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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

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第四章 新しい命と新たな仲間

「じゃーん! みんな見てみて! 鳥小屋が完成したよ♪」
 生徒達が卵を取り返してくると、イルミンスールの屋上では小鳥遊 美羽たちが鳥小屋を完成させて待っていた。
 しかし――
「こ、これ……本当に鳥小屋?」
「どう見ても、要塞だろ?」
 完成した鳥小屋を見た生徒達の感想は……どれも呆気にとられていた。
 まず始めに、多比良 幽那が農家としてのノウハウを生かした結果――
「とりあえず鳥小屋の大きさは五十メートル四方で、雛が有る程度まで成長しても飛びまわれるようにしてみたわ。あ、屋根は開閉式だから、天気の良い日は大空を飛び回れるわよ。餌場や水のみ場も複数設けてみたけど、どうかしら?」
 鳥小屋は圧巻サイズへと変化を遂げた。
 それに加えて、鷹野 栗がレッサーワイバーンと大量に物資を運びこめたのも、圧巻サイズへの要因となっていた。
 次に雛の誘拐再発を危惧した火軻 具土命は――
「ほんでなぁ、小屋の周りに赤外線カメラを付けてみたんやわぁ。生徒達は好きな時間に小屋の様子を二十四時間ライブ映像で見れるようにしてみたんやけど、どないやろ? 金網は二重になってるから簡単には破れんやろうし、扉は侵入者を完全警戒するためにパスワードを入力せんと開かんようになってるから注意してや〜」
 セキュリティを強化していった結果……小屋は校長室よりも侵入が難しい施設となってしまった。
 本来であれば、鍵等を強力なものにするだけの予定だったのだが……美羽が――
「どうせだったら、とびっきり立派な鳥小屋がいいよね!」
 と言いはじめた結果、このようなハイテク鳥小屋へと変貌を遂げてしまった。
 唯一、まともな鳥小屋らしい場所といえば――
「あ、もちろん、中の環境もバッチリ。だぜ! ダンボールやら藁を強いといたから、孵化の準備はバッチリだ!」 
 天津 麻羅が敷き詰めたダンボールや藁だった。たしかに、まだまだ朝晩の冷えるこの季節には最高の孵化環境になりそうだった。

「みんな、本当にお疲れさま! 卵が孵るまではまだ時間があるみたいだし、料理でも食べて疲れを癒してくれ」
「僭越ながら、涼介さんと私で料理を用意させていただきました」
 まだ真新しい鳥小屋の前には、テーブルと椅子が並べられ、本郷 涼介(ほんごう・りょうすけ)ミリア・フォレスト(みりあ・ふぉれすと)のカップルが作った大量の料理たちが次々と出てきた。
「おかわりはたくさんあるからな?」
「どんどん召し上がってくださいねぇ♪」
 夜遅くになり、そのまま孵化まで見守ろうとする生徒が多いだろうと考え、料理はトマトソースとキノコソースのカツレツ等、しっかりした物が用意されていた。
「みんな、本当に頑張ってくれたみたいだな」
「そうですねぇ。私達にはこんなことしかできませんが、喜んでいただけているみたいで幸せですぅ」
 気持ちの良い笑顔で食事をすすめる生徒達の様子を見て、互いに微笑み合うミリアと涼介。
 彼らは、疲れて帰ってくる生徒達に少しでも役立とうと、夜にも関わらず料理の腕を全力で振るってくれたのだった。
 それに加えて――
「あの、よろしければバケットなんかもあるので一緒にどうぞ」
 佐々木 弥十郎は盗賊団の情報をくれた仲間達にバケットを作って配ったのだが、それが思いのほか作りすぎて余ってしまったので、涼介たちの料理と一緒に振舞われることとなったのだった。
「でも、今回の事件は何だか不思議だよね。去年はロック鳥の卵を食べるために巣へ向かったのに、いつの間にかその卵を守ろうっていう気持ちになってるんだから」
「まぁ、たしかにな。不思議な感じだ」
 鳥小屋に鎮座された卵を見て、しみじみと語る生徒達。彼らは今回の事件を通して、いつの間にか卵に対して愛情じみた感覚を覚えていた。
 と、そこへ――
「お。賑わってるみたいだな」
「本当に卵を取り返せたんだね! 苦労して囮になって良かった♪」
 空京からレン・オズワルドと、卵奪還の際に囮となった琳 鳳明もやって来た。
 更に――
「やっほー、卵は無事だったみたいね?」
 シャンバラ教導団からルカルカ・ルー(るかるか・るー)たちもやって来て、祝勝会は更に賑わいを見せるのだった。