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太古の昔に埋没した魔列車…御神楽環菜&アゾート 後編

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太古の昔に埋没した魔列車…御神楽環菜&アゾート 後編
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「他の方々は、平和な雰囲気ばかり提案すると思うので…。私からいくつか提案したいと思います」
 生徒たちが別室へ移動している中、叶 白竜(よう・ぱいろん)は予想図の資料を、環菜に見せて説明を始める。
「人と物資の拠点になるわけですから…予算の問題もありますが。駅はテロの標的にされやすいので非常用の電気系統の確保と監視カメラの設置、できれば避難用通路の確保もしておきたいところです」
 彼が提案する内容は、死角なく監視カメラを配置し、怪しい者がいたら瞬時に発見するシステムだ。
 鋼の頑丈の壁は敵の攻撃を、全て弾き飛ばしそうな感じで、さながら鉄の要塞のような雰囲気だ。
「地下に一時的に物資が貯蔵できると良いと思います。緊急時に人が多く集まる場所になるでしょうし、少し遠方から駅の重要施設への出入りができる通路を確保したほうがいいでしょう…内密に」
「…やっぱりそうなっちゃうわけね」
 彼に聞こえないよう、小さな声音で世 羅儀(せい・らぎ)が部屋の外でボソッと呟く。
「火のないところに、争いの火種を撒きたがる連中がいるかもしれないものね。私個人としては、とてもいいアイデアだと思うわ。でも、ラズィーヤや静香たちの意見も聞かなければいけないのよ」
 土地はラズィーヤが管理しているわけだし、個人で決められることではないと、いつもの冷静な口調で言う。
「ヴァイシャリーの景観を崩してしまうなら、首を立てに振らないと思うわ。他にアイデアを出してくれる人もいるわけだから…」
「なるほど…皆の同意が必要なんですね」
「それと、他の施設へ移動する通路なんだけど。これも…捨てがたいのよね。緊急というより、終電がなくなったら歩いて帰れる通路は欲しいところよ」
「えぇ、何十人も宿泊可能な規模じゃないですし…」
 もしもの利便性を考えた彼女の言葉に、こくりと頷く。
「一番の問題は人員よ。今の段階だとそこまで造れないのよね。各駅に…となるとイコンを使っても、工事に2年以上かかりそうよ。地下を通るならなおさら、掘り進んで崩れないか…という点も考えるべきだわ」
「残念ですね…避難通路くらいは欲しかったのですけど」
「危険そうなルートを通る予定もないわね。私は出資してもらった立場だから、エリザベートたちの意見も聞かなければならないの」
 3人の意見を無視出来ないわ、と冷静な態度できっぱりと言い放つ。
「私としても、ゆっくり旅をしてパラミタを横断したいと考えているわ」
「(少なくともまったり、時々戦い的な旅にはしたくないようだね)」
 羅儀は他の皆に、自分のアノ意見が言えればイイわけだが…。
 パートナーの彼の方は少し残念そうな顔をしている。
「まぁ、貯蔵庫のアイデアはいただくわ。食堂車に食料を送ったり、お弁当などにも必要になりそうだから」
「となると地下でしょうか?」
「そうなるわね。熱発電機械を置く階と、同じ場所になるけど。食べ物が痛んだりする心配はないわ」
 おそらく他の生徒が提案してくれるだろうと白竜に言う。
「分かりました。設計図担当に伝えて、配置する場所を確保しておきます」
「案内のコンパニオンは女性で揃えて欲しいね。美人女性車掌は絶対必要。あと駅舎の中にそれぞれのご当地美味いもの名産品売り場希望」
 部外者が入ってこないか見張っていた羅儀は、室内の会話が止んだのを確認して、ドアを開けてひょっこりと顔を覗かせる。
「―…時間があれば、ですね。後者くらいは伝えられたら言ってあげますよ」
 そう言うと彼は環菜をその場に残し、パートナーを連れて皆が集まっている部屋へ入っていった。







「ではでは〜。これより、ヴァイシャリー湖南の駅のコンペのプレゼンテーションを行います☆まずは、詩穂から始めますね」
 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)はプレゼン用にまとめたファイルを皆に配ると、スクリーンに駅の外観イメージを映す。
「ご存知の通り、ヴァイシャリーはキレイな水が豊富にありますよね?で、土地のイメージに合わせて考えてました☆」
 ポチッとボタンをクリックし、手書きで描いた待合室の雰囲気のページを見せ、ヒパティアが3Dにモデリング処理した画像を表示する。
「駅といえば、待合室が必要ですよね?その中心に噴水があると、まさにヴァイシャリーらしい優雅さを表現出きるとのでは?」
「近くに湖があるわけだけど、水はそれを使うのかな?」
 どこの水を使うのかな、と気になったエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)は資料から彼女へ視線を移して言う。
「もちろん、ヴァイシャリー湖から直接っていうわけにはいきませんからね☆ちゃんと出資者の方に手配してもらいますよ。公害物質が流れないように、ちゃんとアイデアはあるんです」
「へぇ、それなら安心だね」
「駅の天井の装飾もそれに合わせたですね。すっごい豪華☆っていう感じじゃなく、誰でも気軽にこれる雰囲気にするといいですね☆」
「入りやすい雰囲気にすることも大事だからな」
 無駄に高級感を出すよりはいいな、と木崎 光(きさき・こう)も頷く。
「機能面だけでなく、観光目的で駅に訪れるような、そんな名所になるような駅があってもいいと思うんです。詩穂のプレゼンは以上です☆」
 参考用の資料は彼らの手元に残し、スクリーンの映像を終了させた。