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第二章 ひとつなるもの

「修復作業って、どうやってやれば良いのでしょう」
「知らないよ、そんな事」
「ズィーベン? どうして機嫌を悪くしているのです?」
「だって……、せっかくのお祭りなのにさ、修復作業に参加するなんて、」
 ナナらしいけど、の言葉は言わずに飲み込んだ。そんなズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)ではなく、パートナーのナナ・ノルデン(なな・のるでん)の瞳を見ながら、薔薇の学舎のバトラー、清泉 北都(いずみ・ほくと)は笑みかけた。
「祭りを楽しむのは、やることをやってから、だよねぇ」
「えぇ、女王器の再封印もしなくてはならないでしょうし」
「封印……、そうだな、俺は北都とだったら封印されても良いぞ。狭い空間に2人きり、そう、封印が解かれるその瞬間まで俺と北都は2人きり……っ」
 パートナーで吸血鬼のソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)が言い終えるよりも前に、北都は蹴りを入れてからナナとの会話に戻った。
「再封印かぁ、そうだよね、奪おうとする者がいる以上、する必要はあるよねぇ」
「そうなると鍵となるのは、やはり、あれでしょうか」
 洞窟内を歩んでいた一行は広間へと辿り着き、そして目の前には剥がれ落ちた青刀の双岩の片岩が、地の岩盤に刺さり立っていた。
「ナナ、確か左右対称に配置されている事が、遺跡としての力を増加させてたんだよな」
 蒼空学園のセイバー、葉月 ショウ(はづき・しょう)は双岩の片岩を見上げながら訊いていた。言われたメイドのナナ・ノルデン(なな・のるでん)も見上げたままに応えた。
「えぇ、図書館で調べた資料によると、そのように書かれていました。ちなみに対称性が保たれているなら、力は増加するようですよ」
「なるほど。だとすると、もう一方の片岩も剥がして対称になるように配置するか。または加工して新たに遺跡ごと構築するか」
「加工?」
「あぁ、二本を半分ずつにして、四方に配置すれば」
「半分に……、出来るのでしょうか」
「君たちの質問にまとめて応えよう。半分にしてみると良いよ、出来るものならねぇ、くっくっくっ」
 ノーム教諭の言葉を聞いて、ショウはライトブレードをしっかりと握り締めた。
「よし。あぁ、ブルーズ、ドラゴンアーツをお願い出来るか」
「……、天音」
「良いんじゃない? やってあげなよ」
「了解だ」
 黒崎 天音(くろさき・あまね)のパートナーでドラゴニュートのブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)はショウにドラゴンアーツを唱えた。
 体に力が漲るのを感じると、ショウは一気に飛び出した。
「はあぁぁぁぁ!!」
 双岩の片岩を真っ二つにするべく、ショウは轟雷閃を放つのだった。