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番長皿屋敷

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番長皿屋敷

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    ★    ★    ★
 
「あぶれた者たちは、我らの店に来るのだ」
 ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)が、谷中里子をかかえたドロッセル・タウザントブラットを手招きした。
 カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)が、番長皿屋敷のそばにプレハブで店を出しているのである。女将さんのポリシーに賛同するものの、ちょっぴり料理に自信のなかったカレン・クレスティアは、お菊さんの店の評判を落とさないようにと、独自の店を構えたのだった。
「うまい、うまいぞー!!」
「このまったりとした食感がたまらんぜ!!」
 サクラとして雇ったヤンキーたちが、必死にうまさを吹聴してはいるが、どうにも番長皿屋敷を追い出されてきた者たちだけが客なので、あまりぱっとしない。
「ああ、お嬢様。もう勘弁してくださいませ」
「ほーほほほほほほほ。お嬢様ではありませんわ。女王様とお呼び!!」
 崩城亜璃珠と一緒にやってきた、マリカ・メリュジーヌと冬山小夜子が、まだ続きをやっている。
「なんでこんな客しか来ないのよ。出てけー!!」
 我慢の限界に達したカレン・クレスティアが、崩城亜璃珠たちを自分の店から追い出した。
「ここは、メイドさんはいないのですか?」
 気絶している谷中里子を椅子に寝かせたドロッセル・タウザントブラットが、カレン・クレスティアに訊ねた。
「我では不満か?」
 ジュレール・リーヴェンディが、ちょっとむっとした顔で答えた。
「ええと、ひとまず休ませてください」
 なぜかずっとうまいぞーとしか繰り返していないヤンキーたちをちらっと見てから、ドロッセル・タウザントブラットが言った。その横には、月詠司たちとゲブー・オブインたちがテーブルに突っ伏して静かになっていた。
 はたして、彼らは先ほどつまみ出されたときからずっと気絶したままだったのだろうか、それともここの謎料理を……。
 ドロッセル・タウザントブラットの額を、冷たい汗がつーっと流れた。
 
    ★    ★    ★
 
「ぶうわっくしょぉい!!」
 クロセル・ラインツァートの屋台で、解凍された国頭武尊が毛布にくるまりながら盛大なくしゃみをしていた。
「ぶうう、酷い目に遭ったぜ」
 ガチガチと歯を噛みならしながら、国頭武尊が言った。
「注文は、横の食券発行機で買うでスノー」
 まだ何も頼んでいない国頭武尊に、魔鎧リトルスノーが要求する。
「何々、ど真ん中に鎮座する雪だるまが愛らしい完熟トマトの冷製パスタ。お手軽に腹黒キャラになれる秘密兵器特濃イカスミパスタ。これであなたも毒を吐ける!? 河豚のシーフードパスタ……ふざけてるのか」
 髪から滴り落ちる雫をパンケチで拭き取りながら国頭武尊が言った。
「何も食べない人は、客ではないでスノー」
「ここは、皿洗いして食べられねえのかよ」
「ちっちっちっ、お客さん。冗談言っちゃいけませんやあ」
 なんとかただで食べようとする国頭武尊に、クロセル・ラインツァートがロケットパンチを鼻先に突きつけながら優しく説得した。
「ううっ、こんなことなら、むかいのパンティー番長の店にでも行った方がましだったぜ」
 番長皿屋敷の正面に居を構えた、南 鮪(みなみ・まぐろ)のパンティー食堂の方を見やって、国頭武尊が言った。
 そのパンティー食堂の中では、カレン・クレスティアの店を追い出された崩城亜璃珠たちが、相変わらず十八禁劇場を繰り広げていた。
「はいよー、パンティー定食三つ、おまたー」
 南鮪が、焼き飯に三角形のオムレツを載せた定食を運んできた。
「お代は三パンティーだ。もっとも、あそこに貼られているパンティーなら一パンティーでもいいがな」
 そう言って、南鮪は壁に貼られている指名パンティー配書を指し示した。そこには、エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)やゴチメイたちの手配書が貼られていた。
「ふっ、身の程知らずが。この子たちのパンティーはわたくしの物ですのよ。誰があなたなんかに」(V)
 容赦なくパンティー定食を食べながら崩城亜璃珠が言った。
「よし、じゃあ、この新品のパンティーを穿け。そして、脱げ。それで、りっぱなパンティー札ができあがる」
 南鮪が真新しいパンティーを取り出したときだ。突然店のドアが開いて、表の風が勢いよく中に吹き込んできた。そして、風と共に、一人の男が現れる。
「何やら嫌な雰囲気を醸している店があると思ったら、おぬし、またろくでもないことを……。罰あたりな」
 織田信長が、ギラリと南鮪を睨みつける。
「何を言いやがる。それよりいい所に来た、お前も手伝え」
 そう言って、南鮪が織田信長に真新しいパンティーを差し出した。
「やむを得ないですね」(V)
 その後ろでは、崩城亜璃珠に命じられて、冬山小夜子とマリカ・メリュジーヌがしくしくしながらパンティーを穿こうとしている。
「粛清あるのみ。あー、至急、出前を頼む」
 ベリート・エロヒム・ザ・テスタメントにもらった聖書を小脇にかかえながら、織田信長が手に持った携帯電話に言った。
「了解しましたー。ミサイルてんこ盛りいきます。まとめて吹っ飛べー♪」(V)
 電話を受けたカレン・クレスティアが、ジュレール・リーヴェンディに合図した。
「フッ、炎と共に踊れ……。全弾発射!!」(V)
 ジュレール・リーヴェンディの操作する小型飛空艇ヴォルケーノから、ミサイルが一斉発射される。南鮪の店の半分が、一瞬にして吹き飛んだ。
「おお、暖けえぜ。助かる」
 燃える南鮪の店で暖をとりながら、国頭武尊が言った。