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少年探偵と蒼空の密室 A編

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少年探偵と蒼空の密室 A編

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ANSWER 25 ・・・ 追跡者の問題 七尾 蒼也(ななお・そうや)

 マジェスティック市内をパトロールしていた七尾蒼也とパートナーのペルディータ・マイナ(ぺるでぃーた・まいな)は、三組の怪しげな人影が、同時に別方向へ逃走する現場に遭遇した。
 昼間、ぺルディータと同じ百合園推理研のメンバー、マイト・レストレイド(まいと・れすとれいど)を襲った斎藤ハツネたち、マジェスティック市内で切り裂き魔の模倣事件を起こし、一度は捕らえられたものの、混乱に乗じて、スコットランドヤードから脱走したニコ・オールドワンド、そして、おそらく、マジェスティックの支配者メロン・ブラック博士直属の自警団、通称親衛隊と呼ばれる黒マントの一団。
「蒼也。どれを追うの」
「そうだな。俺たちは」
 蒼也が迷っていたその時、ふいにあたりに雷鳴が響いた。
「雷? 違うわ。魔法よ。誰かが魔法使ったみたい」
「ぺルディータ、一人で行くと危ないぞ」
 音のした方へ駆けだしたぺルディータを、蒼也は追う。
「この人は、ニコさんのパートナーですね」
 角を曲がり路地に入ったところに、ゆる族の黒猫ナイン・ブラックが倒れていた。
「しっかりしろ」
 目を閉じ、ぐったりしているナインを蒼也は抱き起こす。
「ああ。すまねぇ。ニコの野郎にやられたんだ。もう契約は解消だ。やってらんねぇぜ。あのバカ、ノーマンにそそのかされて、やつの手駒になっちまったんだ。
 俺がめずらしく親切心で、さんざん利用されて最後ニャ殺られからやめとけよ、って教えてやったら、野郎、ブチ切れやがって、危うく俺がニコに殺されるとこだったぜィ。
 なぁ、今回は模倣犯なんてしてすまなかったよ。謝る! 許してくれよ。俺は、ニコの指示通りに動いただけなんだ。いやいややってたんだ。このままだと俺は、ノーマンにも、ニコにも、命を狙われちまう。お願いだ。あんたらと一緒にいさせてくれ。悪さはもうこりごりだ。死にたくねぇんだよ。拷問もゴメンだ。頼む、この通りだ」
 意識を取り戻したナインは、蒼也たちに土下座し、石畳に頭をつけた。

 完全に信用したわけではないのだが、捨てていくわけにも行かなくて、蒼也たちは、ナインを連れ、空飛ぶ箒に跨り、ロンドン塔へむかった。
「ブリジット代表からの連絡によると、舞さんがそこで今夜、結婚式をあげるそうだし、小豆沢もなかさんから、春夏秋冬真都里さんがそこに捕らえられているっていう情報も聞いたわ。さっきの黒マントの人たちも、ロンドン塔の方へ消えたし、塔にはいろいろありそうね。」
「事件の手がかりが欲しいとはいえ、敵の本拠地らしい場所での結婚式とは、危険すぎる。とにかく舞さんたちを守ろう。さあ、急ぐぞ」
「敵のふところに飛び込むたあ、まったく、危険もかえりみずたいしたもんだよな。キシャシャシャ」