・きたかど)と、百二階堂 くだり(ひゃくにかいどう・くだり)
 宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)と、山城 樹(やましろ・いつき)
 一ノ瀬 月実(いちのせ・つぐみ)と、リズリット・モルゲンシュタイン(りずりっと・もるげんしゅたいん)
 アクィラ・グラッツィアーニ(あくぃら・ぐらっつぃあーに)と、クリスティーナ・カンパニーレ(くりすてぃーな・かんぱにーれ)
 朝霧 垂(あさぎり・しづり)と、ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)
 ロブ・ファインズ(ろぶ・ふぁいんず)と、アリシア・カーライル(ありしあ・かーらいる)
 金住 健勝(かなずみ・けんしょう)と、レジーナ・アラトリウス(れじーな・あらとりうす)

 「以上15組を、試験参加者とします。ただし、《冠》は全部で12個。だから、今呼んだ全員が正式な使用者になれるわけではありません。また、今後、様子を見て、試験参加者を追加したり、交代させたりする可能性もあります」
 明花は、ぐるりと生徒たちを見回した。
 「そして、もう一つ、大切なことを伝えておかねばなりません。技術科で実際の使用を含む調査をした結果、《冠》は、パラミタ種族の持つ力を吸い上げて、兵器に供給するエネルギーに変換する装置であることが判っています。つまり、《冠》をつけている間、使用者は力を吸い上げられ続け、たいへん過酷な状況に置かれます。《冠》使用中も、パートナーの地球人には影響がないことと、《冠》がエネルギーを吸い上げる量を制御する方法が存在することはわかっていますが、具体的にどのようにすれば制御できるのかは、まだ現在調査中です。
 以上のことを踏まえて、試験は過酷なものになることが予測されます。そのため、先程読み上げた生徒に対して、試験への参加を強制はしません。実際に試験に参加するかどうかは、パートナー同士で良く話し合って決めなさい。参加する意思のある者は、後日二人揃って私の元へ来るように。以上!」
 明花の厳しい言葉に、生徒たちは息を飲んだ。
 「楊教官、食べている最中にそんな話をするのは良くないよ……」
 陳が呆れたようにため息をつき、すっかり食べる手が止まって黙り込んでしまった生徒たちに言った。
 「さあ、ほら、腹が減っている時は、考え事したってろくな考えは浮かばないよ。腹ごしらえが先、先! 冷めないうちに食べなさい!」
 陳に促されて、生徒たちは再び、点心や芋をぱくつき始めたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

瑞島郁

▼マスターコメント

 たいへんお待たせして申し訳ございませんでした。教導団秋の大運動会をお届けいたします。
 競技は紅軍の勝利ということになりました。守りの紅軍、攻めの黄軍という感じのアクション傾向になり、なかなか面白かったです。紅軍は組織力の勝利ですね。グループアクションは内部で齟齬が生じると大失敗になる諸刃の剣なのですが、今回の紅軍はきっちり役割分担をした上で、各PCがするべきことをちゃんとこなして来たことが勝利につながりました。
 今回アクション判定で特に問題になったのが、『禁猟区』の使い方です。今回、複数の方が、偵察の感知のために『禁猟区』を使用するアクションをかけて来ていたのですが、『禁猟区』は、守る対象に危険が迫った場合に知らせてくれる、というものなので、対象に害を与えようと考えていない、例えばただ単に様子を見に来た場合には察知できません。また、守る対象は人格を持つものに限るので、『砦の構造物に危害を加えようとする者が近付いたら知らせる』というように、物を守るためには使えません。そしてもう一つ、『禁猟区』は銃弾をはね返したりと言った、物を直接遮る効果は持っていません。公式見解を確認した上での判定ですので、アクションが成功しなかった方はご了解を頂きたいと思います。
 《冠》の運用試験参加者(以下、被験者)として選ばれた皆さんは、続編シナリオの初回に招待させて頂きます。ただ、明花も言っている通り、今後まだ被験者が増えたり入れ替わったりする可能性もありますし、最終的に正式な使用者として残れるかどうかはこれからの話になります。なお、招待はMCに対して行っていますが、運用試験はLCを中心に行われます。今回の競技に参加していないLCは、続編シナリオ初回の運用試験には参加できませんのでご注意ください。(シナリオ開始後に、新しく被験者になる可能性はあります)
 続編シナリオの開始は、11月下旬以降の予定となっておりますので、今しばらくお待ちください。
 それでは、続編シナリオでもよろしくお願いいたします。