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リアクション
■□■2■□■
そんな中、チアガールのような衣装のツインテールの人物が現れた。
城定 英希(じょうじょう・えいき)だった。
「魔法少女エーコ、惨状! さぁ! 私にビームを当てるのです☆ ウフフフあーっはっはっはっはっは!!!」
パートナーのドラゴニュート、ジゼル・フォスター(じぜる・ふぉすたー)も、MK5の面々に対峙する。
「私の前でその名を語った事を後悔するのだな!」
「ジゼルさん、アイツがMK5ですよ! やっつけちゃいましょう!☆ って、あれー……ウィル君がMK5?コレって内部告発!? それって格好いいかもしれないですよジゼルさん! しかも、なんて格好してるんですか!? あはははははは!!」
「うるせええええええ!! 俺はもはや『イルミン姉妹』の『いんでっくすたん』だ! ていうか城定こそ、なんて格好してるんだよ!」
女装したウィルネストが、英希に叫ぶ。
「私も城定ではありません! 男だけど魔法少女、パフェが好物だが食いまくっても太らない! 魔法少女エーコなのです☆」
「せつめいしよう! もはや説明するのが面倒なくらい、女装キャラが集結しているのですよー」
「しかも、設定崩壊ビームとは直接関係ない人ばかりなのですー」
シルヴィットとミーツェが解説する。
「「ふたりはイルキュア!!」」
「もういいい!! ウィニイイイイイング!!」
ケイラとアルシェが叫び、ウィニングに殴られる。
「いまのうちに、超ババ様の死体を回収するのです! 空気読んでないカットインだけど、志方ないよね!!」
「よしいいぞ! これでばっちり金儲けなのじゃ!!」
「何はどうあれ、悪は倒す!!」
ジゼルが、綾乃と袁紹をぶっ飛ばす。
「ねえねえ、ウィニングさん、お茶とお菓子とかどう?」
放置気味のウィニングに、ミレーヌ・ハーバート(みれーぬ・はーばーと)が話しかける。
「アル兄に当ててくれないかなー、……なーんて思ってないよ!」
にこっと笑って、ミレーヌが言う。
「いや、今はそういうのはいらねえ……」
ウィニングが辞退する。
油断を誘う作戦だったが、さすがにそういうわけにはいかないのであった。
ミレーヌのパートナーのヴァルキリーアルフレッド・テイラー(あるふれっど・ていらー)は、大喜びでカメラのシャッターを切る。
「設定崩壊ビームなんて! カッコイイぞ!! ミレーヌがさりげなくひどいことを言っていた気がするけど、気にしないんだぞ! すごい、ここにはヒーローがいっぱいなんだぞ!」
戦隊ヒーロー&魔法少女ショーに、ヒーロー大好きなアルフレッドは大興奮であった。
そこに、鈴木 周(すずき・しゅう)が現れ、ウィニングにメイド服とホワイトブリムを持って迫る。
「ウィニングだかシャイニングだか知らねーが、お前意味わかんねーよ!? まず忍者なのに全然忍んでねぇ!! シナリオガイドの説明とは言え、近づきながらの台詞が全部丸聞こえじゃねーか! 大体、忍者が魔法ってだけでもアレなのにビームだと? 昨今魔法でビーム撃っていいのは変身する時に全裸になる美少女だけだ、覚えとけ!! そ・れ・に・だ! アーデルハイトちゃんを巨乳にする? キサマ、貧乳の良さがわからんのか! 大きいのがグッドなのは当然、貧乳もまとめて愛せてこそ男だろ!? ていうかこんだけNPCがロリキャラ祭りなんだから、新たに出てくるなら同じくロリっ娘か幅広いニーズに答えるべくお色気満載なおねーさんだろうが!? PCはなぜか女装祭りで、普通に女の子な人はぶっ飛ばされてるし! とゆー訳で! お前今すぐ女の子になれ!」
「な、何を言ってるのかわからんぞ、ウィニイイイイング!?」
「いいから、これを着ろ!!」
周は、ウィニングの服を引っぺがすと、むりやりメイド服を着せた。
ミレーヌのパートナーの守護天使アーサー・カーディフ(あーさー・かーでぃふ)が、鏡をウィニングに渡す。
「よし、せっかく女装したんだから、寝癖直せ! この鏡を見てみろ!」
(ミレーヌは腹黒発言してるし、アルのバカは相変わらず暴走してるしな……。ここは俺が真面目にウィニングを倒さねーとな。まんまと引っかかったその時に、ザマァ見ろ! と言って笑うのも忘れずにな。おっと、元ヤンな俺が出ちまったぜ)
そんなアーサーの作戦だったのだが。
「似合ってねえええ!!」
「ごふぁああああ!?」
周が、激怒してウィニングをぶん殴る。結果、ウィニングは鏡を見る前に、顔から床に激突した。
そんな中、樹月 刀真(きづき・とうま)とパートナーの剣の花嫁漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は、前回アーデルハイトを殺してしまい、本人から説教された帰り道、とぼとぼ歩いていた。
「ううっ月夜のせいで絞られました、今日はもう帰れません。泊まるどころかご飯食べるお金すら無いしどうしよう」
「ごめんな……はぅ!?」
月夜が、設定崩壊ビームをまともに受けて、急に雰囲気が変わる。
「刀真、ご飯の心配をする必要は無いわ。なぜなら本があるのだから」
「何を言っているんですか月夜? 本でお腹は満たせませんよ……」
「何を言っているの? 人はパンのみで生きるにあらず、本のみで生きるべきなのよ」
「言ってる事が滅茶苦茶です、馬鹿な事言わないで下さいこの馬鹿」
「馬鹿は貴方よ刀真、そう鏖殺寺院が何? 知識の結晶である本の力をもってすれば彼等など物の数に入らないわ!」
「饒舌な本狂い」となってしまった月夜が宣言する。
「私はここに宣言します『本冊(ほんさつ)寺院』を開くと!」
「本冊寺院って、月夜が壊れた」
「さあ世界中の本を愛する同胞達よ、私の元に集いなさい! 本の力を持って世界を我らの手で治めるのよ! ここには様々な本を収めた大図書館がある、まずはそこを本拠地としましょう」
「治めるとか言ってる辺り鏖殺寺院よりまし……な訳ないか、大図書館を本拠地とか言ってるし!」
刀真は、MK5に近づく。
「そこの空気読めてない皆さん、その空気読めなさっぷりで月夜を何とかするの手伝って下さい!」
「再度挑戦! 超ババ様の死体を回収するのです! またしても空気読んでないけど、志方ないよね!!」
「どさくさにまぎれて何してるんじゃ!」
綾乃がアーデルハイトにぶっ飛ばされる。
「いや、空気読もうよホント。……あー、そこにゴキブリがいる!」
「ギャアアアアアアアアア!?」
刀真のはったり発言に、ウィルネストが条件反射で火術を放つ。
炎上する廊下だったが、その奥から、歩いてくる一人の男がいた。
神代 正義(かみしろ・まさよし)こと、パラミタ刑事シャンバランであった。
シャンバランは、ヒーローの登場シーンっぽく炎をバックに歩いてくる。
「許さんぞ、ウィニング・ウィザード・ザ・ニンジャ! 設定崩壊ビームなどと、なんてうらやま……いや、けしからん奴だ! この俺と、正面から正々堂々と勝負だ!」
「ウィニイイイイング! そんなに言うなら、勝負してやるううう! 当ててやるぜえ!!」
「ウボァー! やーらーれーたー! ……計 画 通 り !」
シャンバランは、ビームほしさに、わざと設定崩壊ビームに当りに行ったのである。
「いくぜ、俺のシャンバランビーム!!」
「エーコ、危ない! グフッ!?」
「ああっ、ジゼルさん!?」
ジゼルは、英希をかばい、暴発したシャンバランの設定崩壊ビームを浴びて、窓の外に落ちた。
「ちっ違う! 俺が望んだビームはこれじゃない! もっとこう光の巨人が放つような光線とかメタルなヒーローが放つ最強銃とかそんな感じのズガーンでドガーンとした破壊光線が欲しかったんだ! ……でもこれはこれでありかもしれんね」
「きゃー!?」
英希も、シャンバランの設定崩壊ビームを浴び、女体化して丸々と風船のように膨らんで飛んでいってしまった。
「すごいぞ! ヒーローと魔法少女が戦ってるぞ!」
「アル兄……」
喜んでシャッターを切るアルフレッドに、ミレーヌが顔を引きつらせる。
「しまった、よく見たら、正義の味方っぽいような、そうでないような人たちにビームを当ててしまった!?」
シャンバランがあせる。
「もはや、ヒーローではなく、設定崩壊ビーム怪人ですね……」
「ち、違う!! 俺はヒーローだー!!」
大地の冷静な指摘に、設定崩壊ビーム怪人シャンバランが取り乱す。
「一刻も早く、悪の元凶、ウィニング・ウィザード・ザ・ニンジャを倒さねば!」
シャンバランが、そう叫んだ瞬間、鳥羽 寛太(とば・かんた)が、ウィニングの背後に現れた。
「不死の設定を壊さない人が暗殺者なわけがない! はーっ! 秘技・設定崩壊返し封じ!」
「ウィニイイイイイイイイイング!?」
寛太は、思いっきり、ウィニングに男性用スクール水着をかぶせて目隠しした。
「ふう、キャラクエで手に入れた使い道の分からないスクール水着がこんな形で役に立つとは……これはウィニングではありません。『スクール水着マン』です! はっはっはー! どっちが上でどっちが下だかわかるまいー」
そして、寛太は、ウィニングを誘導し始めた。
「ちょい右……いき過ぎ……そうそこ! くらえっ! 設定崩壊ビーム! さあ! 設定崩壊されたくなければ道を開けるのです!」
「くっ、なんて恐ろしい技だ!」
「マナさん、その台詞俺が言いたかったです!」
マナとクロセルが漫才する。
「何だか楽しくなってきた。さあ仕上げです。アーデルハイトさんをロリ巨乳廃人にしまくるのです!」
寛太は、ウィニングをアーデルハイトに近づけていく。
寛太のパートナーの守護天使伊万里 真由美(いまり・まゆみ)も、周囲の者達を動揺させようとする。
「だから護衛とか……あんたバカァ? 廃人になってもすぐ復活するに決まってるじゃない。意・味・な・い・の! それにアーデルハイトはビームを浴びたがっているのよ? 空気読みなさいよ。そんなことより想像してごらんなさい。生きたアーデルハイトの温もり……柔らかい肌……廃人……それは生きる屍。そうつまり! 生きたアーデルハイトが量産できるわ! 『量産型実物大アーデルハイト人形』の完成ね! どう? 協力したくなってきたでしょう? いいえ、するべきだわ。ゆけっ! 殺りく兵器カーラ・シルバ(かーら・しるば)よ!」
寛太のパートナーの機晶姫カーラ・シルバが、襲いかかる。
「武器の消えたそるじゃ子……。ラリアットしか能のないざんすか……。ふん……私の相手ではありません。なぜなら私は……高性能地デジ搭載最新型機晶姫ですから……! さらに今ならBDレコーダー付きでイチキュッパ!」
斬りかかるカーラを、シャンバランが防ぐ。
「やめろ! ヒーローとしてそんなことは許さん!」
「む……なぜ邪魔するのです。お前も廃人にしてやろうかぁぁああ!! ……ん……口調が崩壊してしまいました。こうなったら私も秘技です。秘技くらいあります。ホントです」
そして、カーラはさらに剣を構える。
「魔剣覚醒撃! もらったーっ! うなれっ魔剣! ……むむ……またしても口調崩壊」
「ていうか、なんでビームくらってないのにそんなことになってるんだ?」
シャンバランのツッコミをスルーして、カーラが叫ぶ。
「……もう面倒くさいざんす!! 口調なんてどうでもいいですぅ。あたいのラリアットでぶっ飛ばすのじゃ! ファイヤー!!」
「ぐはあ!?」
剣を放り捨てたカーラは、シャンバランにラリアットした。
「ウィニイイイイイイイイイイイイイイイイイイイング!!」
その隙に、スクール水着マンとなったウィニングが、アーデルハイトにビームを放つが。
次の瞬間、アーデルハイトは殺された。
「危ないところだった……。廃人になるところだった。MK5としては、アーデルハイトが殺せないなら、生き返ってもずっと廃人のままになるようにしてしまおうっていうエグい作戦なんだよ」
そるじゃ子が、普通の銃でアーデルハイトを殺し、ハードボイルドに言う。
「「なんにせよ、お前ら許さん!!」」
復活したアーデルハイトとシャンバランの攻撃で、寛太、真由美、カーラはまたしてもお星様になった。
そんな中、吸血鬼のアーサー・レイス(あーさー・れいす)は、錯乱していた。
「魔女に カレーを 五杯食べさせろ! え? カレーはC? そんな事はどうでもいいデース。我輩は重要な事に気付いたのですよー。5なのに前後編! これはカレーを四人前用意しないと間に合わないとカレースパイスの精霊、ざんすかとじゃたが暗示してマース。MK5の中に学校中の全ての人がカレーの元、支配されるようになるビームを撃つ方はおられませんか。もっとカレーを食べたい五人組の方の中におられませーんか」
「せつめいしよう! 今この瞬間からアーサー・レイスはMKイエローなのですよ!」
「そういえば、イエローがいなかったのですー」
シルヴィットとミーツェが宣言する。
一方、アーサーのパートナーの日堂 真宵(にちどう・まよい)は、それを聞いて驚く。
「な!? アーサーがMK5に!? 5って数字はイライラして凄いむかっ腹が立つし、五人組ってのが良くない! 正義の味方臭がキツイ、いい事をしようとしてるし! Mが魔女ってのも多分カモフラージュに違いない! 多分魔王の事を指している筈! わたくしがなるべき、魔王のM……は!? むしろもしかして真宵のM!? 名指しでわたくしを殺りにきたのね! こうなったら逆に利用して、胸を大きくして、スタイルをよくしてやるわ!」
真宵は、アーデルハイトに駆け寄る。
「超ババ様、ここはわたくしが様子見として先鋒を務めて敵の攻撃の強さを『身を持って』確かめてきますわ!ええ、スーパーババ様の手を煩わすまでもありません。ギガババ様は後ろでどんと控えていて下さいませ!」
「こら、どさくさにまぎれて、失礼な呼び方するな!!」
アーデルハイトが突っ込むが、真宵はスクール水着を外したウィニングの前に出て行く。
「とはいえ、ギガババ様の性質を逆転ってところが気になるわね。ということで、ざんすか! かわりにビームを浴びてきなさい!」
「誰が浴びるかざんす!!」
「きゃああああああ!?」
結果的に、設定崩壊ビームを浴びた真宵は、ざんすかラリアットによって窓から落下していった。
そこに、狭山 珠樹(さやま・たまき)が現れ、ウィニングに入れ知恵する。
「ビームで都合の良い設定になれたら、設定崩壊の意味がありませんわ! 「ランダムで決定する」ボタンを付けるのですわ。このオレンジのボタンを押すだけでランダムに設定ができるスグレモノですわ! ……我もこのボタンのせいで、かわいいシスターなのにモヒカンで実は男とかいうイラスト発注も困難な設定になったのです……皆も味わうがいいですわ! 設定崩壊パーティの開幕ですわ!!」
「ウィニイイイイイイイイイイイング! おまえ、頭いいな!」
「名探偵(M)とか勝手(K)に名乗ってる者もいますし、鏖殺寺院という設定も崩壊させて、アイドルユニットとしてMK48……じゃ語呂が悪いので、MKB48にしてしまいましょう! さあ、喰らうがいいですわ! 歌は「オレンジボタン連打」!!」
こうして、学生同士のヒーロー抗争はさらにエスカレートしていくのだった。
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